愛知県碧南市にある「哲学たいけん村無我苑」をご存じですか?ユニークな外観や、ちょっと不思議な感覚に陥る中庭の水辺が目を惹く、知る人ぞ知る映えスポットです。
丁寧に手入れされた日本庭園や、他ではあまり見かけない「瞑想室」もあり、静かで落ち着ける空間が広がっています。しかも入苑無料!忙しい現代人だからこそ、頭を空っぽにしてぼーっとする時間は大切です!
「哲学」と聞くとちょっと難しそうなイメージですが、どんな空間なのか、どんな過ごし方ができるのかを取材しました。
※2024年12月取材時点の情報です
碧南の偉人・伊藤証信にちなんで誕生した無我苑
「哲学たいけん村無我苑」は、愛知県碧南市の住宅街にあります。「瞑想回廊」「安吾館」「茶室涛々庵」など、いくつかの建物に分かれているので、車で行くときは駐車場の住所(愛知県碧南市坂口町3丁目83番地)をナビに入力していくのがおすすめ。駐車場は2箇所ありますが、安吾館前にある駐車場が広くてとめやすいです。
無我苑は、地域の哲学者・伊藤証信の親族から寄贈を受けて、碧南市が再建した施設です。伊藤証信は明治38年に東京・巣鴨で無我苑を開き、「無我愛」を広めるため活動していましたが、昭和9年に碧南へ移住し活躍を続けた人物です。碧南にそんな偉人がいたなんて、知りませんでした…!
日本庭園を眺めながらゆっくり過ごせる安吾館
さっそく安吾館へ。木造平屋建ての数寄屋造りの建物は重厚感があり、入ってすぐに立礼茶席が設けられています。その前には日本庭園が広がり、日常から一気に別世界へ!取材に訪れた日は、ちょうど紅葉シーズン!赤、黄色、緑のコントラストが美しく、思わず引き込まれてしまいます。
安吾館にはほかに、研修道場と呼ばれるスペースがあり、「哲学講座」などさまざまな講座や、ヨガやコンサート、落語などのイベントが開かれています。市民に開かれた場なので、会合などに利用することもできるそう。
ちなみに安吾館という名前の由来は、作家の坂口安吾から。この土地が「坂口町」であることから、「坂口といえば安吾でしょう」と名誉村長だった梅原猛氏が名付けたそう。
おいしいお抹茶と和菓子をいただける
立礼茶席では、作法を気にせず椅子に座って気軽にお抹茶が楽しめます。碧南にある和菓子店「ときわ木」の和菓子がついています。1服350円とお手頃で、お得な11枚綴り3,500円の呈茶券もあるそう。入口から段差が一つもないので、車イスでらくらく来られる点も好評です。
四季折々の表情を見せる日本庭園を眺めながら、お抹茶とお菓子をいただく時間は至福のひと時。これだけでも無我苑を訪れる理由になるくらいです。お茶の提供は9:30~16:00です。
全国的に珍しい露地囲い
庭園を散策していると、「二重露地」と呼ばれる不思議な空間が現れました。露地とは茶会に招待された客人が、心の準備を整える場所。茶会は浮世を離れた世界であることから、露地がその境界線になっています。
客人はまず囲いの中の腰掛に集まり、心を整えたのちに茶室へといざなわれます。無我苑の二重露地は高い塀で囲まれており、全国的にも珍しい造りなんだそう。
まるでデザイナーズ住宅!?瞑想回廊
こちらは無我苑のもう一つの建物、瞑想回廊です。コンクリートの四角い建物に丸い窓が印象的で、安吾館とは全く異なる雰囲気。近未来的な空気も感じさせます。
中には瞑想室(メディテイション・ルーム)、展示ギャラリー、リラクゼーション・ルームなどがあり、「哲学体験」のきっかけを与えてくれます。
映え写真が撮れそうな雰囲気で、近頃は20代や30代の来苑者が増えているそう。
瞑想回廊の中庭では水の中に注目!
