愛知県刈谷市にある秋葉社とその周辺で、毎年7月の最終土曜とその翌日に行われる「刈谷万燈祭」。竹と和紙で作られた高さ約5m、重さ約60㎏もの巨大な万燈をかついで舞とお囃子を披露するこの祭りには、毎年10万人以上の観客が訪れます。「近所のはなし」取材班は、1日目となる2024年7月27日に行われた新楽(しんがく)に参加。どんな場所で、どんなことが行われるのか、見どころを徹底レポートします。
天下の奇祭「刈谷万燈祭」とは?
愛知県の無形民俗文化財に登録されている「刈谷万燈祭」は、刈谷市銀座にある秋葉社の祭礼。火難防徐・町内安全を祈願する祭りといわれ、古文書「刈谷町庄屋留帳」によると発端は1778年(安永7年)。祭礼の笛や太鼓に合わせて万燈が登場したとのこと。また、1852年(嘉永5年)には秋葉社での雨乞い祈願に万燈が用いられ、ご利益があったことから、“雨乞い祭り”としての言い伝えもあるようです。
各町の若衆たちがガッチリ握手
刈谷万燈祭1日目は、氏子7町(司町・広小路・東陽町・新栄町・寺横町・銀座・広小路五組)に加えて、市内の企業や地区から参加する万燈が各町の万燈蔵を出発して町を練り歩きながら、一斉舞が行われる東陽町~刈谷警察北交差点の大通りに集合。20基ほどが一斉に舞とお囃子を披露した後、再び町を練り歩いて万燈コンテストの会場に向かって舞とお囃子を競います。取材班が15:30頃に新栄町の万燈蔵に向かうと、東陽町・新栄町・寺横町の3町が集まり、若衆たちがガッチリと熱い握手。若衆たちはその名の通り20代ぐらいの若者ばかり。法被を着た各町の参加者たちも若い世代や子どもたちが多く、すでにエネルギッシュな掛け声が飛び交っていました。
若衆頭の鼓舞に参加者らの熱気もUP
各町で若衆や参加者らを束ねているのが若衆頭。みんなに向かって「今日から2日間、おまえたちのためのお祭りだー!」と威勢よく浴びせかけると、参加者らも「おー!!!」と呼応して大盛り上がり。子どもたちも輪の中心に呼び寄せ、押し倒されないよう若者たちで守りながら、熱気はどんどん増していきます。若衆頭も子どものときから刈谷万燈祭に参加してきた1人。子どもたちを大切にし、成長して町を盛り上げていく姿には、地域の地力を感じますね!この後も「わっしょい!わっしょい!」と掛け声はヒートアップ!
キッチンカーのグルメやスイーツで休憩
キッチンカーエリアにも行ってみました。広小路交差点近くにキッチンカー10台ぐらいが集まっているスペースがあり、かき氷やフルーツ飴、唐揚げ、焼きそば、チュロスなどいろんな種類のグルメがずらり!「どれにしようかな…」と迷ったあげく、「西尾抹茶モンブランかき氷(700円)」に惹かれて購入。とても暑かったこの日、冷たさが体に染み入ります!一斉舞の開催エリアからも万燈コンテストの場所からも近いので、すぐに小腹を満たしに来れるのがうれしい。
冷房の効いた休憩スペースも
真夏での開催とあって、熱中症対策にも気をつけたいところ。開催エリア中心辺りにある刈谷商工会議所が休憩スペースとなっており、冷房の効いた建物内でひと休みすることができます。建物内にはドリンクの自動販売機もあるので、水筒に冷たいお茶を補充!イスに座って少し休憩したら、新楽最大の見どころとなる一斉舞を楽しむべく、東陽町へ向かいます。
新楽最大の見どころ!一斉舞
16:30頃になると各町の万燈が東陽町~刈谷警察北交差点の大通りに集まってきました。各町の万燈はそれぞれ3基ほど。大通りにずらりと並ぶ様子は壮観です。17:00になると、一斉に舞を披露する「一斉舞」がスタート。約10分間行われます。前述もしましたが、万燈は高さ約5m、重さ約60㎏。これをなんと1人で担いで万燈が映えるようくるくると舞い、笛と太鼓のお囃子が盛り上げ、参加者らも周囲で応援。町を代表して万燈を担ぐ人は数人でバトンタッチしていきますが、皆バランスを崩して倒れないよう必死の形相。取材班も手に汗握りながらその様子を間近で体感し、参加者からも「がんばれ!」と声援が飛び交います。
各町で舞とお囃子を競う、万燈コンテスト
一斉舞が終わると、万燈はそのまま町内を練り歩き、「万燈コンテスト」の場所へと向かいます。万燈コンテストとは、各町が審査員の前で順番に舞やお囃子を披露し、競い合うというもの。18:10から刈谷市駅北交差点で行われるので、取材班も歩いて移動。日が落ちてくると万燈の灯りが映え、立体感と美しさが格段にUP。そしてコンテストが始まると、各町の熱量と緊張感が見ている側にもひしひしと伝わってきます…!昼間とはまた違った万燈の幻想的な趣にも見惚れてしまいます。
灯りで輝く万燈の美しさは格別
コンテストでの披露を終えた万燈を見送る取材班。1日目、取材を始めた15:30頃からコンテストが行われる夜まで、若衆や参加者らの熱量は落ちることなく、エネルギッシュな舞やお囃子を間近で見てきて、本当に元気をもらったし、胸が熱くなりました。この日のために4ヶ月ほどかけて各町で制作されてきた万燈はどれも趣向が凝らされ、見ごたえたっぷり!やはり醍醐味は夕暮れ~夜。灯りで輝く万燈の美しさは格別です。
【追記】夜の一斉舞の様子が届きました
刈谷万燈祭のTV番組制作班から夜の一斉舞の映像が届きました。すっかり辺りも暗くなり、闇夜に輝く万燈の舞が幻想的。暗がりに揺れる万燈の美しさに撮影陣もつい見とれてしまったとか。身動きが取れないくらいの人だかりができるほど、夜遅くまで盛り上がっていたようです。(取材:広瀬良子/2024年7月取材)
会場マップ・アクセス
2024年度の会場マップ
万燈の行進経路やスケジュールなどが分かる会場マップは毎年、刈谷市観光協会の公式HPにアップされます。お出かけの際は最新情報をご確認ください。
刈谷万燈祭
会場:刈谷市内中心部、秋葉社周辺
毎年7月の最終土曜とその翌日に行われ、1日目を新楽(しんがく)、2日目を本楽(ほんがく)と呼ぶ。
新楽では氏子7町(司町・広小路・東陽町・新栄町・寺横町・銀座・広小路五組)に加え、市内の企業や地区の万燈も参加し、市内を練り歩く。本楽では氏子7町の万燈が秋葉社の境内で舞を奉納する。
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