全国での小・中学校における不登校の児童生徒数は2020年度に20万人近くとなっていて過去最多を記録。8年連続で増加している状況です。
そんな中、2021年6月、西尾市に「子ども・若者総合相談センター コンパス」が開設されました。ひきこもりやニート、不登校など様々な悩みを抱える子ども、若者とその保護者などから相談を受け、包括的な支援を行っています。コロナ禍でも、SNSを活用するなど工夫をこらした「誰一人置いていかない」若者支援を目指している姿を追います。
悩みを抱える若者の支援を行うコンパス
ひきこもりやニート、不登校など様々な悩みを抱える子ども、若者とその保護者などから相談を受け、包括的な支援を行っているコンパス。現在、常勤のスタッフは4人で、全員が教員免許など国家資格を持っている支援のエキスパートです。
施設長の内田啓太さんは、コンパスで行っている支援について、こう語ります。「オーダーメイドの伴走支援を活動の軸にしています。一人一人のステップに応じた支援を行っていくのが活動方針です」
概ね15歳から39歳までの子どもや若者を支援
コンパスは、西尾市が「子ども・若者育成支援推進法」に基づいて設置した拠点です。
様々な悩みを抱える子ども、若者とその保護者などから相談を受けて、修学、就職または生活に係る包括的な支援をワンストップで提供しています。概ね15歳から39歳までの子どもや若者、その保護者を対象に相談を受け付けています。
相談件数は増えている
開設からまだ1年足らずですが、相談件数は増えているといいます。
西尾市教育委員会事務局生涯学習課の鈴木貴之課長は相談件数について、「去年6月から今年3月末までに175人の利用がありました。想定は80人だったので2倍強ですね。今まで困っていた子供達がコンパスに相談しにきてくれたという状況です」と話します。
誰からも見てもらえない状況を防ぎたい
内田さんはコンパスの取り組みについて、「小中学校では学校に行かない児童・生徒は不登校というくくりになり、支援の手がありますが、高校だと退学になってしまうのです。そうなると、何にもカウントされない状態になってしまい、社会の誰からも見てもらえない状況になってしまいます。だからそういうところにセーフティーネットを張るのが私たちの仕事です」と話します。
地域との連携を図るため様々な場所を訪問
コロナ禍での活動ということで、支援の難しさもありました。
「オーダーメイドの支援をしていく中で、地域の活動やマルシェに一緒にいってみようとか、フードバンクやコミュニティーがあるから行ってみようか?という提案をするケースがあるのですが、コロナ禍でイベントが開催されないことも多かったです」と内田さん。
そこで、少しでも地域との連携を図りたいと、市内の様々な場所に足を運んでいます。市内に5カ所ある子ども食堂のひとつ、つるしろこども食堂にも連携を求めます。その他、地域の様々な場所に積極的に足を運び、連携を図ります。
オーダーメイドの支援で子どもが心を開く
コンパススタッフの藤井?大さんは、支援を続けて「適応指導教室あゆみ学級いっしき」に通えるようになったという小学生の男の子の様子を見にきました。あゆみ学級は、不登校の子どもたちを支援する教室です。藤井さんは時間を作って毎日のように顔を出しているそうです。
この男の子とは、最初はゲームの中でチャットをしながら会いました。今では一緒に話しながら散歩をするなど、寄り添っています。
様々な方法で支援を行っている
コンパスでは「ゆるい運動部」という活動も行っています。参加は自由で、事前に連絡する必要もありません。サークルのように気軽に、自分たちの居場所を感じられるようにと開催しています。利用者の一人に、参加の動機を聞いてみました。
「運動すると健康にもいいし、人とも関われて楽しいかなと思って参加しています。コンパスでは気持ちの整理の仕方とかを教えてくれるので、生活しやすくなってきたと思います」
相談者一人一人の状況に応じてオーダーメイドの支援を心がけているというコンパス。子どもや若者が地域交流や、スポーツなどを通じて、少しずつ前に進むための支援を今後も続けていきます。(取材・撮影:モーション・ビジュアル・ジャパン/文:石川玲子/2022年4月取材)
西尾市子ども・若者総合相談センター コンパス
2021年に西尾市の委託事業として開設されました。修学、就職、生活に係る包括的な支援をワンストップで行っています。39歳までの子ども・若者やその家族の相談をすべて無料で受け付けています。
場所:西尾市中央ふれあいセンター3F(愛知県西尾市錦城町162-14)
電話:0563-65-5200
開所時間:10:00~19:00
休み:月曜、日曜、祝日、年末年始
「シリーズ・コロナ後の地域を考える」は
キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」