愛知県に古くから伝わる文化「嫁菓子」をご存じですか?これは結婚にまつわる風習の1つで、嫁入りの際にご近所さんへ配るお菓子のことを指します。
愛知県全域をはじめ、徳島県、淡路島にも伝わっているそうです。昔は西三河エリアでも行われていましたが、今ではあまり見かけません。が、ちゃんと意味のある風習なのだそう。
嫁菓子と聞いて、もしかしたら「菓子まき」をイメージする人もいるかもしれませんが、2つは別物。どちらも結婚に関連する文化ですが、嫁菓子は嫁入りの際にご近所さんへ手渡しするもの。菓子まきは2階の屋根などからお菓子をばらまくものです。
嫁菓子とはどんなものなのか、調査してみました!
※2024年11月取材時点の情報です
嫁菓子とは子どもたちが喜ぶお菓子の詰合せ
嫁菓子は、さまざまなお菓子が詰め合わされたもののこと。嫁菓子の起源は諸説あります。1つは、昔は嫁入り=新婦が住む村の人口が減ることを意味するため、村人が嫁にいかせまいと通せんぼしたので「通してください」という意味を込めて新婦がお菓子を配ったというもの。つまり新婦の生家のご近所さんに配るものです。
もう1つは、嫁ぎ先へ新婦が到着したあと、ご近所さんへの「顔見せ」として自宅の縁側に新婦が座り、やってきたご近所さんへお菓子を配ったというものです。つまり2人の新居(新郎の生家)のご近所さんに配るものです。
今では家から嫁に行くという文化が廃れてしまったため、両方で配るという人も多いようです。
嫁菓子の中身は人それぞれで500円~1500円程度
気になる嫁菓子の中身はというと、人によってバラバラです。予算も人それぞれなので、500円~1500円など結構幅があるそう。
ただ、昨今の物価高騰の影響により、毎月中身のお菓子の単価が変わってしまうので、以前のイメージのままだと思ってたのと違うこともあるよう。予算に合わせて見栄えするように作ってはくれますが、嫁菓子を配ろうと考えている人は、その時にお店の人と相談して予算を決めたほうが良さそうです。
刈谷市在住の嫁菓子経験者が貴重な経験談を語る
今ではあまり見られなくなった嫁菓子ですが、貴重な経験者(刈谷市在住)を発見!当時を振り返ってもらいましょう。どんな感じで配るんでしょうか?
奥さま「ご近所さんへお菓子を配るのは、嫁入り先では新郎の、実家では私の親戚でした。お菓子を配っている間、縁側に座ったというお友達もいるけれど、私は中の客間にいましたね。何人来るかも当日にならないとわからないから、多分多めに用意していたんだと思います。誰かわからない人もいたと思いますよ。あの頃は、どこからか嫁入りがあるという噂を聞いて、お菓子を貰いに行ったりしていたから」
ご主人「全然覚えとらん」
奥さま「えっ、そうなの!?」
ご主人「だって結婚式はあなたが主役でしょ」
奥さま「まぁ確かに…」
結婚式の主役は新婦というのは今も昔も変わらないようです。
嫁菓子オーダーOK!愛知県碧南市「山田商店」
続いてやってきたのは愛知県碧南市にある山田商店。お菓子の詰合せのオーダーを受け付けており、嫁菓子はもちろん、祭りやクリスマス会などにも引っ張りだこです。卸売が主ですが、ケースごとであれば小売もOK。嫁菓子の相談は随時受け付けていて、今も月に数件は相談があるそうです。
入ってみると、当然ですがお菓子だらけ!昔懐かしのお菓子もあれば、見たことのないお菓子もあり、なんだかワクワクしてきます。
基本的に平日営業ですが、第1・3土曜と翌日曜は「倉庫開放日」として営業しています。
お任せでも、絶対入れたいお菓子を伝えてOK
どんなふうにオーダーされるのかを聞いてみると、嫁菓子の詰合せ見本が用意されているので、「これくらいのボリューム感で」と決める人が多いそう。お菓子の詰合せ作りなんて、楽しそうすぎて絶対にみんな自分でお菓子を選んでいるんだろうなと思いきや、「中身はお任せという人がほとんどです」と山田商店の山田社長が教えてくれました。
見本のお菓子を見ながら、「これをこっちに変えて」「このお菓子が好きだから入れてほしい」と要望されることもあるそうです。あとは、残りの予算と嫁菓子のボリューム感を考えながら、お店の人が詰合せを考えてくれます。
詰め合わせる数やパッケージの形状がキモ
嫁菓子を詰め合わせてみたい!ということで、実際に詰合せ内容を考えてみることに。どんなことに気をつければいいのか聞いてみました。
・縁起を担いで、数は奇数が基本。8は末広がりなのでOK
・箱物を一つは入れて、土台にして安定感を確保
・夏場は溶けやすいチョコレート菓子を避ける
・チョコやスナック菓子など、なるべく味をバラけさせる
ちなみに山田商店は箱売りが基本なので、もし自分で詰め合わせたい場合は高浜や西尾にある小売店へどうぞ。
縁起の良さそうなお菓子を選んで詰合せ!
詰め合わせるお菓子は基本的に何でも良いのですが、お任せと言われた場合は縁起の良さそうなものを選ぶそう。鯛や海老の絵が描かれている「ふくふくたい(福福鯛)」や「かっぱえびせん」は嫁菓子の定番。他には「幸せ」が名前にある「ハッピーターン」、パッケージにハートモチーフがある「ピュレグミ」やハート型の「源氏パイ」など…。
また、パッケージに可愛い絵が描かれているものや、赤やピンクのものも選ばれやすいとか。なるほど!そんな気遣いがあったなんて気付かず食べていました!
嫁菓子注文はお早めに!
できました!配る予定はないけれど…。
「祝」と描かれた袋は大小2種類あるので、内容によって大きさが変わります。いれるお菓子を決めればお店の人がちょうどいい方を選んでくれるので、お菓子の代金、お菓子をいれる袋代、詰合せの手間賃を合わせた1個あたりの予算を伝えればOK。
何個からでも対応してくれますが、秋や年末年始などの繁忙期には詰合せ依頼が殺到するため、なるべく早めに、遅くとも1カ月前には注文を。入れたいお菓子が店頭にないときも、物によっては取り寄せてくれることもあるので、まずは相談してみてくださいね。(取材:河合春奈/2024年11月取材)
山田商店
場所:愛知県碧南市笹山町7-5-1
営業時間:平日8:30~17:30 第1・3土曜と翌日曜10:00~16:00
定休日:土曜、日曜(第1・3土曜と翌日曜を除く)
電話: 0566-41-3347
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