通学用自転車をリボーンまるいちいっしき店（西尾市）

特集
西尾市

2023年5月18日

通学用自転車をリボーンまるいちいっしき店（西尾市）

中学や高校への進学で必要となる通学用自転車。しかし多くは3年から6年で不要になってしまい、乗り手がいないまま放置されることも少なくありません。

自宅で眠っている自転車を再生し、新たな命を吹き込むことで資源を有効活用しようという自転車再生工房があります。それが愛知県西尾市にある「まるいちいっしき店」です。

自転車再生のために店舗をオープン

まるいちは、愛知県西尾市に4店舗と豊川市に1店舗を展開する自転車店です。

2022年10月、西尾市一色町に新たにオープンさせたのが、自転車再生工房「まるいちいっしき店」です。この店舗では中古の自転車を買い取り、再生と販売を専門に行っています。買い取った自転車はパーツに分解し、ピカピカに磨いたり調整したりするほか、タイヤなど消耗品は新品に交換します。さらにフレームは塗装までし直し、サドルやカゴも新しいものに交換します。

こうして再生されたまるいちのリボーンバイクは、まるで新品同様に仕上がります。

不要な自転車も面倒見るのが、まるいち流

ベースとなるのは、ブリヂストン社製のアルベルト。通学用自転車として人気があり、ベルト駆動で滑らかな乗り味と、耐久性に優れた点が評価されています。

リボーンバイクを組み立てるのは、まるいち代表取締役の犬塚一彦さんです。
「どこの家庭に訪問しても、アルベルトが1台や2台、乗る人がいなくなったまま家に置いてあることが多いのです。兄弟がいれば兄弟の分だけ置いてあるケースも少なくありません。購入した自転車が不要になったとき、それを面倒見るのが、まるいちとしての商売のあり方だと思いました」

使える部品は活かし傷んだものは新品に交換

では、自転車の再生の仕方を実際に見てみましょう。まるいちいっしき店では、買い取った自転車はまず分解し、使える部品は調整しながら錆や汚れ、傷などをしっかり落とします。傷んだものは新品に交換し、手作業で組み立てられます。

スタッフに作業の内容を聞きました。
「きれいなものとそうでないものがあるので、作業には時間がかかります。一番時間がかかるのはホイールですね。1輪で1時間くらいかかりますが、ていねいに汚れを落とします」

汚れを落とし終わると塗装を行います。

リボーンバイクカスタムメイドで個性的に

標準色は、白と黒ですが、塗装は社外にも発注していて、種類豊富なクルマの塗料で塗ってもらえるサービスもあります。

リボーンバイクだからこそ、他とは違うサービスが提供できるという犬塚さん。サドルやカゴ、タイヤなどは新品に交換しますが、追加料金を支払えば、自分だけのカスタムメイドも楽しめます。

「再生作業にかかる費用は、自転車の状態によりまちまちです。それに非常に手間がかかるので、商売としてはリスクがありますが、壁にぶつかったら考え直してやっていけばいいかなと思っていいます」と犬塚さん。

リボーンをきっかけにした新たな事業

まるいちがリボーンバイクの事業を始めたことから、新たな依頼も入りました。古い自転車の修復を頼まれたのです。依頼したのは、名古屋市にある鈴市商店代表取締役の鈴木亮市さんです。
「弊社でかつて自転車を作っていたと聞いています。作っていた当時の自転車が見つかり、昔のまま動くようにしてもらいたいと依頼しました」

ニーズから生まれた新たな事業について犬塚さんに聞いてみました。
「レストアは手間がかかるので、ご依頼から完成まで1年くらいかかりますが、それでも待ってもらえる場合のみやらせてもらっています。今後も生きがいとしてやっていきたい」

価値があるから大切に長く乗る社会へ

もったいないをきっかけに、これまでの販売方法を見つめ直したという犬塚社長。現在、新たな流れを生み出そうとしています。
「リボーンバイクのほうが安いから、それがいいという考えがゴールではありません。たとえば車などと同じように、自転車も何年乗っても何円くらいの価値があるのだから大事に乗ろうと思ってもらいたいと考えています。次の世代につなげるような仕事をしていきたいです」

もったいないから生まれた、西尾市一色町の自転車再生工房「まるいちいっしき店」のリボーンバイク。町の自転車店で循環型社会に向けた取り組みが始まっています。