愛知県知立市にあるクシロ印刷は、昭和34年創業の古き良き印刷会社。小ロットの印刷や納期の相談にのるなど、「印刷で困った時の頼れる存在」を目指しています。最近は知立市の人気マスコット「ちりゅっぴ」のマスクを作るなど、紙以外への印刷も行っているそう。仕事中におじゃまして話を伺いました。
昔ながらの印刷技術を継承
出迎えてくれたのは、クシロ印刷2代目(予定)の鈴村勇人さん。単色刷りの印刷を得意とするクシロ印刷には、チラシや名刺などの印刷依頼が知立市内外の企業や商工会などから舞い込みます。もちろんフルカラー印刷も取り扱っています。
名刺は基本100枚2,000円~ですが、「朝に発注して昼には受け取りたい」などの納期の相談にも応じてくれるそう。「もちろんその時の仕事状況によるので100%できるとはいえないですが、個々の要望にできるだけ対応したいと思っています」と鈴村さん。
単色刷りが得意なクシロ印刷
印刷の様子を見せてもらいました。「今使っているのは3代目の機械。前に使っていた印刷機はもう部品もなく修理ができなくて...。インクと紙、印刷内容の元となる『版』をセットし、印刷がうまくできているか様子を見ながら進めていく、という印刷手法は変わっていません」。インクを見せてもらうと練り飴のようにびよーんと伸びます。これを練って柔らかくして使うそう。写真は黒ですが、他に青系のシアン、赤系のマゼンタ、黄系のイエローがあります。
ロゴ製作など新しいことへも果敢に挑戦
仕事を手伝い始めた19歳の頃は、見様見真似で印刷知識や技術を教わりながら、他に自分ができることはないかと、ロゴ製作など新しいことへの挑戦もはじめました。
布へのプリントもその一つ。Tシャツなどへプリントする機械を購入し、試行錯誤を重ねてマスクなどさまざまな布地へのプリントにも成功したそうです。「いろいろな方法を試しながら、何かできないか常に模索しています」と、好奇心を持って取り組んでいます。
ちりゅっぴマスクなどグッズ多数販売中
ちりゅっぴグッズは現在、マスク(660円・税込)、メモ帳2種類(110円/550円・税込)、コースター(150円・税込)、缶バッジ(120円・税込)、カレンダー(440円・税込)を販売しています。販売場所はクシロ印刷のみ。「どこで聞いたのか、一般のお客さんもふらっとやって来てくれます。マスクは時節柄、特に人気ですね。ちりゅっぴもいろいろな絵柄があるので、迷われる方も多いです」とのこと。お手軽価格なので、子どもにも買いやすいのがいいですね。
街の頼れる印刷屋さんを目指して
今はネット印刷など多くの競合がいるなかで、鈴村さんは「街で頼られる存在になりたい」と話します。
「個別の要望にも対応できるのが、うちのような小さな印刷屋の長所だと思っているので、他で断られたことも気軽に相談してほしいですね。もちろんできないことはあるのですが、納期や『そもそも印刷内容のデータが作れない』とか、印刷関連のことはとりあえず聞いてほしいです」。
アメ車好きにはたまらないカレンダーも制作
実はアメ車好きという鈴村さんは、オリジナルデザインのアメ車カレンダーも制作。全国のアメ車仲間から自身の愛車の写真を送ってもらい、その中から厳選した写真を使ってカレンダーを作ったそうです。
見せてもらうと素晴らしいクオリティの写真が並んでいます。さらに鈴村さんは愛車のロゴを使ったTシャツも制作し、社内にディスプレイ。「これは完全に趣味ですが(笑)。こういうこともできるよって知ってもらえたら」と笑います。
商店街連合会会長として地域を盛り上げたい
鈴村さんは知立市商店街連合会の会長という側面も。連合会では毎年12月に「GoGo!商店街」というイベントを開催しています。これは参加店舗で買い物をすると抽選で豪華賞品が当たり、そのプレゼントはサンタとトナカイがオープンカーで届けてくれるというなんとも楽しげなイベント。鈴村さんもサンタになったことがあるとか...。とっても似合いそうです。「知立の弘法さんもかつての賑わいと比べるとさみしくなっているので... できることからやって、地域の賑わいを取り戻したいですね」と地域全体の将来を見据えています。(取材・河合春奈/2022年3月取材)