名鉄新安城駅の南側に位置し、その利便性の良さから、数多くのマンションが立ち並んでいる安城市今池町。
近所や地域との関わりが薄いという現代社会の問題が、新型コロナによってさらに加速化する中、今池町内会では、子どもたちが生まれ育ったこの地を、ふるさととして誇りをもてる町にさせたいという思いからさまざまな取り組みを行っています。その取り組みや関係者の思いを取材しました。
ふるさととして誇りを持てる町にするために
2022年7月末、今池町内会公民館で、小学生に向けて『夏休み子ども宿題教室』が開かれ、近所に住む子どもたちが大勢集まりました。小学生が夏休みに入ってからの3日間、家に引きこもりがちな子どもたちを公民館に集め、地域の大人たちが宿題の手助けをするという教室です。
「宿題をみんなと楽しくするためにきました」
「家でするよりみんなとしたほうが、気持ちのスイッチが入ってできるから」
と、子どもたちは楽しげに言いました。
地域交流の中心となる、今池町内会公民館
この『夏休み子ども宿題教室』を企画したのは、今年で町内会長5年目となる天野壽仁さん。「子ども同士で教え合ったり、能力を持った地域の方が力を発揮してくれたりすると嬉しい。地域のつながりの場になってほしい」と言います。
この教室には、習字の先生、英語の先生、美術の先生など、町内に住む多くのボランティア先生が参加しています。美術の先生は、今池小学校の校長先生です。「学校と地域が連携していけると考えています。地域には子どもたちを育てるという役割がある。その一端を学校が担っているという認識です」
地域社会が子どもを見守り教育する
この日は天野さんのところに竹馬を持った子どもたちが遊びに来ました。
「幼稚園で竹馬が流行ったけど、どうやって作れば良いのか天野さんに相談しようと思いました。」と話す保護者。
天野さんは、このように地域社会全体が子どもたちを育てることが大事だと言います。
「地域で育てるというのは、学校や親がするだけでなく地域社会そのものが見守ったり、教育に関わったりすることです。行事を通して学んでいくことが子どもの成長につながると考えています」
一人で抱えている問題を地域社会で助ける
コロナ禍で、今池町では感染対策を万全にして、地域の住民たちが触れ合うイベントを継続してきました。天野さんが企画した「おしゃべり喫茶」も地域の高齢者のためのイベントです。
「家族葬について」「葬儀の費用について」「家族が認知症になったら」など、高齢者が直面している問題に役立つ講演会も開いています。参加者にはプレゼントまで用意し一人でも多くの人が参加するように、一人で抱えている問題を地域社会で分け合うことができるようにと、天野さんのアイデアが盛り込まれています。
「私のふるさとは今池町」と思えるように
マンションが立ち並ぶ中、住民同士の交流が少ないことや、年々増え続けている外国人住民との関係、地域の高齢化や、公民館の老朽化など、現在もさまざまな課題に直面している今池町。
天野さんは、「今池町内会だより」を月2回発行しています。このような課題に対してどのように挑戦しようとしているか、町内会の日々を町民に知らせることも大事な仕事のひとつだと言います。
地域がひとつとなり「私たちのふるさとは今池町だ」と誇りに思える町づくりのため、天野さんたちは挑戦し続けています。(取材・撮影:MVJ/文:石川玲子/2022年7月取材)
安城市 今池町内会公民館
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