コロナ禍で食事のスタイルは一変し、会食の機会は激減しました。また学校給食では、前を向き黙って食べる「黙食」が実施されてきました。
そのような中、「大人も子ども一緒にごはん」をテーマに活動する愛知県知立市のボランティア団体「ちりゅっ子かふぇ」では、本来の会食形式が開催できないなかでも形態を変え、活動を続けています。今回は、一緒に楽しく食べるというコミュニケーションの先にある、大切な物とは何かを、ちりゅっ子かふぇの活動から考えます。
大人も子どもも一緒にごはん
2022年11月20日。愛知県知立市の総持寺で、ボランティア団体「ちりゅっ子かふぇmagocoro」による、月に一度の「子ども食堂」が開催されました。
ちりゅっ子かふぇは、食を媒体にし、子どもだけでなく幅広い年齢を対象に、地域の新しいつながりと居場所をつくることを目的にした団体です。2019年春から「子ども食堂」を定期的に開催し、大人も子供も一緒に食事をしながらコミュニケーションを楽しむ、地域の交流の場を作ってきました。しかし活動開始から1年が経過した頃、コロナ禍が始まり、活動方針の転換を余儀なくされました。現在は弁当のテイクアウトや、食料や日用品を手渡すフードパントリーを行っています。
コロナ禍でも活動を続ける理由
代表の渡辺亜也子さんは、ちりゅっ子かふぇの活動の目的について、「核家族が増えて、みんなでごはんを食べるという機会が減っています。月に1回でも、みんなで食べる機会があればいいなと思い活動をしています」と話します。
とはいえ、コロナ禍でちりゅっ子かふぇでも本来の活動ができない状況が続いています。それでも活動を続ける理由について渡辺さんは、「学校給食も黙食な現在、子ども食堂まで黙食にはしたくないと思っています。ですので、パントリー形式でも開催を継続することで、来てくれる人を途切れさせずに、会食再開時にたくさんの人たちが来てくれるのを願い続けています」と話します。
形式を変えても大切にしていること
現在ちりゅっ子かふぇでは、弁当のテイクアウトやフードパントリーなどを開催するために、食品や日用品を近隣の行政や企業などから提供してもらい、コロナ禍でも月に一度の活動を継続させてきました。
そして集めた食品などを「まごころバッグ」と名付け、訪れた人たちに配っています。その数は100セット。毎回、渡辺さんを中心に、数十人のボランティアスタッフらが準備しています。この「まごころバッグ」を訪れた人たちに手渡すときのコミュニケーションに、ちりゅっ子かふぇが大切にしているものがあります。
顔を合わせるからこそ生まれるつながり
活動に参加しているボランティアスタッフに話を聞くと、「小さい子も来るので、そういう時は腰をかがめて渡しています」、「子どもやその家族とも仲良くなれます。小さい子を抱っこしたり、保護者の方と話をすることでお子さんの成長を感じられたりと楽しいです」と、教えてくれました。
渡辺さんも、「まごころバックを手渡す時の会話を大切にしています。毎回来てくれる子は成長の様子なども見られますし。お互いに顔を合わせることで、つながりが広がっていくと嬉しいです」と語ります。
みんなで楽しく食べることの大切さを伝える
それは訪れた人たちも同じです。2022年11月に開催されたちりゅっ子かふぇに訪れた人は、「人と接する機会が減っていたので、こういう機会があるのは嬉しいです」、「食事は特に大事です。一人で食べるよりみんなで楽しく食べたほうがいいので、はやく子ども食堂が復活してほしい」と話します。
コロナ禍で、これまで当たり前だった「みんなで楽しく食べる」ということができなくなるなか、ちりゅっ子かふぇには、みんなで食べることの先にある大切なものを守り続けている姿があります。
いまだからこそ、一緒に食べることでつながるコミュニケーションの大切さを忘れずいることが必要なのかもしれません。
(取材・撮影:シークラウド映像舎/文:石川玲子 2022年11月取材)
ちりゅっ子かふぇmagocoro
「大人も♪子どもも♪みんなでごはん♪」
子どもだけでなく幅広い年齢層を対象とした地域の新しい繋がりと居場所づくり=多世代交流の場の提供を目的とした愛知県知立市のボランティア団体。
月に1度、知立市内で「子ども食堂」を開催しています。
※現在は弁当のテイクアウトやフードパントリー形式で開催しています。
開催日:月1(不定期)
対象:子ども(高校生まで)無料/大人:200円
※詳しい開催日は公式Facebookページをご覧ください。
ちりゅっ子かふぇmagocoro Facebookページ
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