新型コロナウイルスの影響で激変した学習環境のなか、様々な制約を受けてきた受験生。
本格的な受験シーズンを迎えたなか、中学生に話を聞くと「例年通りいかなくて不安でいっぱいです」という声が、さらに高校生からも「授業のペースが早く大変だった」などの声が聞こえてきました。やはり多くの受験生がコロナ禍で受験に不安を感じているようです。
今回はコロナ禍での高校、大学入試の受験事情を取材しました。
受験シーズンを迎え、不安を抱える受験生
まずは高校入試の情報です。
2020年度の高校入試に挑む中学生たちは、2020年春の臨時休校で学習進度などに大きな影響が出ました。休校中は家庭学習がメインになり、勉強の習慣が上手く作れなかったことを悔やむ生徒もいました。また、はじめての入試に戸惑ったり、受験前にコロナ感染してしまうことを心配したりと不安を抱えている受験生も多くいるようです。
2020年度の公立高校入試におけるコロナ対策の現状を、愛知県教育委員会の川手文男さんに聞きました。
高校入試は従来の日程のほかに特別日程も
愛知県公立高校の入試日程では、一般選抜の学力検査にはAグループ(2021年3月5日)とBグループ(2021年3月10日)の二つの日程が設けられており、それぞれに追検査があります。
2020年度はコロナ対応として、4回のうち1回でも受験できていれば仮に相手校が受験できていない場合でもその成績で合否が判断できるようにしています。さらに全日程受験できなかった受験生に対して、特別の追検査が2021年3月24日に、万が一特別の追検査で合格校が無かった受験生については特別の第2次選抜が3月29日に実施されます。
客観的に弱点を把握し対策するのがポイント
続いて高校入試のエキスパート、佐鳴予備校の河内将郎先生に2020年度公立高校入試の出題傾向と対策について聞きました。
河内先生は出題傾向について、基礎的、基本的な問題を重視するという発表がされているものの、難しい問題を出さないとは言われていないと指摘します。そのため中学1、2年生で習う範囲での応用問題への対策も必要と分析しています。
そのほか、入試直前の勉強では客観的に弱点を把握して対策をとるのが効果的というアドバイスをしてくれました。
新たにはじまる大学入試共通テスト
大学入試における2020年度最大の変更点はセンター試験から大学入学共通テストへの移行です。これまでより思考力、判断力、表現力が重視されるようになります。受験生からは初めて行われる試験や、新型コロナ感染拡大による試験への影響など不安の声が聞こえてきました。
共通テストの第1日程は2021年1月16日と17日。コロナの影響による学習の遅れが学校長に認められた生徒や、病気などで第1日程を受けられなかった受験者を対象に、第2日程が1月30日と31日に設けられています。さらに、第2日程を受けられなかった受験者には、2月13日と14日に特例追試験が実施されるなどの対策がとられます。
センター試験との違いとは
佐鳴予備校の井上大輔先生にセンター試験との違いについて訊ねました。
共通テストでは、数学の制限時間が60分から70分に、英語リスニングの配点が50点から100点に変わっています。また文章の読解問題が増え、複数の選択肢を選ぶケースも出てくるといいます。そのため、これまでよりも問題文をよく読まなければならず、文章を読む時間配分にも注意が必要とのことでした。
受験者の傾向としては、2020年度共通テストは浪人生の受験数が減ったこともあり、現役生たちは難関大に頑張って受験しようという気持ちが出てきているように感じるということです。
入試改革に伴い面接方法に変化も
2020年度は入試改革に伴い、入試の名称も変更されました。すでに行われている、学校推薦型選抜などの実施方法がコロナ禍で大きく変わったといいます。
佐鳴予備校の井上先生によれば、学校推薦型選抜での面接もオンラインでの面接が行われているそうです。対面ではないので画面越しに、いかに自分の長所や特性をアピールできるかの工夫が必要になってくるといいます。オンライン面接を採用する大学も増えましたが、通信環境の整備や不具合が発生した時の対策など、まだまだ課題が多いようです。
コロナ禍で入試に挑む受験生たち
最後に試験会場での注意点をお聞きしました。
「コロナ対策により試験会場で換気が行われると急に寒くなる可能性があり、例年に比べて温度調節が大変になってくると思います。脱ぎ着できるような着替えや上着を持参し、カイロの準備などが必要になると思います」
コロナ禍で迎えた受験シーズン。様々な対策が実施されるなかで、受験生たちは未来を左右する高校・大学入試に挑みます。
(取材・撮影:ビデオハウス/文:石川玲子/2020年12月取材)
佐鳴予備校 刈谷本部校
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