愛知県知立市にある知立神社とその周辺で、毎年5月2日、3日に行われる「知立まつり」。
江戸時代から続く、長い歴史を持つこのお祭りには、市内外から多くの人が足を運び、毎年大きなにぎわいを見せます。「近所のはなし」取材班は2024年5月3日に行われた本祭に参加。「参加したことがない」「当日の雰囲気を知りたい」という方のために、山車巡行から山車文楽・からくりまでお祭り当日の様子を徹底レポートします!ただのお祭りじゃない、知立まつりの魅力を余すところなくお伝えします。
「知立まつり」とは?
知立まつりは知立神社の祭礼で、1年おきに本祭(ほんまつり)、間祭(あいまつり)が交互に行われます。本祭では5つの町から高さ7メートル、重さ5トンの山車が繰り出され、間祭は勇壮華麗な花車が登場し、知立の街並みを彩ります。山町・中新町・本町・西町・宝町の市内5つの町が参加し、知立の町が一体となって盛り上がります。
山車の上で奉納上演される山車文楽、からくり人形芝居は「知立の山車文楽とからくり」としてユネスコ無形文化遺産に登録された「山・鉾・屋台行事」の一つです。 2024年は本祭の番。ド迫力の山車に期待が高まります!
知立まつりは駅前から始まっている!
知立まつりのメイン会場・知立神社までは、名鉄知立駅から歩いて10分ほど。知立駅前の広場では大型ビジョンが設置され、多くの屋台が立ち並ぶなど、早くもお祭りモードです。このビジョンでは、お祭りの様子が生中継されます。
この日はチーズあんまきのふるまい(先着制)やDJライブなどで大盛り上がり。からあげやポテトなど、お祭り定番グルメの屋台からはいい匂いが…。電車を降りたら、まずこの広場で腹ごしらえをするのもよさそう。
各町自慢の山車がずらり!
知立駅から知立神社まで歩いていく途中、知立市観光交流センターにさしかかったところで、各町の山車が知立神社への宮入(みやいり・境内に入ること)を前に待機しているところに遭遇!
建物の高さにして、2階分ほどでしょうか。知立の山車は、彫刻に金箔を施してあるのが特徴なんだとか。その高さと、精巧なつくりに圧倒されます。
山車の前ではお囃子の演奏もあり、お祭りのムードを高めてくれます…!
いよいよ宮入開始!
12時30分、いよいよ一台目の山車が動き始めました。お囃子の音色やかけ声に合わせて、山車はゆっくりと知立神社を目指します。
5トンの山車をひくのは、30人ほどの地域の子どもたちです。町の人同士が声をかけあいながら、速度や進行方向を調整する様子は活気に満ちあふれていました。こんなお祭りが自分の地元にもあったらなあ…。
見どころ!勇敢な「担ぎ上げ」①
山車は了運寺まで到着しましたが、知立神社にいくためには道を曲がらなければいけません。「こんなに大きな山車をどうやってコントロールするんだろう?」と思っていると…。
見どころ!勇敢な「担ぎ上げ」②
なんと!男性たちが梶棒を持ち上げて、5トンもある山車の後輪を浮かせています!
自分たちの体よりも何倍も大きな山車を、たった8人の力だけで動かす「担ぎ上げ」は、知立まつりの見どころのひとつ。この迫力に魅せられ、市外から毎年見学に訪れているというファンもいるそうです。
見どころ!勇敢な「担ぎ上げ」③
屋台と住宅の間の狭い道を、山車は電線などの障害物を避けながらずんずんと進んでいきます。沿道に集まった人々からはかけ声や拍手が絶え間なく送られていました。
宮入の最後には、後輪を担ぎ上げて山車を浮かせたまま200メートルもの距離を進むというから驚きです。5トンのものを担ぎ上げたまま移動するなんて、すごすぎます…!
5つの山車が境内に勢ぞろい
全ての山車が宮入を終えたのは14時。5台の山車がずらりと並ぶと、その迫力に改めて圧倒されます…!
そして、山車文楽やからくり人形芝居を見ようと、境内にはたくさんの人が。事故防止のため、入場規制などが設けられることもあるので、場内アナウンスをよく聞いておくとスムーズに移動ができそうです。
ユネスコ無形文化遺産の山車文楽
準備が整うと、いよいよ山車文楽のスタートです。
知立では延享2年(1745年)から山車の上で文楽を上演するようになり、それ以来この形式で受け継がれてきたといいます。義太夫の語り、三味線、3人の人形遣いが一体となって演じるのが特徴です。なめらかな動きや、細かな表情の変化が連続する場面は、まるで本物の人間のようでびっくり!
この日中新町が上演した「鎌倉三代記(三浦之助母別れの段)」は、鎌倉時代を舞台にした物語。敵将に恋をした姫が、運命に翻弄される…というお話です。知立まつりの公式サイトで上演演目をチェックして予習したおかげで、聞きなれない語りも不安なく楽しめました!お姫さまの揺れ動く感情が切ない…!いつの時代も恋とはドラマチックなものですね…。
市内で西町だけが継承する山車からくり
西町は、5つの町の中で現在でも山車からくりを上演している唯一の町です。
からくり人形は糸を使って操り、ぜんまいや歯車などの仕掛けを使って動きます。山車の上という限られたスペースの中で人形と舞台装置を操る職人の技が光ります。
ダイナミックな合戦シーンに注目!
この日は「平家物語」で語られる「一の谷合戦」に焦点を当てた演目が上演されました。 合戦のシーンでは、激しい殺陣も見どころです。糸で操られているとは思えない、ダイナミックな動きに、集まった観客からは歓声が沸き起こっていました。
青空をバックに人形が躍動する山車からくりは、全国でも鑑賞できる機会が限られている貴重な演目。長く歴史をつむいできた人々の技術や思いを感じることができて、感無量です!
江戸時代から続く伝統に感激!
江戸時代から続く伝統神事・知立まつり。ライター自身は今回が初めての参加でしたが、山車や山車文楽・山車からくりの迫力に圧倒されっぱなしでした。江戸時代の人も同じようにこのお祭りに参加したり、楽しみにしていたりしたのかと思うと、その歴史の厚みを改めて感じます。
神社の境内では、各町の法被を着た子どもたちがお祭りを楽しむ姿も。これからの知立まつりを担っていく世代にも期待です。
(取材:安藤香奈美/2024年5月取材・撮影)
知立まつり
会場:知立神社および周辺道路
毎年5月2日・3日に本祭と間祭が隔年で開かれる。
山町・中新町・本町・西町・宝町の市内5つの町が参加する。
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