夏の暑さは年々厳しくなっています。2024年は、愛知県でも6月に30度を超える真夏日を観測し、これからの時期は特に健康を害するほどの暑さが心配されます。
今回は、人々の健康を守るため、熱中症への対策に取り組む自治体や地元企業の「今」を取材しました。
熱中症特別警戒アラートの運用開始
2024年4月から、熱中症特別警戒アラートの運用が開始されました。過去に例のない危険な暑さが予測され、人々の健康に係る重大な被害が生じるおそれがあります。
こうした危険な暑さから身を守る場所として全国各地の市町村が取り組みを進めているのが「クーリングシェルター」の設置です。クーリングシェルターとは空調を完備した施設のことで、夏の期間中、一時的に暑さをしのげるように公共施設などを開放する取り組みが広がっています。
碧南市のクーリングシェルター
碧南市で「クーリングシェルター」に指定されている碧南市ものづくりセンター所長の加藤巖さんに中を案内してもらいました。
「ここは展示スペースだったんですが、ものづくりセンターがクーリングシェルターとなったので椅子などを多めに置くようにしました。期間中は毎日クーリングシェルターとして利用することができます」
空調が完備された一部公共施設を開放する碧南市のクーリングシェルターは、現在市内20ヶ所の施設が指定されており、開館時間中、休憩に利用することができます。
気軽に使える夏の涼み場
碧南市環境課 澤田貫さんは、「近年、夏の暑さも尋常ではなく、暑い時期も長いということもあるので、市内で20か所の公共施設にクーリングシェルターを開設するに至りました。『シェルター』という避難所のような名前になっていますが、夏の涼み場ということで、気楽に公共施設を使っていただければと思っております」と話してくれました。
刈谷市のクールシェアスポット
刈谷市では、市役所をはじめ、市内の23施設を「クールシェアスポット」として開放しています。施設には薬剤師会監修の熱中症予防グッズを設置しています。
熱中症警戒アラートが発表された場合は市保健師から健康情報をLINEで配信するなど、本格的な夏の訪れを前に、準備を進めています。
安城市の取り組み
さらに安城市では「熱中症対策アンバサダー講座」という取り組みも行われています。
大手製薬会社である大塚製薬が行う熱中症対策講座を受講後に、テストを受け合格すると熱中症対策の啓発や普及活動を行うことができる知識が身につくというもので、市長や教職員、保育士らが参加しました。
このように、それぞれの自治体が熱中症への対策強化を図っています。
地元企業の暑さへの取り組み
さらに、暑さ対策への取り組みは民間企業にも広がっています。西尾市の丸福繊維は日焼けを防止するフェイスカバー「ヤケーヌ」が累計販売点数240万点の大ヒットを記録するなど、紫外線・熱中症対策グッズを製造販売しているメーカーです。
その丸福繊維が、今最も力を入れている商品を丸福繊維 代表取締役 村瀬智之さんに紹介していただきました。
「こちらが『SHABŌ(遮帽)』という商品です。暑さ対策の商品で、これからの時期の熱中症対策にも役立てていただきたいと思っています」
高い遮熱効果と通気性を備えた帽子
SHABŌ(遮帽)の内側には銀色の遮熱素材が使われており、非常に高い遮熱効果と通気性をあわせ持っています。一般的な帽子に比べ、涼しく着用できるのが特徴だそうです。
「2024年の春先から発売しましたが、予約で完売に近い状態になっています。3層構造になっていまして、光や熱を浴びても跳ね返すという効果と、向こう側が透けるぐらいの通気性があります。高い遮熱率と通気性、それを同時に実現することで、すごく涼しいメカニズムになっています」
「アルミクールテック」の効果
秘密は帽子の裏側に使われている「アルミクールテック」という銀色の特殊な素材です。太陽熱を反射する一方で、通気性の良い構造にすることで頭の中にも風が通るようになっています。これによって帽子がない時と比べて、マイナス10℃の差が感じられるという実験結果も出ています。
熱中症の原因は気温だけでなく湿度も大きく影響すると言われていて、遮熱と通気性を兼ね備えた帽子は、熱中症対策として役立つことが期待されています。
農家との強いつながりから生まれた帽子
丸福繊維は昭和27年創業の農業用衣服のメーカーです。「SHABŌ(遮帽)」の開発に至った理由を教えてもらいました。
「もともと私たちは農作業服のメーカーでしたので、農家の方とのつながりが非常に強かったんです。アルミクールテックの銀色の素材は農業でよく使っている、ハウスの温度が上がり過ぎないようにする農業用の素材です。それを帽子に転用できないかということで、農家の方からお持ち込みいただいて製作を依頼されたことがきっかけで、この帽子は生まれました」と村瀬さんは話してくれました。
農作業用から一般消費者向けに
農作物を暑さから守るためのハウス用遮熱シートを、独自の技術で改良したのがアルミクールテックです。元は縫製用ではないこの素材を使って商品として開発する中でも、農家の方々から直接意見を聞き、反映させていったということです。
始めは農作業用の帽子として販売していましたが、年々高まる暑さへの警戒感から、2023年にデザインを変えて一般消費者向けにも販売を開始したところ、発売からわずか1ヶ月で完売しました。SHABŌ(遮帽)は、熱中症特別警戒アラートの運用開始を受けて製造数をさらに増やしていく考えです。
地域全体で猛暑への対策を考える
村瀬さんは、「農業に限らず暑さ対策や日焼け対策、紫外線対策で当社の製品をお役立ていただいています。農作業以外でも暑さ対策は非常に課題だと思うので、命を守るというぐらいの心づもりで商品を引き続き開発努力していきたいと思います」と語ってくれました。
夏の暑さは年々深刻化し、条件次第で誰もが常に熱中症にかかる危険性があります。熱中症対策グッズやクールダウンできる場所を日頃から知っておくことで、重大な健康被害を防ぐことができます。例を見ない猛暑への対策を地域全体で考え、備えるようにしましょう。(取材・撮影:PAQLA /リライト:石川玲子/2024年6月取材)
株式会社丸福繊維
住所:愛知県西尾市戸ヶ崎町豊美5番地
「シリーズ 新しい時代を生きる」は、キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。
「シリーズ 新しい時代を生きる」
コロナを経た社会、物価の高騰、少子化による人口減少など、様々な課題がある中、乗り越えようと取り組む地域の人たちを取材し、ともに地域の未来を考えます。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。
近所の気になる話題を検索!
検索ボックスに気になるワードを入力して、検索ボタンをポチッ!
【うなぎ】【ラーメン】【スイーツ】などのグルメ情報や、【公園】【イベント】【祭り】などのお出かけ情報も満載♪