各自治体が資源ごみとして家庭から回収しているペットボトル。このペットボトルが、回収後どんな風にリサイクルされているのか、みなさんご存知ですか?
愛知県安城市では、飲料メーカー大手のサントリーグループと東海地方の自治体では初となる「ボトルtoボトルリサイクル」を行う協定を結び、本格的な運用が始まっています。今回は、ペットボトルの再生利用がいまどこまで進んでいるのか、その最前線をお伝えします。
東海地方初!ボトルtoボトルリサイクルの協定
安城市が2022年4月からサントリーグループと始めた「ボトルtoボトルリサイクル」。ボトルtoボトルリサイクルとは、使用済みペットボトルを原料化し、新たなペットボトルに再利用することをいいます。
この取り組みを始めた背景について、安城市清掃事業所 所長の金田貢士郎さんに伺うと「これまでは回収後、大部分が一般のプラスチックとして他の用途に使われていました。一般用途になってしまうと、もうペットボトルとして使用できず、最終的には燃やされるなど、リサイクルの輪が途切れてしまいます。そうするとCO2の排出になってしまうので、ボトルtoボトルの推進が必要なのです」と教えてくれました。
全国的にも広がる「ボトルtoボトル」
実際にPETボトルリサイクル推進協議会が発表している、2012年度から2020年までの再利用されたペットボトルの用途を示すグラフを見てみると、かつては再利用の大半を占めたシートや繊維ですが、2020年度には繊維は大きく割合を減らしています。一方、13%ほどだったボトルtoボトルのリサイクルは、2020 年度には 約30%まで高まっていることから、ボトルtoボトルの推進が全国的に広がっていることがわかります。
安城市のリサイクルの仕組みとは?
では、安城市では実際どのようにペットボトルがリサイクルされているのでしょうか?
安城市では、市内のリサイクルステーションや小中学校、スーパーなど、複数の場所でペットボトルの回収を行っています。ペットボトルはキャップやラベルを剥がし、中を洗って回収場所に持ち込まれます。ラベルやキャップの着脱、水洗いをしていないと、リサイクルする際、影響が出るとのこと。
市内で一日に回収されるペットボトルは約 1,320 キロ。回収後、市内の処理施設に集められると、汚れたものやラベルなどが付いたままのボトルは手作業で取り除かれ、運搬しやすいように機械で圧縮され、まとめられます。
回収後は自治体から飲料メーカーへ
その後、まとめられたペットボトルはサントリー指定のリサイクル会社に買い取られます。ここで、細かく裁断された後、不純物が取り除かれ、きれいに洗浄されるとのこと。こうして再び原料へと生まれ変わると、ペットボトルに成形される前の「プリフォーム」と呼ばれる状態でサントリーグループの工場へと運ばれます。
そしてここで、ペットボトルが作られ、新しい飲み物を充填。再び店頭に並ぶのです。
リサイクル率向上に向けて
こうした安城市での取り組みをはじめサントリーでは、2012年に国内清涼飲料業界で初めてリサイクル素材100%のボトルを導入したのを皮切りに、積極的に「ボトルtoボトル」の取り組みを進めています。
サントリーのサプライチェーン本部包材部 専任部長の小松則夫さんは今後について、「大事なのは、新たに石油資源を使わなくて済むという点。再利用する工程でCO2は発生しますが、新たに作るのに比べれば60%以上削減できます。また2022年度までにサントリー全体のリサイクル率を50%以上にすることが目標です。そういった点で、安城市はよく分別されていて、今後このような自治体が増えることを期待したいです」と話します。
そのひと手間が、地球環境を守る第一歩
安城市、そしてサントリーグループが推進する「ボトルtoボトルリサイクル」の取り組み。今後、普及のカギはどこにあるのかについて、安城市清掃事業所 所長の金田さんは、「自販機横のゴミ箱には、飲み終わったボトルをそのまま入れてしまうことなどから、リサイクルが難しいのが課題です。家庭に持って帰って、洗ってリサイクルに回す工夫をしてもらうために、市民の方に協力を呼びかけていくことが必要だと考えています」と話します。
私たち一人ひとりのちょっとした努力によって、リサイクル率が一気に高まるペットボトル。あなたのそのひと手間が、地球環境を守る第一歩になります。(取材・撮影:オフィスげんぞう/文:石川玲子/2022年4月取材)
安城市 ペットボトルの出し方
ペットボトルは中を軽くすすいで、キャップとラベルを外し、下記の「拠点回収場所」へ出してください。ごみステーションでの回収はしていません。
産業環境部ごみゼロ推進課清掃事業所
電話:0566-76-3053
「シリーズ・未来へつなぐSDGsの輪」は、
キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」では、この地域で広がっているSDGsの取り組みや、活動を紹介しています。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。