2021年9月26日、愛知県知立市の遍照院で「寺の夜市~祈りのキャンドルナイト~」が開催されました。灯籠やキャンドルのやさしい光に包まれた幻想的な境内で、様々な店舗が並ぶマルシェやアーティストの美しい歌声が、訪れた人々にひとときの癒しを与えました。
今回は地域を元気にしたいと奮闘する寺の市のメンバーの姿を取材しました。
遍照院周辺を盛り上げるために
知立市弘法町の遍照院で毎月第3日曜日に開かれるマルシェ「知立・弘法さん遍照院 寺の市」。
このイベントは、かつて多くの参拝者が訪れた遍照院の賑わいを取り戻し、地域発展のためにと2009年に弘法の命日にあわせスタート。その後日時を変え、軽トラックで品物を販売する「軽トラ&手作り市」や、弘法通りを歩行者天国にした「弘法笑店街 道の市」、そして現在の「寺の市」と、時代の流れとともにメンバーや形を変え街の賑わいをつくってきました。
現在、寺の市の代表を務める梨本二郎さんに寺の市の魅力について聞いてみました。
「始めたころは数店舗だったのが、いまでは100店舗近く出店してくれ、毎回多くの人たちが訪れます。遍照院の新たな賑わいづくりに繋がっています。また出店者も来場者も来てくれた人が次の人を呼んでくれ、人の繋がりが広がっていると感じ、本当に感謝しています。」
コロナ禍で2021年は半分以上が中止に
10年以上に渡り遍照院を盛り上げようと活動してきた「寺の市」。しかし、このイベントにも新型コロナの影響は大きな影を落としていました。
2021年は緊急事態宣言などの影響もあり9月までで半分以上が中止に。梨本さんは、「コロナ禍でさまざまなイベントが中止になり、何もできない状況が続いています」と語ります。また、運営に携わる山盛奈未さんは、「出店者も出店する場所がなくて苦しい思いをしています。毎月、やるかやらないか重い決断を迫られています。中止になると少し気持ちが落ち込みますし...」と話してくれました。
街の賑わいを守るために夜市に挑戦
それでも梨本さんたちは今できることを模索し、2021年9月26日に遍照院の千燈供養祭に合わせ規模縮小する形で初の夜市に挑戦することを決めました。 「何もできないと諦めるのではなく、色々な思いがある中で、地域の人たちが喜ぶ企画をしたいと思いました。夜市では竹灯籠を並べ、訪れた人に少しでも和んでもらえればと思っています。」
街の賑わいを守り、コロナ禍でも地域の人たちに笑顔になってもらいたい。そんな願いから「寺の夜市~祈りのキャンドルナイト~」の開催が決定したのでした。
迎えた開催当日。朝からトラブルも...
こうして迎えた寺の夜市当日。しかし朝から雨が降り続き、思うように準備を進められずにいました。「雨で機材の搬入が難しく、1組のアーティストが欠席となりました」と、電話を受けた山盛さんは肩を落とします。
それでも寺の市のメンバーは、マルシェの出店場所を急遽変更するなど、夜市を成功させるために雨の中を駆け回ります。「知立にこんな魅力があることを知ってほしいのと、みんなが同じ願いを持っていることを知ってほしいと思っています」と語るメンバー。
夜市を通じてコロナ収束を願い、街の人々に笑顔になってもらいたいという願いが通じたのか、夕方になると雨は止み、無事に開催することができました。
寺の市をみんなの生きがいにするために
千燈供養祭のために遍照院に並べられ約700個の提灯。さらに沿道に置かれたキャンドルや灯籠。さまざまな願いが込められた灯火で織り成す寺の夜市の景色は、訪れた人に癒しのひとときを与えます。
訪れた人に話を聞くと、「とても綺麗でした。コロナが終息して、またこれまでのように過ごしたいです」「コロナ禍でみんなが生きづらい日々が続いているので、はやく元通りに過ごせるように願いを込めました」など、それぞれ感じることがあったようで、夜市は無事成功し幕を閉じました。
「もっと多くの地域の人たちに寺の市と遍照院の魅力を知ってほしい。さらに若者から高齢者までさまざまな年代の人に参加してもらって、寺の市がみんなの生きがいになるよう地域を盛り上げていきたい」と、今後について語る代表の梨本さん。
コロナ禍を生きる人々の想いを繋いだ「寺の夜市~祈りのキャンドルナイト~」の開催は、これからの地域発展への大きな転機にもなったようです。(取材・撮影:ビデオハウス/文:石川玲子/2021年9月取材)
知立・弘法さん遍照院 寺の市
知立市の誇る観光名所「遍照院」の境内で、毎月第3日曜日に開かれているマルシェ。新鮮な野菜や果物、手作りのアクセサリーや雑貨、陶芸品、工芸品などが販売されています。
開催日時:毎月第3日曜日
開催時間:9:00~13:00
開催場所:弘法山 遍照院 (愛知県知立市弘法町弘法山19)
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