
西尾小学校のビオトープは、西尾城のお堀を活用して作られた全国的にも珍しいものです。しかし、老朽化によって危険な箇所があるため、2021年度から立入禁止になっていました。
そんな中、昨年度の6年生がビオトープ復活に向けて立ち上がり、その思いを今年度の6年生が受け継ぎました。
西尾小学校のビオトープ復活にかけた子どもたちの挑戦を取材しました。
西尾小学校自慢のビオトープ
西尾市立西尾小学校は1854年(嘉永7年)に創立した、西尾藩の藩校「修道館」が起源で、西尾城の東の丸の跡地に建っている歴史ある学校です。そんな西尾小学校の自慢のひとつが自然豊かなビオトープでした。
西尾小学校のビオトープは西尾城のお堀を活用して作られた、全国的にも珍しいものです。ビオトープには、カモやオニヤンマ、アサギマダラ、キツツキなど多くの生き物がやってきます。希少なカワセミがやってくることもありました。
2009年には「全国学校ビオトープコンクール」銅賞も受賞した子ども達自慢のビオトープでした。
立ち入り禁止のビオトープ
しかし、老朽化により柵は朽ち、橋は崩落してしまいました。このままでは子ども達に危険が及ぶと判断され、立ち入り禁止になったのが2021年度のことです。
6年生の児童は当時のことについてこう語ります。「西尾小学校のビオトープは、瓦などもある歴史的なものです。特別なものなので立ち入り禁止になったのは残念でした」子どもたちにとって楽しい思い出がいっぱい詰まったビオトープ。多くの児童が、再びここで遊びたいと願っていた中、昨年度の6年生が立ち上がりました。
ビオトープを復活させたい
昨年度の6年生の学年主任、大須賀勇太教諭に当時のことを聞きました。
「1年生と6年生との交流で学校探検をしたとき、1年生にビオトープのことを説明しても分かってもらえなかったそうです。そのような体験からビオトープを復活させたいという声が出てきました」
下級生のためにビオトープを復活させたいと考えた昨年度の6年生たちは、まずは、落ち葉拾いやゴミ拾いをおこないました。その後、改修に向けてクラウドファンディングの調査を始めますが、実行するには時間が足りず、その思いを新6年生に託したのです。
2年にわたる挑戦
昨年度の6年生が今年度の6年生に残したメッセージの紙には、次のように書かれていました。「私達は一年間ビオトープを直すために全力を尽くしてきましたが私達の力だけでは直すことができませんでした。そこで新6年生のみなさんに、歴史あるビオトープの改修計画を引きついでほしいです!」
そんなメッセージを受けた今年の6年生は「低学年のときは遊べていたのに、今は遊べないので、先輩の思いを受け継いでビオトープを復活させたいと思いました」と、136人全員でビオトープ復活を目指すことにしたのです。
クラウドファンディングで資金集め
6年生たちはまず、総合的な学習の時間を使い、クラウドファンディングについて学びました。そして9月のクラウドファンディングの開始に合わせ、地域のお祭りやショッピングセンターなどでPRしたり、募金を呼び掛けたりしました。
子どもたちのPR活動の甲斐あっておよそ2ヵ月で目標の200万円を上回る支援金が集まりました。また、個人や企業などの団体から寄付金も集まり、クラウドファンディングと合わせて500万円にのぼる額が集まりました。
経験と達成感を得た子どもたち
このような活動について6年生の児童はこう言います。「すごいうれしくて、ビオトープを直せるし自分たちにできたんだという達成感がありました」
「ラジオ出演とかもさせてもらって、一生ない経験ができました」
今年度の6年生担任である神谷健人教諭は言います。「たくさんの支援をいただき、がんばってねという声掛けもたくさんいただき、周りの方々の支えがあって、こういう結果に結びついたのだと思います」
念願のビオトープ復活
1月になると、クラウドファンディングの成功を受け、改修工事が始まりました。そして、2月下旬、改修工事が終わり、ついに子ども達念願のビオトープ復活が叶ったのです。
3月11日には、支援してくれた人を招いて、改修記念式典がおこなわれました。この日は、あいにくの雨模様になり、体育館での式典となりましたが、テープカットなどでビオトープの改修完了を祝いました。
そして3日後には式典の日にできなかった、メダカなど生き物の放流を行いました。卒業式を目前に控え、6年生はギリギリのところでビオトープ復活を見届けることができたのです
復活したビオトープ
生き物の放流の際には、めったに見られないカワセミも姿を現しました。まるでビオトープの復活を喜んでいるかのようです。カワセミを初めて見る子も多く、とても良い記念になりました。6年生の児童に感想を聞きました。
「クラウドファンディングをがんばったので完成して嬉しいです!」
「色んな年代の人が募金とかしてくれてうれしかったです」
「身近で自然を感じられるようになってよかった」
先輩たちの思いを受け継ぎ、復活させたビオトープ。これからまた、このビオトープに、笑顔と笑い声が溢れていきます。(取材・撮影:映像舎 /リライト:石川玲子 2025年3月取材)
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