愛知県高浜市のおとうふ工房いしかわでは、企業理念のひとつに「地球の環境を考える」を掲げ、古紙回収やとうふ容器のリサイクル事業などをスタートさせています。
今回は、プラスチック削減など地球環境を守る活動を進める、おとうふ工房いしかわの取り組みを紹介します。
高浜市のおとうふ工房いしかわ
株式会社おとうふ工房いしかわは、高浜市に本社を構え、国産大豆を使った豆腐をはじめ、パン、ドーナツ、スイーツなど大豆加工食品の製造、販売のほか、飲食店の経営をしています。1991年に家族経営の小さな豆腐店から法人化し、社是「全ての人を幸せにしたい」を元に、持続可能な社会を目指すSDGsに関する取り組みも行っています。
代表取締役、石川伸さんに話を聞きました。
「私たちの中で大切にしているのが『だれひとり取り残さない社会』です。そして、パートナーシップで問題を解決するということ。具現的な活動をすることがすべてにつながっていくと考えます。」
青空朝市の古紙回収
おとうふ工房いしかわでは、毎月1回、第1土曜日に青空朝市が開催されています。体にやさしいこだわりの豆腐がお値打ちに買えるとあって、毎回、多くの人が訪れます。そんな朝市の一角では、新聞など古紙の回収が行われており、回収された古紙から得た利益は、全額、NPO法人に寄付され、子どもたちの食育に関する活動資金に充てられています。
来場者に話を聞いてみました。
「朝市に来るのを楽しみにしていて、来るときは大体古紙を持ってくるようにしています」
「古紙回収は環境にやさしいと思います。近年はSDGsなども注目されているので、いいことだと思います」
環境にやさしいおとうふ教室
2024年8月27日。「環境にやさしいおとうふ教室」が開かれました。これはおとうふ工房いしかわで行っている地域貢献活動の一つで、地球環境を考える活動にもなっています。日本の食文化にふれるこの教室では、実際に豆乳と「にがり」を混ぜて、豆腐づくりを行ったほか、豆腐パックのリサイクルについても学びました。
参加者に話を聞いてみました。
「資源はいつか無くなってしまうので、こういうことを企業が主体的にやるのはいいと思う」
「子どもにとっても、いい体験になると思う」
「環境のことを考えながらおとうふを作っていることを知って驚いた」
くるりんパック事業
おとうふ工房いしかわでは2023年、材料に炭酸カルシウムを配合し、プラスチック使用量を23%削減した、リサイクルマークのない豆腐容器を日本で初めて開発しました。
そして現在、その容器を含む全ての豆腐パックをリサイクルしようと「くるりんパック事業」をスタートしました。
プラスチック削減容器は、回収、粉砕した後、専門の業者でペレットにします。そして、そのペレットから作られたのが、「まあるい定規」です。
地域福祉活動も担う
リサイクル材料を定規にするアイデアは、小学生の頃に体験した出来事がきっかけだったと石川さんは言います。
「給食で出た乳酸菌飲料の小さなプラスチックの容器が、定規になったものをもらったんです。ゴミだと思っていた容器が、定規になるというのは、子どもの頃の自分には驚きで、その定規をとても大切にしていました」
定規を入れるパッケージのデザインは、安城市の特別支援学校の生徒から募集したイラストを使用し、定規の封入作業は、高浜市の授産所に依頼するなど、おとうふ工房いしかわの地域福祉活動の一環にもなっています。
4年生を対象とした環境教育の出前授業
2024年、高浜市内の全ての小学校を対象に、4年生を対象とした環境教育の出前授業が行われました。
授業では、石川社長自ら講師を務め、地球温暖化など、気候変動によって豆腐の原料となる大豆が育たなくなったり、海や川など、水が汚染されることによって、豆腐作りに必要なにがりができなくなったりすることなどを説明しました。
再利用していた社会も教えていきたい
石川さんは出前授業の感想をこう語ります。
「子どもたちが興味をもって話を聞いてくれたのが、うれしかったです。私が授業の中で『昔は鍋に水を入れてお豆腐を買いに行ったんだよ』と話したら、みんな驚くんです。お豆腐やさんはもう身近な存在ではない。一升瓶の存在を知らない子もいる。そういうものを再利用していた社会も教えていかなければいけないのだと思いました」
リサイクル事業のさらなる展開を
高浜市の学校給食で使われている、おとうふ工房いしかわの豆腐。調理の際に発生する豆腐パックを、給食室から回収、リサイクルする取り組みが、年度内にスタートする予定です。さらに、直営店での自社製豆腐容器の回収も、愛知県環境局と協議を重ねながら、今年度中の試験回収を目指すだけでなく、再資源化ペレットの販売や、定規以外のリサイクル製品の開発にも取り組んでいく予定です。
石川さんは、この事業が他のとうふメーカーや他の食品会社の人も参加できる取り組みになっていけばいいと語りました。(取材・撮影:シークラウド映像舎/リライト:石川玲子 2024年9月取材)
おとうふ工房いしかわ
住所:愛知県高浜市豊田町1丁目204-21
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