親子の関係を深めるプログラムNBO(エヌボ)。赤ちゃんを観察して理解を深めることで、赤ちゃんが伝えていることが分かりやすくなり親の育児への不安が和らぐといいます。
愛知県刈谷市は自治体として初めてこのNBOを導入。NBOを活用した今後の子育てについて考えます。
刈谷市が導入した「NBO(エヌボ)」とは
愛知県刈谷市では週1回先輩ママが自宅を訪問し、ママたちの相談にのる「育児ママ訪問サポート事業」を行っています。そして2023年4月、その事業にNBO(エヌボ)を導入しました。NBOとは良好な親子関係を築いていくことをサポートするプログラムです。
対象は生後3か月までの赤ちゃんとその親で、赤ちゃんの行動などに関する18の項目の観察を行うことで赤ちゃんが伝えていることが分かりやすくなり親の育児への不安が和らぐといいます。
「NBO」で親の精神的な負担軽減を
主に臨床現場で導入されている「NBO」。
刈谷市でなぜ導入することになったのか、刈谷市子育て支援課の伊藤徳昭さんに聞きました。
「近年核家族化が進んでいることに加え、刈谷市の特徴として仕事で転入してくる人が多く、近所に頼れる人がいないという現状があります。本来ならば育児をしていくなかで気づいたり経験していったりすることをNBOで早期に理解し、育児に対する精神的な負担を軽減したいと考えました」
育児ママ訪問サポート事業に同行!
実際に、育児ママ訪問サポート事業に同行させてもらいました。
事業の事務局リーダーの杉浦登喜子さんが訪れたのは鈴木さん夫妻の自宅です。新米ママの真衣さんは石川県出身で刈谷市が地元ではないため、こうして気軽に相談できる人が近くにいて心強いといいます。
「マンツーマンで悩みを相談できる機会はありがたいし、自分の心の安心や子どもの刺激につながっていいです」と真衣さんは話します。
ボールなどを使って赤ちゃんを観察
杉浦さんは話が終わると、NBOを始めました。
赤いボールを取り出し愛茉ちゃんの前でゆっくり動かします。愛茉ちゃんが目でボールをしっかり追うのを確認しています。続いておもちゃのマラカスを取り出して音を鳴らします。様々な方向から音を鳴らすことで、赤ちゃんの音への方位反応をみています。
こういった観察を赤ちゃんの状況を見ながら行い、赤ちゃんが行動で伝えていることに気づいていきます。
赤ちゃんを理解することで育児に前向きに
杉浦さんはNBOについてこう語ります。
「自分が赤ちゃんをお世話してあげなきゃと思うとストレスになってしまいがちです。しかしNBOをすると赤ちゃんを理解できるようになり、その赤ちゃんに合わせて動けばいいとわかります。そうすると親は肩の力も自然と抜けるんじゃないかな」。
赤ちゃんとの絆を深め子育ての自信に
刈谷市の今後の子育て支援について伊藤さんに聞きました。
「NBOで赤ちゃんとの絆を深めてもらい子育ての自信につなげてもらうことで、次は支援センターの活動に参加してみようとか考えてもらえたらいいと思います。市では子育てのすべての時期において切れ目のない支援ができるようにしていきたいです」
NBOで赤ちゃんに対して理解を深めコミュニケーションを積み重ねていくことが、日々戸惑う子育ての助けになるのかもしれません。(取材・撮影:近藤里奈/文:石川玲子 2023年9月取材)
「シリーズ 新しい時代を生きる」は、キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。
「シリーズ 新しい時代を生きる」
コロナ禍の3年あまりの時代が一つの節目を迎えましたが、今もなお私たちの生活に影響を与えています。さらに、半導体不足や物価の高騰、少子化による人口減少など、様々な課題がある中、乗り越えようと取り組む地域の人たちを取材し、ともに地域の未来を考えます。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。