西三河エリアでひな祭りの時期になると食べるという「いがまんじゅう」。「これを食べると春が来たなぁって思う」という声もあり、安城・西尾・刈谷・碧南・知立・高浜では給食にも登場するほど、地元民にとってはお馴染みのお菓子です。
一方でエリア外からやってきた人にとっては「いがまんじゅうって何?栗のイガ?三重県の伊賀?」と疑問がわくお菓子でもあります。そこで今回は「ひな祭りのお菓子といえばひなあられでしょ」の県外ライターがとことん取材!どんなお菓子なのか、どこで買えるのかなど、気になるアレコレを解明します!
だんごみたいなもっちり生地にあんこがたっぷり
いがまんじゅうとは、桃の節句の時期に食べる郷土料理。米粉を練った皮であんこを包み、表面に着色したもち米をつけて蒸した和菓子です。愛知県以外にも、京都や滋賀、九州にもありますが、ひな祭りのときに食べる風習があるのは愛知県のみ。さらに、愛知県の中でも尾張や知多、東三河では見られず、西三河だけに伝わる郷土食なのだそう。ひな祭りが近づくと、地域の和菓子屋さんが一斉に作り出します。
表面についているもち米は、ピンク、黄色、緑色が大半。ピンクは桃の花、黄色は菜の花、緑は新芽と、春の景色を表しているそう。
碧南市民から愛される老舗和菓子屋
まずやってきたのが碧南市にある「大杉屋弥與八(おおすぎややよはち)」。昭和10年から丁寧に和菓子作りを続ける老舗です。店内にはお雛さまが飾ってあり、華やか~!だんごや大福、練り切りなどいわゆる「ザ・和菓子」といった商品に加え、マドレーヌなどの洋菓子もあり、季節限定商品もいっぱい。いつ来てもワクワク感のある商品ラインナップです。
店内にはイートインスペースもあり、おだんごなどをその場で食べることもできます。
はまぐりの形で碧南らしさを表現
こちらが大杉屋弥與八のいがまんじゅう。せっかくなので、お雛さまと一緒にパシャリ!なんだかまんじゅうらしからぬ、半円形ですが…。「碧南は海の町なので、うちのいがまんじゅうははまぐり型。初代の時からそうだったみたいです」と三代目店主の杉浦高穂さんが教えてくれました。なるほど!
北海道産の小豆を使ったこしあんは、きめ細かななめらかさで上品な味わい。皮はもちもち、ぷにぷにした食感で食べ応えがあります。毎年、立春から3/3までの期間限定で販売されます。
優秀和菓子職にも認定された三代目
杉浦さんは、2022年に全国和菓子協会による「優秀和菓子職」に認定。県内では5人目となかなかに狭き門!和菓子の味や見た目、手際の良さ、衛生管理など、和菓子の製造技術を認められました。 県外の和菓子屋で8年ほど修業を積み、2003年から大杉屋弥與八で和菓子作りに携わる杉浦さんが一番大切にしているのは「碧南らしさ」。「地元の方が家族団らんの時間にお茶と一緒に和菓子を楽しんでほしい」と話します。
余談ですが、後ろに見えるおだんごの絵は杉浦さんの直筆。ダイナミックで、筆者はすごく好きです!今度はいがまんじゅう以外に、おだんごもいただいてみたい!
大杉屋弥與八
場所:愛知県碧南市錦1-36
電話:0566-41-0243
営業時間:9:00~18:00
定休日:月曜、第4月・火曜連休
駐車場:あり
大杉屋弥與八公式Instagram
抹茶スイーツがいっぱいの和菓子店
続いてやってきたのは西尾市の「穂積堂(ほづみどう)」。明治45年の創業当初は、和菓子だけではなく、洋菓子やパンなども扱っていたそうです。先代である三代目に代替わりする際に現在の場所へ移転し、和菓子の専門店になりました。
店内には一般的な和菓子をはじめ、西尾の抹茶を使ったスイーツがいっぱい!抹茶好きな筆者としては気になるところですが…今日のお目当てはいがまんじゅう!
3色+よもぎ味のいがまんじゅう
ありました、いがまんじゅう。と思いきや、ピンク、黄色、緑に加え、本体が緑に白いお米がついたいがまんじゅうが。実はこちらはよもぎ味。中身も、3色のものはこしあんですが、よもぎは粒あんという違いがあります。
「この時期の和菓子として草餅もあるんですが、同じような食材を使うので、いがまんじゅうにしちゃったんです」と教えてくれたのは、四代目店主の鈴木雅也さん。由来については「物心がついたときからあったので、あんまりよくわからないんです」とのこと。2024年は1/15~3/20頃まで販売予定だそう。期間中何度も買いに来るお客さんもいるのだとか。もっちり柔らかなだんご生地と、甘さ控えめのこしあんのバランスが絶妙です。
甘さをちょっとずつ調整して、愛される味に
鈴木さんが生まれた時からあったいがまんじゅう、ずっと変わらない味を守っている…と思いきや、「時代によって、好まれる甘さの度合いが微妙に変化していくので、少しずつ変わっているんです。昔は甘ーいのが好まれましたが、だんだん甘さが控えめになって。ちょっと前にはかなり甘さが控えめになって、今はまた少し甘さが戻ってきました。他のお菓子を食べて、今好まれている味がどんなものなのか、感じ取るようにしています」とのこと。そんなにも奥深い世界だったのですね…!(取材・河合春奈/2023年2月取材・2024年1月更新)
穂積堂
場所:愛知県西尾市鶴舞町54-1
電話:0563-57-2096
営業時間:9:00~17:00
定休日:火曜
※穂積堂シャオ店でも販売
場所:愛知県西尾市下町御城下23番地1
電話:0563-56-5212
定休日:水曜(不定休)
穂積堂公式HP
穂積堂公式Instagram
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