OK, Let’s practice 3,2,1,,,Let’go!
愛知県の安城市立安城西中学校、3年生の英語の授業。教諭だけでなく、生徒も英語で話しています。
安城西中学校では週に4時間、年間140時間の英語の授業がありますが、1年生から3年生まで、すべて英語の「All English(オールイングリッシュ)」で行われています。読み書きだけでなく、「聞く」「話す」ことも重視し始めた日本の英語教育。その取り組みを積極的に行う安城西中学校を取材しました。
50分間、日本語は一切話さない
安城西中学校では、令和元年度からオールイングリッシュの授業をはじめました。
英語の授業が始まると教諭が話すのは英語のみ。50分間、日本語は一切話しません。3年生の生徒たちはオールイングリッシュの授業を1年生の時から受けているため、慣れたものです。恥ずかしがる様子もなく、英語で答えたり話したりしています。
だんだんと英語で自分の考えを言えるように
安城西中学校の英語教諭で、安城市内の小中学校の英語指導も牽引している杉浦儀一先生は、生徒たちの様子についてこう語ります。
「小学校で英語の授業が必修となっているため、中学校に入学したばかりの1年生もオールイングリッシュの授業を受けいれています。最初の頃は先生の説明に日本語で答えていた生徒も、だんだんと英語で自分の考えを伝えるようになってきました」
学習指導要領にも記載されている
中学校の学習指導要領には「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする」と書かれています。グローバル化に対応するため、それまでの読み書き中心の授業から、英語でコミュニケーションがとれるようになることが目指すところとなったのです。
安城西中学校では、新しい指導要領が実施される1年前からオールイングリッシュの授業をスタートしました。大学の教授に指導してもらったり、三重県の先進校を視察したり、独自で調査・研究を行い、授業の進め方を確立したそうです。
身近なことに置き換えて学べるよう工夫
安城西中学校の英語教諭、河野真歩先生はオールイングリッシュの授業を担当するようになって3年目です。授業では、教科書をそのまま使用するのではなく、生徒が自分のことや体験を話しながら、教科書に載っている文法が学べるように工夫しているそうです。
「生徒が自分の身近なことに置き換えてその文法を使ってみる。そうすると『こういうときに使えるんだ』というのが分かりやすくなるかなと思います」と語る河野先生。
楽しいと感じている生徒たち
生徒たちも自分の身近なことを英語で伝える楽しさを感じているようで、積極的に英語を使っています。
生徒にも話を聞いてみました。
「普段から英語を使っているほうが覚えやすくて、英語はあまり得意ではないけど楽しいです」
「分からないときもあるんですけど、そういうときこそ友達と英語で話すと理解が深まるので、自分に合っていると思います」
外国人との交流の機会を設けている
安城西中学校では生徒に「英語で話したい!」という気持ちを持ってもらうために、外国人との交流の機会をもつなど、授業以外の取り組みも行っています。
東京オリンピックの時には、安城市が事前合宿の会場となった女子ソフトボールのカナダ代表チームの選手とオンラインで交流をしました。選手たちと英語で会話をしたのは、生徒たちにとって貴重な経験となったようです。
「通じた時はとてもうれしかった」
また、外国人を学校に招きお好み焼きパーティーを開催したことも。作り方を英語で説明したり、試食しながら会話を楽しんだりしました。外国人との交流で、生徒は自分の英語が通じた喜びを感じ、ますます英語に興味を持つようになります。
生徒に交流の感想を聞いてみました。
「簡単な英語しか使えないけど相手とコミュニケーションがとれるようになった。通じた時はとてもうれしかったです」
「今度は一緒に遊んでみたいな、と思って、もっと色々コミュニケーションをしてみたいです」
教諭たちの共通認識があった
学習指導要領では「授業は英語で行うことを基本とする」となっていますが、文科省が令和4年度に行った公立中学校の英語教育実施状況調査では、授業の75%以上を英語で行っている中学校は、20%にも満たないのが現状です。こうした中、なぜ安城西中学校ではオールイングリッシュを取り入れることができたのでしょうか。杉浦先生に聞いてみました。
「生徒の英語の力を伸ばすという共通認識が先生たちの中にあったのが、取り組んでいける環境を作ったと思います」
自ら学びたい、英語を話したいという生徒
オールイングリッシュの授業は、一人の先生の熱意だけでは実現しません。英語にかかわる教諭が同じ気持ちを持ち、さらに学校の協力、保護者の理解がなければ実施できません。教諭は生徒全員が理解できるように、補助的に使用するイラストなどの準備もしなければいけません。
それでも、生徒たちが楽しそうに英語を話している姿を見ると、やる気がもらえる、より楽しく英語を学べるように頑張ろうと思うと教諭たちは言います。
安城西中学校のオールイングリッシュの授業をのぞいてみると、そこには自ら学びたい、英語を話したいと積極的に授業に参加する生徒の姿がありました。
(取材・撮影:映像舎/文:石川玲子 2023年6月取材)
安城市立安城西中学校
安城市立安城西中学校
愛知県安城市福釜町中根43番地
電話:0566-76-2320
安城市立安城西中学校ホームページ
「シリーズ 新しい時代を生きる」は、キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。
「シリーズ 新しい時代を生きる」
コロナ禍の3年あまりの時代が一つの節目を迎えましたが、今もなお私たちの生活に影響を与えています。さらに、半導体不足や物価の高騰、少子化による人口減少など、様々な課題がある中、乗り越えようと取り組む地域の人たちを取材し、ともに地域の未来を考えます。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。