厄年会会長が「本当に良かった。できることなら…もう一度やりたい」と語る、もち投げの実体とは?
盛大すぎる!と話題の、愛知県西三河地域のもち投げをテーマに、その裏側にせまる本邦初(当社調べ)の連載コラム。いよいよラスト「当日編」となりました。舞台は、愛知県碧南市にある道場山神明社。2024年10月に行われたもち投げ当日の様子を、朝から晩まで余すことなくお伝えします!
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※2024年10月取材・撮影
当日早朝、神前に拝礼
いよいよ当日。早朝5時、厄男たちの姿は道場山神明社にありました。もち投げを前に、拝礼に訪れたのです。凛とした表情で記念撮影!
早朝の澄んだ空気の中、幼い日から親しんだ神明社で、厄男たちは何を思うのか…。
いよいよ準備万端!
8時頃からは二手に分かれ、個人宅への挨拶や、会場の設営を進めます。こうした準備には、前厄(厄年の前年)、後厄(厄年の1年後)のメンバーなども参加。先輩・後輩が交流しながら、やり方やならわしを引き継いでいくようです。
お昼休憩をはさんだのち、ついに準備が完了。円陣を組んで乾杯!
ところで乾杯写真の背景に写っている大きなトラック。こちら、箱ティッシュ1万3千個を積んだ4トントラックです!
こんなにたくさんの箱ティッシュ(とはもはや認識できない)を目の当たりにするのは初めて…!
天気にも恵まれ例年以上の盛り上がり
この日のもち投げは、子どもの部(約15分)→大人の部(約15分)の順で行われました。厄男たちの出番は「大人の部」です。
子どもの部開始30分前ごろから、続々と地域住民が集結。10月中旬ながら、愛知県三河エリアでは最高気温27度以上を記録!天気にも恵まれ、例年以上の盛り上がりぶり。
歓声が響く「子どもの部」
先に行われた子どもの部では、やぐらに対して近いエリアを小学生以下、その外周を未就学児(保護者同伴)エリアに分け、安全に楽しめるよう工夫されていました!待ちに待ったもち投げが始まり、子どもたちの歓声が響き渡ります。
また、クライマックスでは、カラフルなボールを投げるシーンも。はっぴ姿のメンバーから色鮮やかな玉の数々が放たれ、楽しげな雰囲気に。
まるでフェス!?圧倒的熱量の「大人の部」
子どもの部が終わるとついに大人の部。厄男たちの本番です!やぐらの前は、子どもたちから大人たちに入れ替わり、人口密度が一気にアップ。やぐらの上では、11人全員で円陣を組んで盃を交わし、場の雰囲気も最高潮。10秒のカウントダウンを経て、もち投げスタート!
子どもの部とは少し雰囲気が変わり、厄男に向けて「いいぞー!」「もっといけるぞー!」と鼓舞する声が!さすが働き盛りの厄男たち、「こんなところにまで!?」と驚くほどの飛距離です。
こちらが厄男目線のもち投げ。個人情報保護の観点から一部画像処理をさせていただきましたが…この熱量、すごい!
「もちを受ける側も“ガチ”で挑んでいるのがわかった」と、厄男たち。
ちなみに、「もちを投げる練習は一切していない」とのこと。やぐらの下から見ていると、もちを投げるフォームにもいくつかあるようでした。
① 両手でたくさんのもちを持ち、一気に放つ
② バケツを持ち上げて放つ
③ 数個を片手に持ち、1つずつ遠くに投げる
もちを投げ終わっても、終わらない!
もち投げが終わっても、重大な仕事がまだあります!それは景品交換。もちに同封された紙と景品を引き換えていきます。もち投げに訪れた人たちには、厄男たちと同世代の友人やその親族も多く、再会を懐かしむ場面も。
ちなみに、当日掲示されていた案内板には、もちの総数は23,000、景品は全部で14,530とありました。つまり、景品が当たる確率は約63%…高すぎる!改めて驚きです。
初めての試み「個人賞」も実現
今回初めて行われた企画「個人賞」では、11人の厄男一人ひとりが厳選した景品が贈られました。
自動調理なべやヘッドマッサージ機、ポータブル電源など、個性豊かな「アラフォー男子が個人的にほしいもの!」がずらりと並び、同世代の人にかなり刺さったのでは?
ところで、もち投げ経験者の中には「景品の引き換え用紙ともちがくっついて、うまく剥がせない」という思い出がある人もいるのでは?
そんなプチイライラがないよう、今回のもち投げでは、つるっとした素材の紙でオーダーしたのだそう。もち投げの裏側には、こんな細やかな配慮もあるんです。
小学校の校歌で締め!?
さて、景品交換も終え、厄男たちはというと…大衆食堂「たぁぶる」で、にぎやかな夜を過ごしていました~!そして響き渡るのは、碧南市立中央小学校校歌!この校歌は途中で手拍子が入るので、盛り上がり方も一味違うようです。
ちなみに「中央小OB・OGなら、校歌のイントロが流れたら絶対に歌っちゃう」とのこと。中央小出身の方、いかがですか?(笑)
明るい笑顔からも仲の良さが伺えます。
もち投げを終えて心境は…
一夜明け、厄男たちは道場山神明社に再び集い、片付け・掃除をして解散。こうしてもち投げが無事終了しました。
「もうね、もち投げ翌朝は全身ビキビキ、声ガスガス。布団から起き上がれなかった(笑)。でも金・土・日3日間、家族と過ごせなかったから、月曜は子どもと遊園地に行ってきた」と、厄男のひとりであり、近所のはなし元編集長である角谷の談。パワフル…!
数日後、厄年会会長の井澤さんを訪ねると、「本当に良かった」とまず一言。
―もち投げを振り返っていかがですか?
「メンバーに恵まれて、区の役員さん方も良くしてくれて…。子どもの配置を工夫するといった新しい試みも受け入れていただけました。怪我なく無事に終わったのも何よりでした」
―当日はとても盛り上がりましたね!
「たくさんの人が来てくれて、自分達も驚いていたくらいです。地元に育ててもらった恩返しができたんじゃないかな…と感じました。『近所のオヤジたちがあんなに全力でやっている!』ということで、子どもたちへのいい刺激になっていたら嬉しいですね」
―正直、大変だった場面などは?
「普通に考えたら大変な準備も、仲間たちと“みんなで”できたから、変なストレスみたいなのはなかったですね」
―一言で言うとしたら…。
「“楽しかった”。できることなら…もう一度やりたい(笑顔)」
西三河地域の「もち投げ」が盛大さのあまり、奇異にすらとらえられることもあるのは、「厄落としのためにそこまでする?」という感覚ではないでしょうか?しかし、その裏側は、地元だからこそ、竹馬の友とつくり上げていくからこその深い思い、そして強い結束があるように感じました。
取材にご協力いただいた道場山地区の皆様、ありがとうございました!(文:鶴見弥耶/2024年11月公開)
「もち投げ」 の裏側を取材してみた。シリーズをまとめ読み!
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