愛知県西尾市東幡豆町にある妙善寺。地元の人々からは通称「かぼちゃ寺」として親しまれている、由緒あるお寺です。毎年冬至の日になると、かぼちゃのおしるこがふるまわれるほか、手作りの惣菜や採れたての野菜、果物などがずらりと並び、賑わいを見せています。
全国的にも珍しい、年に一度のユニークなビッグイベントをレポートします。
2024年は12月21日(土)に開催します。
かぼちゃが伝来したと伝えられる妙善寺
名鉄蒲郡線「東幡豆」駅を降りて南へ徒歩3分の場所に、妙善寺というお寺があります。境内からは海を見渡すことができ、のどかな風景も楽しめます。
昔、和尚が観音様のお告げにより浜辺に出てみると、たくさんのかぼちゃが流れ着いているのに気づき、それを煮て食べたところ、村人たちの顔つやが良くなり、いきいきとしたという言い伝えがあることから、「かぼちゃ寺」という名前がついたそうです。それからというもの、妙善寺は「かぼちゃ伝来の地」として広まり、地域の人々に長く愛されてきました。
境内のあちこちに「かぼちゃ」を発見!
境内をぐるりと見渡してみると、あちこちにかぼちゃの石像やオブジェを発見!山門をくぐった先や観音様の足元など、いたるところにかぼちゃを見つけることができます。なかには「こんなところにも!?」と驚くような場所にもかぼちゃが隠されているので、宝探しのような感覚で子どもと探索してみるのもいいですね。
毎年恒例!名物・かぼちゃのおしるこ
「かぼちゃ寺」の名物といえば、毎年冬至の日にのみ振る舞われる「かぼちゃのおしるこ」。この日のために寄進されたかぼちゃの中から厳選したものを、丁寧に下ごしらえし、水と砂糖、小豆を加えただけのシンプルなレシピで作られています。おしること聞くと、とろみがついた甘い飲み物を想像しますが、かぼちゃのおしるこはさらりとしていて、優しい香りが特徴。前日から仕込んでいるため、かぼちゃの甘みもしっかりと凝縮されています。ここ数年は2500杯ほど、過去に多い時では5000杯以上もふるまっていたのだとか!
かぼちゃを食べて運気もアップ!
できたてのおしるこを味わう人に感想を聞くと「元気が出るおいしさだね」「家を出るときは寒かったけど、温まるね」との声が。この味を目当てに、地元の人だけでなく市外や県外からもお客さんが訪れるそうです。
もともと、冬至の日には「ん」がつく食べ物を食べることで運が上昇すると言われています。特に、かぼちゃ、にんじん、レンコン、銀杏、寒天、金柑、うどん(饂飩=うんどん)は「ん」が2つ含まれていることから、とても縁起がいい食べ物として知られています。 「かぼちゃ」には「ん」がないのでは?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、「かぼちゃ」は「南瓜=なんきん」なので、「ん」がつく食べ物というわけです。
大きなかぼちゃを参加者におすそわけ
境内の奥では、なにやら大きな音が……?見てみると、両手を広げても抱えきれないほどの大きなかぼちゃを、なたで小さく切り分けていました。ほどよい大きさにして、参加者に配るのだそうです。「毎年この日のために全国から寄進していただいています。持って帰って甘く煮てもらってもいいし、味噌汁の具にもいいね。病気知らずのご利益があるかも」と係の人が話してくれました。例年500個ものかぼちゃが贈られてくるそうで、驚きですね!
地元の特産品やお惣菜がずらり
境内の下の広場も大勢のお客さんで大賑わい!見に行ってみると、地元の味噌蔵がつくった味噌や醤油、魚屋さんの干物、農家さんの採れたて野菜・果物などがテントの下にずらりと並んでいました。地元の商店街が協力して出店しているそうです。
できたての豚汁やお団子などを食べて舌鼓を打つ人も。「外で食べるとおいしいね」「家に持って帰って家族と食べます。子どもも毎年楽しみにしているんですよ」との声を聞くことができました。
年末の恒例行事として長く続けていきたい
2024年で91歳になる、妙善寺のご住職にお話を聞きました。「30年くらい前までは、かぼちゃを煮てお客様に振る舞っていましたが、あまりの人気ぶりにお客様も増えてきたのでかぼちゃのおしるこを振る舞うようになったんです。北海道からいらっしゃった方もいて、『おいしいおいしい』とおしるこを味わってくれました。コロナ前までは、全国からかぼちゃの大きさや品質を扱う品評会「かぼちゃサミット」も行われていたんですよ。これからも年末の風物詩として、地元の人のみならず、県外の人にもたくさん訪れてほしいですね」
かぼちゃのおしるこは朝7時から振る舞われていますが、人気のため、午前中になくなってしまうこともあるのだとか。早めに来て思う存分味わってみてくださいね。
1月には大根の炊き出しも
地元の人を中心に、市外、県外からも多くの人が訪れる「かぼちゃ寺」。名物のかぼちゃのおしるこはもちろん、地元の商店街から提供される特産品や手作りの惣菜を楽しむことができたり、地域の人の温かさも感じられたりと、身も心も癒されるイベントでした。かぼちゃのおしるこの振る舞いは朝7時ごろから、物産展は準備ができ次第徐々に始まります。妙善寺のウェブサイトか市民だよりで情報を確認してみてください。
毎年1月18日には大根の炊き出しもあるので、気になる人はぜひ訪れてみて。詳細はお寺のHPをチェック!(取材:光田さやか/2023年12月取材・撮影、2024年情報更新)
妙善寺(かぼちゃ寺)
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