高齢者や障がい者にネイルを施すことで、生活に潤いやハリが生まれるという福祉ネイル。西尾市宅野島町でネイルサロンを開く古賀麻美さんも、こうした福祉ネイルを手掛けるネイリストの一人です。
しかし、コロナ禍で高齢者施設からの依頼は激減してしまいました。今回はコロナ禍、新たなアプローチで福祉ネイルを手掛ける古賀麻美さんに注目。その可能性に迫ります。
多くの人にネイルを楽しんでもらいたい
ファッションリーダーや結婚式を控えた女性などに根強い人気があるネイル。古賀さんは西尾市宅野島町でネイルサロン「Mani Cute」(マニキュート)を営み、訪れるお客さんに美しいネイルを提供しています。
より多くの人にネイルを楽しんでもらいたいと考える古賀さん。子ども連れでも利用しやすいように、サロン内部にはキッズコーナーを設けています。「子どもを一緒に連れていけるサロンはあまりないので、ありがたいです。いろいろな爪の相談に乗ってもらっています」と笑顔を見せる利用者。
新型コロナの影響で個別訪問を開始
5年前、福祉ネイルに興味を持ち、その認定資格も取得した古賀さん。ネイルを通じ、高齢者や障がい者のサポートを始めます。そんな矢先の2020年春、新型コロナ感染拡大によって、突然高齢者施設などへ出入りができなくなってしまいました。
そこで始めたのが、お客さまの自宅に直接向かう、個別訪問です。「そうすれば一対一でじっくり向かい合えるのではないかという気持ちもありました」
福祉ネイルの効果は本人だけでなく家族にも
この日、古賀さんは西尾市一色町の高齢者宅を訪問していました。病気で療養中の女性宅へ古賀さんが毎月訪ね、福祉ネイルを行っているのです。古賀さんによると、こうした個人宅での福祉ネイルは、本人だけでなく家族への効果もあるそうです。
「ずっと家にいると会話が減ってしまうこともあるのですが、ネイルをすることで会話が生まれることもあります。奥様に施術をしていると旦那様も色々話してくれます」と古賀さん。
この日、ネイルをしてもらっていた利用者はこう語ります。「毎日の生活にハリが出る。出かける時もおしゃれする気持ちになります」
福祉ネイルの体験会
別の日、古賀さんがやってきたのは西尾市寺津町の養国寺です。市の包括支援センターが開催する養国寺サロンで、福祉ネイルの体験会を開きます。参加者のほとんどがネイルは初体験。そのため、最初のうちはあまり積極的ではありませんが、しだいに、いろいろ注文をする人も現れました。
「ネイルというと、どうしても派手なものというイメージがあり、尻込みしてしまう人もいますね。でも、みんながやりはじめると、自然と手が出る。ネイルしたその場で笑顔になれる。見て楽しんで笑顔になれるものだと思います」と古賀さん。
爪を磨いてもらう男性も
終わった人から順に、出来栄えを自慢しあう体験者たち。「すごく心が軽くなりました」「生まれて初めての体験だったけど楽しかった」と、好評です。
続いて男性の番が回ってきました。ネイルは遠慮し、代わりに爪を磨いてもらうことにしました。「男性でも爪がピカピカになると喜んでもらえますね」と古賀さんは言います。
ネイリストというより爪師になりたい
古賀さんは他にも、新たな取り組みとして、出張ネイルを始めました。西尾市斉藤町の「憩の農園ファーマーズマーケット」での出店もその一つ。買い物客を相手に爪の相談に乗ったり、ネイルを施したりして、福祉ネイルのPRを図っています。 爪から人びとの健康をサポートしたいと考える古賀さん。この先の夢を聞いてみました。
「ネイリストというよりは爪屋さんや爪師。花屋さんやパン屋さんがあるのと同じように、爪のお悩みを抱えている方や地域の方に、町の爪屋さんと言えば古賀さんだね、と言われるようになりたいです」 (取材・撮影:オフィスげんぞう/文:石川玲子/2022年7月取材)
ネイルサロン マニキュート
場所:愛知県西尾市宅野島町郷中26
営業時間:午前9時~午後5時(時間外相談可)
定休日:日曜日・祝日(営業日でもお休みすることがあります)
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