
掃除で有名なダスキンのフランチャイズ1号店を運営している企業が、愛知県碧南市にあるクリーン商事です。仕事や家事を頑張る人の応援・協力・サポートをしたいと始めたのは、美容院や保育園でした。働く女性を支える事業展開で地域に新風を巻き起こす地元企業に迫ります。
予約なしの美容院
碧南市のヘア&ビューティーサロンcleanは2024年3月にオープンしました。一見、普通のサロンに見えますが、ここは事前予約が不要な美容院です。クリーン商事の代表取締役 鈴木康司さんに話を聞きました。
「忙しすぎて、予約しても予約通りに来られない、そういう方のために『今日なら行ける』となった時にいつでも行ける美容院を作ろうと思いました」
事前予約は一切なしで、隙間時間など気が向いた時にいつでも立ち寄れる美容院です。カットは2970円からと低価格なだけでなく、高品質な設備や技術で地域の女性を中心に人気を集めています。
待ち時間も有効活用してほしい
「コンセプトは、いつも仕事と家事を頑張る方がちょっとした自分時間を作れる場所です」と鈴木さんが話すように、待合室はまるでコワーキングスペースのような雰囲気になっています。予約不要な分、待ち時間ができてしまうこともあるため、その際には待合室に仕事や趣味を持ち込んで待つことができるようにと考えたそうです。
性別に関わらずのびのび働ける環境を
この美容院を作ったクリーン商事は、ダスキンのフランチャイズ全国1号店として、掃除や家事代行サービスを主な事業としてきました。そんなクリーン商事が、なぜ異業種ともいえる美容院を作ったのでしょうか。鈴木さんは、「仕事と家事を頑張る方の応援、協力、サポートをするために、企業としてうちができることをやろうと考えました」と語ります。
1963年創業のクリーン商事は、掃除や家事代行を行う従業員の大半が女性ということもあり、時代の変化に伴って、家庭を持ちながらも性別に関わらずのびのびと働ける環境づくりが必要と考えました。
女性が安心して働くための自社保育園
そこで、クリーン商事は2019年に社屋と同じ敷地内に保育園を開園しました。出社前の従業員が子どもを預けに来るほか、ダスキン事業で取引のある顧客の子どもや地域の子どもも受け入れています。
自社保育園を作ったきっかけは、子どもを預けて働くための制度の不便さからだといいます。元々女性の多いクリーン商事には、採用面接にも小さい子どもを持つ女性が来ます。保育園は、まだ仕事が決まっていない段階では入れてもらいにくく、採用面接に来た応募者の子どもがまだ0~2歳だと、まずどこで預かってもらうかという問題が必ず出てきたのだそうです。
保育園を利用しているスタッフの声
「女性が安心して働ける職場づくりとして、子どもを預けられる環境が必要だなと思ったんです」と話す鈴木さん。実際に保育園を利用している女性スタッフに話を聞いてみると、「すぐ隣にあるということで、何かあった時にお迎えにもすぐ行けるのがメリットです」「子どもを預けて働きたくて入社しました。お客様が、あなたが来てくれて良かったと言ってくださって、一生懸命頑張ることでお客様に喜んでいただけるのがすごくうれしいです」と、保育園があることで仕事でも力を発揮できている様子でした。
会社にとっても大きなチャレンジだった
これまで掃除事業を主にしていたクリーン商事が美容院や保育園を始めるにあたって、当初は様々な意見がありました。当時のことを、クリーン商事勤続35年になる嶋貫健さんに聞きました。 「最初は、新しいことに挑戦することに社内でも不安がありました。しかし、新しい事業にみんなでチャレンジするというのも会社にとって大切なことだということで始まりました」
そのかいがあって、以前は子育てがひと段落した世代が多く働いていたそうですが、現在は幅広い年齢層の従業員が働きやすい環境に変わっています。
共通した信念がある
様々な事業を展開する中でも、クリーン商事には共通して持っている信念があると鈴木さんは語ります。
「家族の幸せ、自分の幸せ、そうしていい家庭にしたいというコンセプトはどの事業でも同じだと考えています。それぞれの事業は違うようでも、家族や自分、家庭を『より良く』という点では同じなんです」
新たな事業を展開
そんなクリーン商事が2025年春から新たに始める事業が、ミールキットの販売です。ミールキットとは、下ごしらえが済んだ食材をパックにしたセットのことで、中にはレシピが同封されています。
「元々、お掃除で困っていらっしゃるお宅に、モップのレンタルやお掃除のお手伝いをさせてもらってきました。でも、困っているのは掃除だけではなくきっと家事全般だということで、食事の面でもお手伝いができないかと考えました」
働きながらの家事に新たなスタンダードを
初めは弁当屋を開くことも考えたそうですが、出来合いの物を買ってきて済ませることに罪悪感を持ってしまわないかと危惧したそうです。そこで、下ごしらえされた材料で最後の調理を自分で行うミールキットという形で、自分の家族に自分の手料理を食べてもらいたいという気持ちをサポートする事業を行うことにしました。
「(ミールキットが)働きながら家事をする人にとって新たなスタンダードになっていくのだと思っています」
ミールキットは、申し込んだ人の自宅や職場へ配達するほか、ヘア&ビューティーサロンcleanでも販売する予定です。
この地域に貢献したい
最後に、2023年に60周年を迎えたクリーン商事がこれから目指すものを聞きました。
「これまでずっと碧南で商売をさせてもらって、スタッフも150名近くになりました。みんなこの地域で暮らしています。スタッフを含めこの地域の人たちのために地域貢献していきたい。そのためにも女性だから男性だからということは関係なく、働きやすい職場を作っていきたいですね」
(取材・撮影:PAQLA /リライト:石川玲子 2025年1月取材)
クリーン商事
愛知県碧南市中後町2-5-2
公式サイト
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