コロナ禍のリモートライフなどの影響で起こった半導体不足。それを皮切りに新車の生産が滞り、自動車販売店はどこも苦境に立たされているといいます。
そんな状況でも売り上げを伸ばしているのが、愛知県碧南市にある株式会社ALWAYS。今回は、新車の生産が滞るなか、整備やほかの業務で売上を伸ばすALWAYSを取材しました。
半導体不足による自動車販売店の苦境
碧南市伏見町にあるALWAYSは自動車メーカーの系列に属さず、クルマの販売や整備、修理などを行う、いわゆるまちのクルマ屋さんです。従業員は、社長を含む7人。少人数にも関わらず、去年は売上が1億2,500万円を突破するなど、コロナ禍でも売上を伸ばしています。
代表取締役の荒川武史さんに、半導体不足の影響について伺うと、「昔は常時2台~3台の展示車がありましたが半導体不足の影響で生産が間に合わず、いまは1つの自動車会社につき1台くらいしか貸してくれません。やはり展示されている車が売れるので苦しいところはあります」と話します。
顧客に寄り添うALWAYS
ALWAYSの魅力について、店を訪れるお客さんに聞くと、「車のこととなると、その時々で色々な支払いがありますが、支払いプランを丁寧にシミュレーションしてくれるので、安心してお任せできます」、「納車のときに花束をくれて、特別感を演出してくれました。そういう親切なところがいいですね」と、ALWAYSが愛されている様子が伝わってきました。
荒川さんは、「コロナが出はじめたときは、まずは点検や整備の延期などがありました。それでも、いまはwithコロナの考えが広まってきて、依頼は以前と同じ水準に戻ってきました」と話します。
しかし、売り上げが戻っていない部門もあるといいます。それが新車販売です。2021年のALWAYSの売上構成比は、新車の販売が57%と高い比率を占めていますが、この部分が半導体不足により落ち込んでいます。それでも売り上げを伸ばしているのは、車検整備などのお客様対応に秘密があります。
「お客様への連絡手段は、電話をかけるかメールを送るかなどのお客様に合わせた営業アプローチの方法を考えています。電話には出てくれなくてもLINEは返答してもらえるお客様もいらっしゃいますので」と話す荒川さん。こうした丁寧な対応が、お客様にも伝わっているのかもしれません。
点検整備にも独自の強み
さらに荒川さんは、元々整備士ということもあり、社長自ら顧客のクルマの状態を常に把握することができます。
「車っていうのはお客さんの財産です。私たちはそれを預かり、修理や整備をさせてもらっているので、期待に応える、それ以上のものを返していくという意識をもって仕事をしています。一人でも多くの従業員が車の中を把握することができれば色々とアドバイスもできますので」と、荒川さん。ALWAYSの顧客に寄り添った考え方こそが、売り上げを伸ばす秘訣となっています。
新たな事業、新しいつながり
2017年からは、業務拡張として新たに「ペット葬儀」もはじめたというALWAYS。近年、ペットの長寿命化、高齢化が進むなかで、業務の多角化を狙い始めたといいます。
荒川さんは、地元の企業家との交流が、新事業に挑むきっかけとなったと話します。「会合や勉強会などに行くと、毎回のように自己紹介があり、自分という人間を知ってもらう機会があります。そのため、『車といえば荒川さんのとこだ』と覚えてもらえるように、また新たな事業を考えるきっかけになっています。」
次の波を見据えて顧客に寄り添う
コロナ禍でも売上げを伸ばす碧南市のALWAYS。そこには顧客に寄り添う姿勢と丁寧な仕事ぶりで、安全安心を提供するという基本がありました。
最後に荒川さんに今後の目標について伺うと、「電動化の波をいち早く捉えたいです。車が電気化するのが世界的な流れ。車検制度などもそれにともなって変わるので、変わってから対応するのではなく、前もって準備していけるようにしたいです」と話してくれました。荒川さんの目は、コロナ後の先を見つめています。(取材・撮影:オフィスげんぞう/文:石川玲子/2022年1月取材)
株式会社ALWAYS
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