2023年7月、今年も海水浴のシーズンがやってきました。愛知県西尾市にある宮崎海水浴場は、美しい白浜にヤシの木が揺れる、南国リゾートの雰囲気たっぷりの海水浴場です。
久しぶりの賑わいを、目を細めて見ているのは、昭和43年から宮崎海水浴場を見続けてきた、海の家「大黒屋」の石川好子(よしこ)さん。
新型コロナのまん延により影響を受けてきた石川さんの目に、今年の海水浴場はどのように映るのでしょうか。宮崎海水浴場の海の家を取材しました。
4年ぶりの行動制限の無い夏
西尾市には4つの海水浴場があります。
そのうちのひとつである宮崎海水浴場は、隣の恵比寿海水浴場とともに「吉良ワイキキビーチ」と呼ばれ、美しい白浜にヤシの木が揺れる、南国リゾートの雰囲気たっぷりの海水浴場です。8月下旬には「ハワイアンフェスティバル」も開催され、フラダンサーや観光客で賑わいます。
7月1日に海開きをした宮崎海水浴場は、新型コロナが5類に移行したため、今年は待ちに待った4年ぶりの行動制限の無いシーズンを迎えました。
宮崎海水浴場で55年間営業を続ける石川さん
海水浴場の賑わいを、目を細めて見ている人がいます。昭和43年から55年間にわたり、この海水浴場を見続けてきた「大黒屋」の石川好子さんです。
大黒屋は昭和30年代から営業をしていて、昭和の懐かしさが残るホッとできる空間が魅力となっています。カレーや焼きそば、かき氷などを提供していて、店内のポップは家族の手作りです。
「日陰で風通しもいいし最高ですね」
「いかにも夏という感じでいいですね。かき氷がおいしいです」
海水浴で疲れた体を休め、乾いたのどを潤し、そして手作りのご飯でお腹を満たすために多くの人が大黒屋を訪れます。
毎年、夏が来ると元気になる
大黒屋の石川好子さんは、昭和43年に嫁いでから毎年、海の家を営業してきました。普段は大工をしている夫の龍三さんも夏の間は海の家のお手伝いをします。
石川さんに、海の家に対する思いを聞きました。
「お客さんとの出会いが好きだからやれるのだと思います。周りの人からも『あなたは夏が来ると元気になる』って言われます」
影響を受けた新型コロナの行動制限
そんな石川さんですが、新型コロナが蔓延した去年までの3年間は、大変な思いをしたと言います。
桟敷(さじき)の休憩所は仕切りをつけ、店内の消毒を徹底し、お客にはマスク着用をお願いするなど、できることは全てしたという石川さん。それでも、海水浴場は賑わっていても休憩所に入る人はいなかったと言います。
今年は4年ぶりに行動制限がなく、海の家にもお客さんが戻りつつあります。
お客さんのおかげ 忙しさを取り戻した夏
これまで色々なことがあったと話す石川さん。
宮崎海水浴場は、平成18年に吉良ワイキキビーチとして、南国ムードたっぷりの海水浴場に生まれ変わりました。若者の海水浴客も増えたそうですが、一方で海水浴客の数はコロナ前からずっと下降線をたどっていたといいます。
しかし、毎年営業して来られたのは、お客さんのおかげだといいます。
「たくさんのお客さんに会えて、パワーをもらえるからありがたいですね。病気もせずにここまでやって来られました」
石川さんの夏は久しぶりに忙しさを取り戻し、今年もお客さんから元気をもらっています。
56年目の夏も二人三脚で
4年ぶりの行動制限のない夏。多くの人が久しぶりに開放的な夏を楽しんでいます。55年間、宮崎海水浴場を眺めてきた石川さんの顔にも笑みがあふれます。
「いろんな人に支えられてここまで来られたと思うと涙が出ちゃう。本当にありがたいです」と石川さん。
お客さんに楽しんでもらいたい一心でここまで駆け抜けてきた石川さん。56年目の夏も夫婦二人三脚で歩んでいきます。
(取材・撮影:映像舎/文:石川玲子 2023年7月取材)
大黒屋休憩所
愛知県西尾市の宮崎海水浴場で毎年海開きに合わせてオープン。カレーや焼きそば、かき氷などを提供。
電話:0563-32-2223
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