コロナ禍で苦しむ観光業。西尾市観光協会では、アフターコロナを見据え、市内を巡る観光ツアー開催を目指しています。
2022年3月、愛知県西尾市東幡豆町の潮干狩り場と愛知こどもの国を舞台に、そのモニターツアーとして、「東幡豆海山の冒険プログラム」が開催されました。近ごろ人気のキャンプに潮干狩りがセットされた、子育て世帯が対象のツアーです。
今回は、アフターコロナを見据え、新たな観光開発のため行われたモニターツアーから、その可能性と課題に迫ります。
コロナ後を見据え『アウトドアの西尾』を広める
アフターコロナを見据え、西尾市観光協会が企画した「東幡豆海山の冒険プログラム」。 まずこの企画の狙いについて、西尾市観光協会の森隆司さんに伺いました。
「西尾市は、海で遊べる場所と山で遊べる場所が隣接している、とても魅力的なスポットがあります。コロナ禍でのアウトドアの需要もあるので、『アウトドアの西尾』というのも広めたいという意図があります」
こうした狙いもあり、西尾市は2022年3月19日、20日に参加者の反応をまず探ろうと、市内の魅力である海と山を満喫できるモニターツアーを開催しました。
潮干狩りからはじまるツアー
モニターツアーには、3組10人の家族連れが参加。今回のツアーのキーワードは『冒険』ということで、東幡豆町の海や山での体験を通じて、その魅力を満喫してもらいます。まず参加者は、海岸と前島(まえじま)が陸続きになるトンボロ現象がみられることで有名な東はず海岸で潮干狩り体験を行いました。挑戦するのはマテガイとりです。砂の表面を削って穴を見つけたら、そこに塩をかけて待つと、穴の中からマテガイが飛び出してきます。子どもたちは夢中になっていました。
潮干狩りが終わると、七輪を使っての海鮮バーベキュー。漁協から、獲れたてのアサリとハマグリの差し入れもあり、大満足の様子でした。
夜には山でキャンプ。薪割りや火起こしも
海を満喫したあとは、近隣にある愛知こどもの国に移動してのキャンプです。鳥のさえずりに似た音を出すバードコールを作ったり、宿泊するためのテント設営を自分たちの手で行ったりと、東幡豆の自然を満喫しながら一晩過ごします。
また、夕食のカレーライスづくりでは、火を起こすための薪割りから体験。焚火の着火も舞錐式(まいぎりしき)と呼ばれる方法で挑戦しました。
こうしたモニターツアーの企画内容について参加者は、「キャンプには行きますが、火起こしやテント設営まで経験できることはあまりないですしありがたいです」、「マテガイをとるのが楽しかったです」と、満足度も高いようです。
一方、こうしたツアーの企画は、施設側にとってもメリットがあるようです。
これまで来園者の減少が課題だった愛知こどもの国の小野田一男所長は、「こどもの国に来るのが初めてという人もいたので、色んな人に知ってもらえる、いい機会になりました。いいロケーションを持っていても使ってもらわなければ意味がないので、もっと知ってもらいたいですね」と、今後のツアーの展開に期待を寄せます。
ツアーを楽しんだ参加者たち。しかし課題も
観光協会の森さんは今回のツアーについて、「お客さまに楽しんでもらうために、良かれと思って用意したけど思った通りにならなかったものもありました。たとえば潮干狩りなども、一番とりやすい時間にご飯を食べる時間にしてしまっていたので、家族がゆったりとアクティビティを楽しむスケジュールを、どう作るかが課題ですね」と分析していました。
アフターコロナを見据え、西尾市内のツアーを計画する観光協会。今回のモニターツアーを参考に、一般向けのツアーとしての販売を目指します。(取材・撮影:オフィスげんぞう/文:石川玲子/2022年3月取材)
西尾市観光協会
モニターツアーのアンケートなどを元にツアーの内容を検討中。2022年夏の実施を目標にしています。
場所:愛知県西尾市花ノ木町4-64
電話:0563-57-7882
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東幡豆漁業協同組合
2022年の東幡豆海岸・前島潮干狩りは、8月12日まで体験することができます。詳しくは東幡豆漁業協同組合ホームページをご確認ください。
電話:0563-62-2068
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愛知こどもの国
100万平方メートルの広大な児童総合遊園施設。SL蒸気機関車から見える広大な景色が見どころ。その他、アスレチックやすべり台などの大きな遊具があり、子どもたちに人気。入園無料。休園日は愛知こどもの国ホームページをご覧ください。
場所:愛知県西尾市東幡豆町南越田3
電話:0563-62-4151
開園時間:9:00~17:00
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