瞑想回廊の中庭は、中央に水が流れるオブジェがあり、周りを竹林に囲まれています。静けさが心地よく、植栽のへりに座って読書をしたり、竹林の間を流れる風の音を聞いたりと、思い思いに過ごすことができます。
瞑想廻廊中庭の池の中をよーく見ると、何やら屋根瓦が…!地面なのに屋根があるという、不思議な感覚に襲われます。
これは、旧無我苑の屋根瓦なのだそう。いい感じに苔が生えていて、年月を感じさせます。
吹き抜けには哲学的言葉がズラリ
瞑想回廊の中に入ると、コンクリート打ちっぱなしの吹き抜け空間が広がり、モダンな雰囲気です。階段へと向かう廊下には、さまざまな哲学者や文学者などの言葉が記されています。
一つひとつ眺めては、「なるほど」「ふーむ」「深いな…」「どういう意味?」などとつぶやくのも一興では?
1階にはギャラリー、2階にはギャラリーと常設展示コーナー、瞑想室、リラクゼーション・ルームがあります。
円柱廊下が近未来的。半円窓の近くも映えそう
2階の廊下は円柱状になっていて、両サイドは展示ギャラリーになっています。なんで丸いんだろう…。
苑長の石井佐和さんによると「廊下の突き当たりの窓と、立礼茶席の床の間の半円と呼応するように作られたそうです」とのこと。全く趣が異なる建物だと思っていましたが、そんな共通点があったとは!安吾館のどの部分が半円なのかは、ご自分の目で確かめてみてくださいね。
不思議な形の椅子に座って瞑想してみよう
こちらが瞑想室。リラックス効果のあるお香が焚かれており、天窓からうっすらと光が入る空間に、不思議な形の物体が…。実はこれ、椅子なんです。イタリアの富豪・コシモ・デ・メディチが瞑想のために作った椅子をイメージして作られています。
瞑想と聞くと「どうやってやるの?」「寝てしまいそう」と考える人もいるかもしれません。瞑想とは目をとじて呼吸と体の状態に集中して脳をクリアにしていくこと。そのやり方に決まりはないので、深い呼吸をして体の力を抜いていくことに集中します。
居眠り注意!リラクゼーション・ルーム
こちらはリラクゼーション・ルームです。音の振動を体全体に伝える「ボディソニック」が4台置かれており、自然の映像や環境音楽を楽しむことができます。座ってみると、リクライニングができて、ふっかふかな座り(寝)心地。
室内に入った時は音が聞こえなかったのに、耳元から音が流れるのが不思議!室内の程よい薄暗さも手伝って、ずっと座っていると寝てしまいそう…。
いつ行っても季節の花が楽しめる
季節ごとに咲く花々も、無我苑の見所の一つ。さまざまな植物があちこちに植えられているので、いつ来ても違った表情が楽しめます。写真は左から、3月頃に咲くコブシ、6月頃に咲く蓮、2月頃に咲くロウバイです。他にもアサザやボケ、ユリ、山法師、南天などバラエティ豊か。庭を散策するだけでも、大人の休日にぴったりです。
企画展「伊藤公洋 陶展『土と炎』」」
無我苑では企画展として「伊藤公洋 陶展『土と炎』」を開催しています(12月4日時点)。「彩文」と呼ばれる志野焼を代表作とする伊藤公洋さんは、高浜市在住の陶芸作家。今回の企画展は、無限回廊の1・2階ギャラリーを中心に、さまざまな彩文や黄瀬戸、紫志野などの陶器が数多く展示されています。
特に3種類の土と6種類の釉薬を駆使して作られる彩文は、大胆さと繊細さが入り混じり、「いったいどうやって作るんだろう…」と引き込まれます。
展示は2025年1月26日(日)までなので、お早めに。(取材:河合春奈/2024年12月取材)
哲学たいけん村無我苑
場所:愛知県碧南市坂口町3-100
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/3
営業時間:9:00~17:00
電話:0566-41-8522
駐車場:約90台
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