
安城市の面積の4割を水田が占めています。その水田に雨水を貯めて水害被害を減らす取り組みである「水田貯留」を知った安城市の桜井中学校の生徒たちは、過去の経験からもっと多くの人に“広めたい”という思いを抱いています。
今回は水田貯留を発信しようと行動する中学生4人に密着し、中学生たちの思いと向き合いました。
桜井中学校の生徒たちの思い
安城市の桜井中学校の生徒たちから、キャッチネットワークに1通の手紙が届きました。
「総合の授業で安城市の農業について調べています」「その過程で“水田貯留”という言葉に注目しました」「ぜひキャッチさんを通じて水田貯留を多くの人にPRさせてください」とつづられていました。
手紙をくれた1年生4人に会うため、安城市立桜井中学校に向かいました。どうして手紙をくれたのか聞いてみると、「安城市に住んでいる私たちも知らなかった水田貯留という取り組みを、安城市内外の人に知ってもらいたいと思ったからです」と塚原有和子さんが答えてくれました。
水田貯留とは
水田貯留とは、水田に雨水を5センチ程度余分に貯めることで水害被害を軽減させる取り組みです。生徒たちが「水田貯留」に興味を持ったのは、過去の経験が関係していると、桜井中学校 教諭 横山和孝さんは話します。
「クラスの半分くらいの子たちが、2023年の夏に自分たちが通う小学校の前の道が浸水してしまいました。その子たちはそのときのことを思い出しながら、水害対策もできてお米も育てられる水田貯留の取り組みに対して、特に興味を持ったようです」
生徒たちの経験と水田貯留が結びついた
鈴木あかりさんは、「小学校6年生のときに小学校の前が浸水した際に、みんな通れずに困っていたことを思い出して、水田貯留とその出来事が結びついて感じられました」、中島翠音さんも「水田貯留の仕組みを知った時に浸水のことを思い出して、これは地域に広めていかなければいけないと思いました」と思いを語ってくれました。
安城市における取り組みの成果
過去に浸水被害が発生している市街地の上流の田んぼを対象に、安城市は水田貯留の取り組みを広げています。これまで水位を計測してきた堀内川では、水田貯留を実施していなかった2017年と比べて河川の水位が上昇する頻度が減少しているそうです。
安城市 土木課の有我太希さんによると、安城市はその4割を水田が占めているため、より多くの水田に協力してもらうことができれば、水害対策を強化できると考えているそうです。
「安城市の農業」から「水田貯留」へ
生徒たちは、2024年9月から総合的な学習の時間に「安城市の農業」を知る中で、「水田貯留」に関心をもって様々な事を学んできました。横山先生に学習の様子を聞きました。
「生徒からは、水田に水を貯めるという取り組みに対し、お米の品質に影響がないか、味はいいのかといった疑問がたくさん出てきました。そこから、自分たちで課題や調べたいことを決め、農家さんへのインタビューなどの活動が派生していきました。生徒は積極的に、それぞれのグループで役割を決めて学習を進めてきました」
水田貯留の水田でできた米
取材に訪れたこの日は、自分たちで考えたレシピをもとに水田貯留で作られた米を使った料理の試作をしていました。
大呂優真さんはその理由を、「食べ物を通して、子どもにも大人にも水田貯留について知ってもらうためにレシピを作ろうと考えました」と話してくれました。これまでに給食や授業の中で、水田貯留で作られた米と普通の水田でできた米とを食べ比べることもしてきたそうです。そして、米の味や品質が変わらないことを実感し、地域にとって良いことばかりの水田貯留に感動したといいます。
水田貯留についてもっと広めたい
水田貯留について学んでみて、どう感じたかを聞いてみました。
中島翠音さんは「水田貯留は、安城市の農業の発展に加えて安城市を水害からも守れる点がすごくいいなって思ったので、それを広めたいなと思いました」、鈴木あかりさんも「市外の人や市内の人に農業への理解を深めてもらって、(水田貯留で作られた米を)食べてほしいです」と話してくれました。
自分たちが調べたことを発表
自分たちが暮らす地域を災害から守っている水田貯留を知ってほしいという思いを込めて、テレビの前の人たちに向けて水田貯留について発表しました。水田貯留の概要や料理した感想、そしてたくさんの人にこの取り組みを知ってもらいたいとプレゼンしました。
水田貯留に取り組む安城市内の米農家 稲垣巨樹さんは、この発表を聞いて「自分たちでも田んぼの持つ機能として水田貯留を広める活動を行っていますが、子どもたちは大人が思いつかないようなPRをしてくれました。自分たちの勉強にもなりました」と嬉しそうに話してくれました。
放送が関心を持つきっかけになってほしい
横山先生も、「自分たちが学んだことを発信したいという要望も生徒から出てきたものです。自分たちで計画してプレゼンテーションを準備し、発表することができたのでとても頼もしいと思っています。子どもたちの思いがより多くの人に伝わってほしいです」と話し、発表を終えた生徒たちを労いました。
発表した4人は、今回キャッチへの出演で地域の人に水田貯留について知ってほしいという願いが叶って嬉しい、多くの人に水田貯留や農家さんの魅力が伝わってほしいと話してくれました。
この記事が「安城市の農業」に関心をもってもらうきっかけとなることを期待します。 (取材・撮影:小林伊織 /文:石川玲子 2025年2月取材)
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