2021年11月に愛知県安城市にあるアンフォーレで開かれた「ケンサチeフェス」。eスポーツなどのデジタルコンテンツを地域の社会課題解決につなげ、将来的にSDGsのゴールを目指すツールとして活用しようと開かれました。
社会課題解決の1つの手段として、eスポーツを選んだ安城市。その狙いと何か?イベントを取材しました。
デジタルコンテンツに興味を持ってもらうために
2021年11月に安城市中心市街地拠点施設アンフォーレで開かれた「ケンサチeフェス」。市内在住の小学生16チーム、48人がAR技術を使った最先端スポーツ「HADO」を体験し、トーナメント形式で競いました。
主催した安城市 健幸=SDGs課の沓名智和さんは、「今後、必要とされるデジタル人材育成と、その足掛かりのためのプログラミング教室を行い、デジタルコンテンツそのものに興味をもってもらうためにこのようなイベントを開催しました」と話します。
「誰も取り残さない」ためのeスポーツ活用
そもそも、なぜ安城市ではSDGsに取り組むためにeスポーツを選んだのでしょうか?
「eスポーツは、性別や年齢、国籍、障害の有無など、さまざまな状況に対して垣根の低いスポーツという風に考えています。誰もが活躍できるステージを用意でき、SDGsの『誰も取り残さない』という理念に合致しているからです」と、沓名さんは話します。
その狙いのもと、安城市は2021年8月に市内の介護事業者を対象にしたワークショップを開くと、参加者からは「介護現場で、オンラインで離れた人と対戦できる楽しみや、勝負を楽しむことが生きがいにつながる」と、前向きな意見がでたそうです。
「ケンサチ」の理念でSDGsを成し遂げる
「健やか」と「幸せ」をつないでいくことをテーマに「ケンサチ」プロジェクトをスタートさせた安城市。
安城市生涯学習課や高齢福祉課のほか、安城商工会議所青年部、碧海信用金庫、スギ薬局などのメンバーが実行委員会として参加し、官民連携の構成としました。SDGsの17の目標のひとつでもある「パートナーシップで目標を達成しよう」という理念に基づいています。そして、市制施行70周年のプレイベントに位置づけ「ケンサチeフェス」が開かれました。
誰もが楽しめるAR技術を使ったeスポーツ
多くの参加者が集まった「ケンサチeフェス」当日。参加した子どもたちが体験したのは、AR技術を使った最先端スポーツ「HADO」です。日本発のARスポーツ「HADO」は、3対3のチーム戦でエナジーボールやシールドなどの技を駆使し、80秒間の試合時間で点数を取り合って対戦するeスポーツです。2021年現在、世界中に広まっていて、36か国以上の国々でプレイができるようになっています。参加した子どもたちも、HADOがドッジボールに似ているなどの理由から、興味を持ち参加したようです。
実際に体験会がスタートすると「簡単でとても楽しかった」など、多くの子どもたちが最先端eスポーツを楽しんでいました。
課題解決のために今後もeスポーツを活用
またHADO以外にもプログラミング体験教室などが開かれ、多くの人たちで賑わい、無事に幕を閉じた「ケンサチeフェス」。市では、市制施行70周年を迎える2022年度に、より規模を拡大した形でのイベントを実施していく予定です。
安城市健幸=SDGs課の沓名さんに今後の課題や目標を伺うと「まだまだ課題はありますが、より裾野を広げるためにeスポーツなどのデジタルコンテンツを楽しみながら学ぶ、知る、イベントを行っていきたいと考えています」と話してくれました。
安城市民が住み続けることができ、一人ひとりが生活の豊かさと幸せを実感できるようにする取り組みはまだ始まったばかりです。(取材・撮影:モーション・ビジュアル・ジャパン/文:石川玲子/2021年11月取材)
安城市 企画部 健幸=SDGs課
場所:愛知県安城市桜町18-23
電話:0566-71-2204 (企画政策係)
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