愛知県西三河地域の秋祭りといえば「もち投げ」。最近ではテレビやネットでもよく取り上げられるようになりましたが、そのうたい文句といえば「景品総額〇百万円!」「もちを争い大乱闘!?」といったもの。もち投げは、なぜこんなに盛大に行われるのか?そもそも誰が何のためにやっているのでしょうか?
その謎を解き明かすべく、2024年10月に開催予定の、碧南市の道場山神明社で行われる「もち投げ」に、開催半年前から密着!第1回は、4月に行われた打ち合わせの模様をお伝えします!
※2024年4月取材・撮影
開催半年前から始動!
2024年4月某日、碧南市・道場山(どうじょうやま)区民館。半年後の10月に開催予定の秋祭りに向け、打ち合わせが行われました。集まったのは、秋祭り当日にもちを投げる、数え年42、厄年の男たち。ちなみに今回、近所のはなし元・編集長であり碧南で生まれ育った角谷も、厄男としてもち投げに参加!そのつてで、裏側に潜入することができました!
道場山区民館のある道場山町は、碧南市の中央小学校・中央中学校学区。碧南市のなかでは「中心部」ともいえるとか。
【説明しよう!】西三河地域におけるもち投げ
愛知県西三河地域では、秋祭りで盛大な「もち投げ」が行われる!
もち投げ自体は全国にみられる文化!この地域では「撒くことで厄を払う」という考えのもと、秋祭りと同時に盛大に行われるのである!
「箱ティッシュ1万個以上」のしきたり
令和6年道場山厄年会は総勢11人。全員同小・同中(おなしょう・おなちゅう)、いのしし年・ねずみ年です。大人になって地区外、市外へ引っ越したメンバーもいますが、今も11人全員が西三河地域に住んでいるそう。
会長の井澤俊大さん(中央)に、道場山地区のもち投げについてお聞きしたところ、次の2点が代々受け継がれているしきたりとのことです。
1. 記念品(景品)について、「箱ティッシュ1万個以上」は必須
2. やぐらに上がれるのは、はっぴを着た人のみ
もちは全部で2万個以上!
※画像は別の地域のもち投げです
この日の議題は、もちの個数や記念品の内容、祭りの衣装のサイズ合わせ、そして今後のスケジュール。
話し合いの結果、もちの個数はトータル2万3千個で仮確定。当日はこのたくさんのもちを、19歳・42歳の厄年会のメンバーや還暦を迎える人、地区の関係者などが投げます!
生活必需品から大型テレビまで!?
続いて、もち投げの記念品と個数を決めていきます。今年度の記念品予算は、実に300万円!
道場山地区のもち投げは「子どもの部」「大人の部」に分かれています。それぞれの部の参加者層に合わせた記念品が候補にあがっていました!ラインナップも、生活必需品から豪華大型テレビまでバラエティ豊かです。
井澤会長によると、しきたりの「箱ティッシュ」以外の記念品、さらにはっぴや衣装なども、その年で決めていくのだそう。
【説明しよう!】記念品とは?
もち投げのもちはビニール袋で包装されていて、その中に1等、2等などと記した小さな紙が同封されている! この紙と記念品を引き換えることができるのである!
厄年は第三次成長期?
そして、祭り当日に身に着ける衣装のサイズ合わせ!試着をしながらサイズを確認。厄男の一人で、近所のはなし元・編集長の角谷曰く、在りし日よりサイズアップしている人が多いとのことです。(笑)
サイズ表を見せてもらうと、「角谷」「樅山」「梛野」と碧南の三大ご当地苗字(私見)コンプリート!こちら、全部読めるあなた…碧南人ですね?
秋祭りまであと半年!
元・編集長のつてで、聞きづらいお金のことも聞いちゃいました…!42歳のメンバーが納める額は1人あたり約○十万円(※中古車が買えちゃうくらい!)とのこと。さらに、当日だけでなく、祭り2日前から開催翌日までやることが盛りだくさんのため、仕事も家庭も4連休申請必須です!想定以上のボリュームに「夫の厄年だけ引っ越したい!(笑)」なんて話す奥さんも…!?しかし一方で、この地域では「厄年。もち投げです。」と申告するとスムーズに有給休暇がとれる企業もあるとかないとか。
「厄落としということだけでなく、育ててもらった地域への恩返し、そして次世代への恩送りという気持ちがあります」と井澤会長。
次回は5月に集まり、隣の地区の厄男たちを交えて親睦会をするとのこと。地区同士のつながりもあるんですね。秋祭りまであと半年、さまざまな人の思いや願い、期待をのせて、着々と準備が進んでいきます。(文:鶴見弥耶/2024年4月公開)
★次回、第2弾は2024年9月下旬に公開予定です!