愛知県西尾市にある創業60年を超える老舗繊維メーカー「石川メリヤス有限会社」。
同社が開発した二重編み構造の靴下「ラブヒール」は、年間で20万足以上売れる大ヒット商品です。履いた人によると、とても温かく、かかともすべすべになるそう。さらに、シンプルなデザインながらも、普段使いから差し色としても使えるカラーバリエーションも人気の秘密です。
ラブヒールが生まれた背景から人気の秘密まで、代表取締役の大宮裕美さんに取材しました。
※2023年9月取材・撮影。お出かけの際は最新情報をご確認ください
日々挑戦する老舗繊維メーカー
石川メリヤスは作業用手袋(軍手)の製造から事業を始め、今は軍手のほかにも5本指靴下やファッション手袋、ニット小物などをつくっています。
今回取材した三代目社長の大宮さんは、今の時代に合わせたブランドの見直しや商品開発にも意欲的。
使えなくなった糸や製造技術を提供し、地元・西尾のアパレルブランド「UZUiRO」とリサイクル商品を共同開発するなど、SDGsを意識した取り組みにも力を入れています。
パッケージもポップでかわいい!人気のラブヒール
ラブヒール(2,420円・税込)は冷え性の人を中心にリピーターが多い商品。抜群の保温性と保湿性で、カサカサだったかかとがツルツルになるというのが人気の理由です。
女性だけでなく、最近は外仕事が多い男性にも人気で、一度履くと「これがないと冬を越せない」とファンになってしまう人もいるんだとか。
大宮さんは、ラブヒールができた当初から冬は必ずラブヒールを履いているそうです。
ラブヒールシリーズのラインナップは?
ラブヒールは12色展開。一番人気は黒色で、続いてグレーやえんじ色も人気だとか。
定番モデルのほかに、学生にうれしいハイソックスから、靴も履きやすい薄型、リラックスするときに履きたい足首まわりを締めつけないタイプの靴下までバラエティー豊かです。
もちろん男性用商品も販売。履き心地が気に入って、まとめて購入し、家族へプレゼントする人も多いそう。
また、洗濯のコツは、ネットに入れることと、干している間に裏返すこと。そうすることで、乾燥の時間短縮につながると大宮さんから教えてもらいました。
かかとしっとりの秘密はここにあり!
ラブヒールは外生地と内生地からなる二重編み構造。内生地には、冬用の肌着で用いられるセラミックを練り込んだ糸を使用し、遠赤外線効果でじんわり温かくなります。
さらに、かかと部分には、保温性・保湿性どちらにも優れた塩化ビニール素材の「特殊保湿シート」を縫製。
そのため、履いているうちにかかと部分が汗でしっとりしてきます。カサカサだったかかとがツルツルになる理由はここにあります。
外生地と内生地の工夫が、履き心地のよさに
ラブヒールの外側の生地はやわらかく伸びる仕様になっています。
この生地は「マジック手袋」や「のびのび手袋」で用いられた糸をアレンジして作った、ラブヒールのための特別仕様の糸からできています。
そのため、外側はフィット感があり、ずっと触っていたくなるようなもちもち具合です。
ラブヒールを地元でより愛される商品に
ラブヒール開発のきっかけは、問屋さんの一声でした。
当時流行していた二重編み構造の靴下を作らないかと声をかけられ、挑戦してみることに。それ以来、糸の配合を変え、生地の品質を改良し続けているそうです。
そして、保湿シートや内・外生地の縫製は全て手作業。内職は地元の人に依頼しています。
「地元でラブヒールに携わる人を増やし、全国に出荷していきたい」という大宮さんの思いから、内職の人へラブヒール専用ミシンの貸出をおこなっています。
時代に合わせてパッケージも改良
ラブヒールの発売から年を重ね、ユーザー層も変化。
新しいユーザーにアピールするために2019年にブランドのコンセプトやターゲットを見直し、パッケージをリニューアルしました。その結果、若い世代の購入につながったそう。
大宮さんは「ものづくりの会社ですので、自分で作りたいものを作れるようにならないと、お客さまが欲しいものを作れない。『いいなと思ったら自分で作ってみよう』『売れるか試してみよう』と従業員に日ごろから話しています」と語ります。
実際の商品の手ざわりを確認できる機会も
ラブヒールを購入するならオンラインショップがおすすめです。
「商品の手ざわりを確認したい!」という方は、不定期に石川メリヤス有限会社にて開催される「いしめりマルシェ」がおすすめ。ラブヒールや試作品、アウトレット品などが販売されます。実物を見ると、あれもこれもと買ってしまいたくなるはず。気になる人はFacebookやInstagramで最新情報をチェックしてみて。
(取材:武富由夏/2023年9月取材・撮影)