この地域でも頻繁に開催されているイベントのひとつである「マルシェ」は個性豊かな作家が作ったハンドメイド雑貨や、ワークショップ、キッチンカーなどを楽しめるイベントとして認識されています。
withコロナへと時代が変化しつつある中、屋外での開催が可能で、感染のリスクが低いことや、小規模から行えるなどの理由により、「マルシェ」は今の時代に合ったイベントとして人気を集め、その数も増えています。今回は、コロナ禍でもその魅力を広げつつある、この地域の「マルシェ」の今をお伝えします。
マルシェ「リトルモンスター」
愛知県安城市の子供服やハンドメイド雑貨を中心としたセレクトショップ「リトルモンスター」。店主の細井麻友美さんは、月2回、自宅や店舗を利用してマルシェを開催しています。
この日はキッチンカー3台も並びました。 ここに集まる人たちが願うのは、とにかくフレンドリーな雰囲気です。 出店者とお客さんの境界をなくして、田園風景を眺めながらゆっくり楽しむ。それがリトルモンスターのマルシェの特徴です。
田園風景と人とのつながりを楽しむマルシェ
細井さんにリトルモンスターのコンセプトについて聞いてみました。
「見ての通り、お客さんがすごくたくさん来るわけではないマルシェです。だから出店される方も、ものすごく売り上げが出るものではありません。だけど、このようにこぢんまりしていて、アットホームな雰囲気のイベントだからこそ味わえる、出店者とお客さんの近さがあります。お客さんはもちろん、出店者もみんなで楽しめる空間を作れたらと思っています」。このマルシェには、こういった雰囲気が好きなお客さんが集まってきます。
出会いをつくる大きなマルシェ
細井さんは2022年2月から、安城市の中心市街地拠点施設「アンフォーレ」でもマルシェを始めました。
「ビッグモンスター」と名付けられ、毎月1日に行われるこのマルシェは、キッチンカーや雑貨のほか、レンタル衣装で撮影が出来るお店など、個性豊かな28店舗が集まります。 細井さんは、イベントなどで出会った一流クリエーターや美味しいキッチンカーを安城市民に厳選して紹介しています。このマルシェには名古屋や豊橋など、この地域から少し離れたところからの出店者が多いのです。こぢんまりしたマルシェ「リトルモンスター」とは、また違う特徴です。
もっと楽しいマルシェに
さらに細井さんは、月ごとに出店者の多くを入替え、来場者に新たな楽しみを提供したいと話します。厳選したお店を紹介する細井さんのマルシェは、今では常連客ができるほどになりました。
常連客だという女性は 「出店される作家さんたちの品物や作品には、素晴らしいものが揃ってますし、美味しい食材にも出会えるのでワクワク感があります。素敵な時間を与えてくれてありがたいなって思ってます」と喜んでいました。
細井さんは現在も、ダンスイベントやジャズライブとコラボするなど、これからももっと楽しいマルシェにするべく、挑戦し続けています。
若者が立ち上げたマルシェ
一方、西尾市でマルシェの立ち上げを準備している若者たちがいます。26歳の3人、石川逸斗さん、内之蔵拓弥さん、そして片桐陸さん。企画しているイベントは、西尾市出身の同級生3人の3と、太陽のサンをかけて、「サンマルシェ」と名付けました。
マルシェ開催を決めた理由について、「楽しい事をしたかったというのが本音ですね。コロナに対する世の中の雰囲気も少し変わりつつありましたので、気分が下がっている人もいる中、西尾市を盛り上げたいと思いました。屋外でできるイベントならば人が集まりやすいと思い、マルシェをやってみようと考えました」と内之蔵さんは話します。
個性的なマルシェを目指して
片桐さんは、サンマルシェのロゴや、デザインを担当しています。 各地で多くのマルシェが開催されるようになり、出店舗の内容だけではなく、マルシェ自体の個性も重要な要素になってきたと考えました。
片桐さんはロゴやデザインについて、 「何回もマルシェを企画されている方は、マルシェのロゴを持っていたり、マルシェの特徴をしっかりと決めていたりします。そこで僕たちも、メインになるロゴが作りたいなと思いました。ロゴなどにもマルシェの雰囲気やカラーが出るのかなと思っています」とその想いを話してくれました。
初挑戦。そして周りからの応援
サンマルシェ開催当日。会場である西尾市の恵比寿海水浴場には朝から多くの人たちが集まりました。
片桐さんが話しているのは、宮地利和さんです。初めての開催で、慣れないことが多い3人を親身になって助けてくれた宮地さんは、普段は西尾市内で「純喫茶太陽がいっぱい」を営み、この日のサンマルシェにはコーヒーのキッチンカーで出店していました。
「町おこしをしたいという動機で挑戦する姿や、他のマルシェと違うことがしたいと言うなど、主催者3人は純粋な思いが強いので、いろんな人が協力してくれるだろうなと思い、私も参加しました」と宮地さんは語ります。
マルシェが地域活性化につながる可能性
マルシェで、地域を盛り上げたいと思っていた内之蔵さんは、実際マルシェを運営し気づいたことがあると言います。
「今回来場したお客さまの中には、マルシェが目的で来てくださっている方もいるのですが、マルシェが行われる場所のすぐ側にある温泉やホテルにたまたま宿泊していて、見に来てくれる方もいました。今回のサンマルシェが地域のお店を知るきっかけにもなっていることに気づいたんです。そういったことをきっかけにお店のファンが増えて、そのお店にお客さまが足を運んで頂けたら地域活性化につながるのかなと思いました」
広がるマルシェの可能性
3人が挑戦した初めてのマルシェは、多くの笑顔を生みだして終了しました。 「まだ若くて経験の浅い僕たちでも、実際に行動に移すと、周りの経験ある方が知識を与えてくれました。これなら若い世代で地域を盛り上げていくのも可能なんじゃないかなと思いました」 と3人は最後に話してくれました。
若者が町を盛り上げようと新たなチャレンジの場にするマルシェから、こぢんまりしたアットホームなマルシェ、そして、空間演出と厳選したお店にこだわったマルシェまで。コロナ禍でもマルシェの可能性は広がっています。(取材・撮影:ビデオハウス/文:石川玲子/2022年9月取材)
Big monster
サンマルシェ
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