愛知県高浜市にある「翼まちづくり協議会」が市の事業の一環として2014年から行っている「男のレシピ教室」。
「自分の酒の肴ぐらいは、自分で作ろう」という発想から始まったレシピ教室は、高齢化社会で「自分ひとりでも食事に困らない男性になれる」ことから注目を集めています。
仕事人間から家事のできる人間に
「人生ではじめて包丁を握ったくらいです。家では皿洗いくらいしかしてこなかったです」 「還暦を過ぎて、仕事人間から家事のできる人間になりたいと思い、参加しています」 ほとんど料理をしたことがないという男性たちが集まる料理教室。講師を務めていたのは碧南市にある日本料理「小伴天」の料理長、長田健太さんです。
「教室で覚えた料理を家庭で作って、家族の話題になってほしいです」 と家庭で男性が料理をすることに大賛成です。
鯵のムニエルと照り焼きに挑戦
今回の料理教室で男性たちが挑戦したレシピは、鯵を自ら捌いてソースも作る、ムニエルと照り焼き。さすがに料理初心者にはハードルが高いらしく、先生の手元に送られる視線は真剣そのもの。包丁もほとんど持ったことがなかった男性たちが、必死に料理と向き合います。
試行錯誤の末、料理が完成すると、スマホで写真を撮る男性もいました。 「妻に出来栄えを報告中です」と満面の笑みで言います。
女性の参加者や、外国人の姿も
男のレシピ教室というものの、女性の参加者もいます。仕事が忙しく惣菜屋などを利用しながら子育てをしてきたという女性は、子どもが大きくなってから料理の基礎をちゃんと勉強したいということで参加したと言います。また、ベトナムから来た女性の場合は、日本料理を学べるチャンスなので来たと言います。
ここに集まった女性たちは、周りの男性たちの姿を見て、「お家でもぜひやってほしいです。」と口を揃えて言います。
夫の料理が妻の負担を軽く!
実際に自宅で料理をする様子を見せてもらうため、 主催者の一人であり、生徒として長年参加している神谷さんのご自宅にお邪魔してみました。
この日、以前の教室で覚えた和風ハンバーグを作っていた神谷さん。分量を丁寧に量り、たまねぎのみじん切りも、お手のものです。
妻のあき子さんが裁縫をしながらこう語ります。 「助かります。自分で料理ができるようになれば、私が外出するときに、主人の食事の心配をせずに出かけられます」
家族の会話が増えていく
仕事を引退し、時間に余裕ができた夫が台所に立つ。それがなによりもうれしいと、あき子さんは言います。
料理教室で学んだ和風ハンバーグが完成し、夫婦の休日のランチの時間になりました。 「美味しいです」 と笑顔を見せるあき子さん。 「妻が喜んでくれるとやる気がでます」 と、神谷さんもうれしそうです。
男性が自宅で料理をつくることで夫婦の会話のきっかけにもなります。 こうした活動はジェンダー平等への近道なのかもしれません。(取材・撮影:映像舎 /文:石川玲子 2022年10月取材)
男のレシピ教室
男子厨房に入らず世代のあなたにおすすめ! 2014年、市の事業で始まった「男のレシピ教室」。 新型コロナウイルスの影響で不定期に開催されますので、参加を希望する方は こちらへお問い合わせください
■翼まちづくり協議会
「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」は、キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。
「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」では、この地域で広がっているSDGsの取り組みや、活動を紹介しています。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。