地球温暖化は気候変動を引き起こし、川の氾濫や土砂崩れ、猛暑による熱中症など、私たちの生活に大きな影響を与えています。その対策として、日本が目指しているのが「カーボンニュートラル」。
温室効果ガスの排出量から森林などの二酸化炭素の吸収量を差し引いて、2050年までに全体でゼロにすることを目指すなかで、愛知県西尾市に本社を置くオティックスの取り組みに注目します。
カーボンニュートラルに取り組むオティックス
愛知県西尾市に本社を置くオティックスは、トヨタ自動車などを主要ユーザーとして自動車部品を製造・販売しているメーカーです。2018年に創業100周年を迎え、西尾市内に5つ、市外に2つの工場があり、海外にも拠点があります。
SDGsを実践し、冬は屋外設備のきれいな排熱を工場内に送り、暖房用に再利用することでガスの使用量を削減。また、乾燥機電気ヒーターを生産状況に応じて自動停止するなどで、電力消費の削減にも取り組んでいます。
さらに、主力部品を世界最小化・最軽量化したことにより、自動車の燃費向上と、材料の削減や生産性向上で、2022年2月に愛知環境賞優秀賞を受賞しました。
地域の環境づくりに貢献を
そして、オティックスが地域の環境づくりに貢献したいと2015年から続けているのが、森づくりです。これまでに自社の敷地内に27,000本を植樹し、「オティックスの森」と呼んでいます。
オティックス総務人事部の中嶋大貴さんに、この事業についての想いを伺うと、「森づくりは、地域や地球への恩返しであり、将来をになう子どもたちへの贈り物です。社員一人ひとりが森と共に地域の人と成長していけるよう願いを込めて取り組んでいます」と、話してくれました。
想いをこめた森づくり
この取り組みの1年目に植樹したのが、西尾市にある技術本館の周囲、約2,000平方メートルの敷地です。多くの地域住民や小学生にも参加してもらい植樹しました。それらの木々は6年が経ついま、大きく成長しています。
植樹した樹木の選定にも、想いが込められています。「昔から地域にある植物を選んでいます。本社ではタブノキやモチノキなどを中心に、豊田市の高岡工場ではアラカシやシラカシなどの樹木を中心に。それぞれの地域で植えるものを変えています」と中嶋さん。いまでは鳥たちが羽を休め木々が実をつける、本物の森に成長しました。
今後の活用も視野に
2021年には、西尾市にある西浅井工場のオティックスの森で、約2500平方メートルの敷地にタブノキやモチノキなど36種類を10,700本植えたといいます。
また、よりよい森づくりのためのアイデアを出し合う「森づくり会議」を開き、従業員らが率先して、今後の森の活用方法について意見を出し合っています。
その結果、どんぐりを使ったアートを地域の小学生に作ってもらう案など、地域を巻き込んだ施策が生まれているということです。 ?
それぞれができる温暖化対策を
世界的な森林減少が問題になるなか、企業が緑化を進めることは、カーボンニュートラルを実現するために大きな意義があります。
日本の2019年度の温室効果ガス排出量は、約12億1,200万トン。このうち二酸化炭素が約11億800トンで大部分を占めています。一方、同年度の温室効果ガスの吸収量は、約4,590万トン。森林によって約4,290万トン、農地管理や都市緑化活動の推進などによって約300万トンが吸収されています。
産業革命以降、世界の平均気温はすでに1度近く上昇したと言われています。オティックスの森づくりのように、それぞれができる温暖化対策の実践が地球で生きている私たちに求められているのです。(取材・撮影:映像舎 2022年2月取材)
オティックス
西尾市に本社を置くトヨタ自動車などを主要ユーザーとした自動車部品の製造・販売メーカー。2018年に創業100周年を迎えた。2022年2月10日に愛知環境賞優秀賞を受賞。
住所:愛知県西尾市中畑町浜田下10
電話:0563-59-6481
オティックス 公式webサイト
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