愛知県安城市の名鉄桜井駅のすぐそばにある惣菜店「みつばち食堂」。店頭に並ぶのは、栄養バランスを第一に考えた、彩り豊かなお弁当です。オープンから1年あまり。体の中から健康になれるお弁当や惣菜が多くの人の心をつかんでいます。
店主の櫻庭仁乃さんは、仕事や子育てに頑張るお母さんたちを助けたいと、今、ある試みを始めています。その名も「サブスク惣菜」。家庭を支えるお母さんを、食事の面から支えたいという、みつばち食堂の挑戦を見つめます。
こだわりは栄養バランス
午前4時。みつばち食堂ではお弁当作りが既に行われています。彩り豊かな野菜に、出汁がしみ込んだ煮物、そして食欲をそそる揚げ物。この日櫻庭さん夫妻が準備したのは100食分のお弁当です。みつばち食堂のこだわりは栄養バランスです。
「なるべくたくさんの食材を使うようにしています」と語る櫻庭さんは、女子バレーボールチーム、デンソーエアリービーズの元・寮母という、異色の経歴の持ち主です。
健康になれるお弁当を
アスリートを長年支えてきたその味つけにもこだわりが。それが、発酵調味料です。甘酒や醬油麹、味噌などを使い、体の中から健康になれるお弁当を目指しています。
櫻庭さんは「何か一つでも健康になれるものが入っているようなお弁当を作って、健康になれるお手伝いをさりげなくしたいです」と話します。
平日も多くのお客さんでにぎわう
訪れたお客さんに話を聞いてみると「身体に気をつかっているので、こういうお惣菜はありがたいです」 「自分ではなかなかこれだけの品目は用意できないので助かります」と、好評のようです。
お母さんたちのサポートをしたい
「地域の食卓」をモットーとするみつばち食堂が特に力を入れているのが、家庭でがんばるお母さんたちのサポートです。櫻庭さん夫妻に子どもはいませんが、周りの人や、交流のある元アスリートの姿を見て、その必要性を感じたと言います。
「お母さんは本当に大変です。もっと楽にしてあげたいと思っています。お弁当をごちそうと考えて買う人は少ないと思います。手抜きしちゃってごめんね、という感覚の人が多いと思うので、そうじゃなくて、『今日みつばち食堂のお弁当なんだ!やったー!』って家族が言ってくれるような、そんなお惣菜を提供したいです」
定期的に惣菜を提供する「サブスク惣菜」
家庭を支えるお母さんを食事の面から支えていきたいと考えた櫻庭さんは、新たな試みを始めようとしています。それが「サブスク惣菜」です。自慢の惣菜を真空パックに詰め、希望者に定期的に提供していく仕組みです。まずは11月から店舗での受け取りサービスを開始し、年明けには、配送サービスを実現していく見込みです。
このサブスク惣菜を実現しようと、櫻庭さんたちはこの夏、クラウドファンディングを実施し、見事目標の50万円を達成しました。多くの人の応援を受け、サービス開始の準備を急ピッチで進めています。
モニターによるニーズの確認
サービス開始を目前に控え、櫻庭さんはモニターによるニーズの確認に取り組んでいます。この日は、1人のモニターのもとに惣菜を届け、生の意見を聞いていました。
「常連のお客様にモニターになってもらって、惣菜を届けています。月曜から土曜までフルタイムで働いている方なので、ご意見を色々いただいて、一緒に商品を作っているところです」と語る櫻庭さん。やってきたのは安城市内に暮らす山本希恵さんの自宅です。
「心の余裕がうまれ生活の質が高まる」
夫婦共働きで、2人の子どもを育てている山本さんに、サブスク惣菜について聞いてみました。
「時間を節約できるからありがたいです。子どもがいると、子どもをお風呂に入れることや、遊ぶ様子を見るなどやることも多いし、泣くなどイレギュラーも発生しやすいです。でもそういうときにお惣菜があると、心の余裕が生まれます。生活の質がぐっと高まったと思います」
量や頻度など、山本さんの要望を細やかに聞く櫻庭さん。様々な意見を取り入れ、みつばち食堂ならではのサブスクサービスを目指しています。
みつばち食堂の挑戦は始まったばかり
かゆいところに手が届くようなサービスを作りあげていくのがみつばち食堂のスタイルと語る櫻庭さん。
「コミュニケーションを取りながら要望にお答えできるような形で取り組んでいきたい」
家庭を支えるお母さんを、食事の面から支えたいというみつばち食堂の挑戦は、始まったばかりです。
(取材・撮影:リンドワークス/文:石川玲子 2023年9月取材)
みつばち食堂
素材をいかした、優しい味わいで人気のお弁当屋さん。お弁当のネット予約も受付中。
場所:愛知県安城市桜井町中新田82-1
電話:090-9125-3855
営業時間 11:00~売り切れ次第閉店
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