愛知県安城市に整備工場と大きな車庫を持つ「いけだ自動車」は、知る人ぞ知る中古車販売店です。一般的な新車の販売や車検などの整備も行っていますが、「Antique'S(アンティークス)」として国産旧車の整備や販売も行っているのです。在庫は60台~70台はあるそうで、車庫の中には博物館級のお宝も...。
個性あるデザインがかっこいい!と憧れるものの、部品の生産を終了しているモデルも多くて維持が大変そうなイメージの旧車。ですが、「他で断られた車もうちなら直せた、ということが多い」というほど、アフターフォローも万全!どんな会社なのか、取材しました。
整備工場と旧車展示車庫が併設
いけだ自動車は岡崎市にほど近い、安城市柿碕町にあります。整備工場と旧車が展示されている大きな倉庫が併設され、広々とした駐車スペースも。
1961年から地域に密着して自動車整備などを手がけていましたが、旧車の取り扱いを始めたのは2010年頃から。社長の池田滋幸さんが「他ではやっていないことを」と、自身も好きだった旧車の中古販売を始めました。初めて取り扱った旧車は日産のキャラバンで、仕入れてから1週間で売れたそう。周りからは反対されましたが、池田さんは「かっこいいから売れる!」と自信満々だったそうです。
デザインが特徴的な希少性のある昭和の名車
旧車の魅力を伺うと「単純にかっこいい。僕は人と同じが嫌なので。旧車はそもそも数が少ないし、貴重なんです。全国探しても、ないものはない」と池田さん。確かに街中で旧車が走っていたら「おっ」と目を惹きます。
デザインに惹かれて「○○という車に乗りたいんですけど」と相談へやってくる20代くらいの若いお客さんも多いそう。他に「若い頃に憧れていた車に乗りたい」と、ウン十年越しの夢を叶えるためにやってくる50代~60代のお客さんも。
旧車との出会いは一期一会!
現在は60台~70台の旧車を在庫として抱えていますが、旧車は売れたら終わり。倉庫の中は常に変動しています。
同じ車には二度と出会えないといってもいいほど希少性が高く、市場からも減り続ける一方なので、エンジンなどの状態のことも考えると、まさに一期一会。乗りたい車種が決まっているなら、池田さんに伝えておくと掘り出しものが出てきた時に教えてくれるかも!
生産終了部品も独自ネットワークで調達
希少な存在なだけに、「他の修理工場には修理を断られたけど、どうしてもこの車に乗り続けたい」という相談が全国各地から届くのも納得です。旧車は構造がシンプルなため整備はしやすいのですが、部品が生産終了している場合が多いため、修理を断られるケースが多いのだとか。
しかし、いけだ自動車では独自のネットワークを持っているため、全国各地から部品を取り寄せるなどして、数々の旧車修理を請け負ってきました。
旧車ファンのコミュニケーションスペースに
「旧車好きな方は、みんなで集まったり一緒にイベントへ行ったりしてカーライフを楽しんでいることが多いので、『イベント帰りに立ち寄りました』といってみんなで来てくれることも多いですね。中には誰かに聞いて『ここに○○というパーツがあると聞いたんですけど...』といって問い合わせをされる方も。うちが、旧車好きな人々が集まるコミュニケーションスペースのような存在になれるとうれしい」と池田さん。
大型車両整備もOK。地元貢献から生まれる信頼
いけだ自動車では、トラックなど大型車両の整備もできる設備が整っているため、物流や市民生活を支える地元企業の車両整備も多く手掛けています。また、豊田市で行われている「クルマづくり究めるプロジェクト」にもボランティアとして参加していて、地元への貢献も意識しているのだそう。
創業者であるお父様の代から「地域密着」でやってきたからこそ、人とのつながりが生まれ、情報が集まってくる。それが、いけだ自動車への信頼感へもつながっていくのだと感じました。
ベテラン整備士から技術や知識の継承へ
現在いけだ自動車で活躍している整備士は5名。中には「整備士資格を取りたい」と勉強中の女性整備士(見習い)さんもいるのだとか。旧車の整備も多く手がけるため、技術継承が行われています。
旧車はもちろん、一般的な自動車についても、オイル交換から車検まで車のことならなんでもサポート。アフターメンテナンスが必要な自動車は、サポート体制が充実し、安心感のあるお店で買うのが一番。車のことに悩んでいるなら、いけだ自動車で相談してみては?(取材:河合春奈/2022年6月取材)