家具の修理や、オーダー家具の製造を行っている愛知県安城市の株式会社サンアール。学校机の天板などを交換し、机自体の寿命を延ばしていますが、回収した古い天板を活用し、家具の製造などで活用しています。
学校の机を持続可能にして使い続け、回収した天板の有効活用で地球環境の保護を目指す、サンアール代表取締役の加藤大生さんの思いに迫ります。
学校で使われていた机の天板を再利用
持続可能な社会を実現するキーワード、3R(スリーアール)。
ゴミの発生を減らす「リデュース」、繰り返し使う「リユース」、資源として再び利用する「リサイクル」の3つの取り組みの頭文字を表しています。
この3R活動に貢献しようと、約10年前から活動している会社が、安城市にある株式会社サンアールです。家具の修理や、オーダー家具の製造を行っている会社です。
ここで手がけている家具には、地球に優しいヒミツがあります。それは、学校で使われていた古い机の天板を使っていることです。
天板交換で、机の寿命が約10年延びる
サンアールの工房は、知多郡阿久比町の、のどかな田園風景の中にあります。
元々は牛舎だったという建物を借り、工房としてリユース(再使用)するという、まさに3R活動を地で行くサンアールの敷地内には、家具の修理やオーダー家具に使用される約500枚の天板が山積みされていました。
机のフレームは再使用し、古くなった天板を交換することで、机の寿命がおよそ10年延びます。机そのものを買い換えるより、資源の廃棄を抑えることができ、リデュースにも繋がります。
使う人の意識を高める活動も
机の天板だけでなく椅子の座面や背もたれも、同じくらいの量を交換しているというサンアールの代表取締役、加藤大生さん。
県立高校を中心に、年間およそ3,000枚に及ぶ天板を交換し、回収しています。天板の交換作業を会社のホームページで紹介することで、生徒たちにも再利用への意識を高めてもらおうという取り組みも行っています。
加藤さんは、このような活動について次のように話しています。
「可能なら地域の有志や生徒、先生に交換してもらう取り組みもしていきたいですね」
学校机を家具の部材として再使用
回収した古い天板の活用方法の一つに、オーダー家具の部材として再使用する方法があります。
ソファの見えない部分に机の天板を使うケースもあるそうです。机の天板は丈夫なため、家具の骨組みとして使うことができるのです。
加藤さんは、安い輸入家具がもてはやされる現状にも「使い捨てではなく、直しながら長く使ってほしい」と異論を唱えます。
学校机の再使用への工夫
サンアールでは、さらに一歩進んだ天板の活用にも取り組んでいます。
大きな天板を小さな天板にリメイクすることで天板を再使用し、より地球に優しい持続可能な机に生まれ変わらせます。
また、天板を再使用した家具はインターネットで販売しています。天板の切り方を工夫することで、組み立て式のちゃぶ台はほとんど廃棄がでないように設計し、スツールは天板が3枚で2脚できるようにしています。
学校机が「なつかしい」「おしゃれ」に
西尾市にある寺部海水浴場。目の前にある「ハズフォルニア・ビーチハウス」では、学校の椅子を再使用しているだけでなく、学校机の天板を活用した家具も導入しています。
ハズフォルニア・ビーチハウス鈴木達朗さんは、こうした家具について話してくれました。
「できるだけ再利用した家具などを使ったお店にしています。いたずらの文字が残っていて、逆になつかしい気持ちになっていいですね」
利用客にも聞いてみました。
「上手くリメイクされていて、おしゃれ」と好評です。
小さな場所で始めた小さな活動が広がる
創業しておよそ10年。
加藤さんがこの事業をする上で、大切にしている場所があります。それは安城市内のとある駐車場です。
創業当初、駐車場に停めた4トントラックの荷台で、机の修理をしていたという加藤さん。小さな場所で始めた小さな活動は広がりを見せ、未来へと繋がっています。
最後に加藤さんに今後の展望を聞きました。
「もっともっと修理して、ひとつのものを長く大切に使う世の中になってくれるとうれしいですね」
(取材・撮影:シークラウド映像舎/文:石川玲子 2023年4月取材)
株式会社サンアール
限りある資源のために家具修理や再利用を行うことで廃棄を抑え資源を有効に活用し持続可能な社会作りに貢献する。
学校の机をオーダー家具に活用したり、天板自体を再利用したりといった取り組みを進める。
本社:愛知県安城市東栄町四丁目11-8-10
電話:0566-83-1010
株式会社サンアール ホームページ
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