巣ごもり生活が長びき、おうち時間を少しでも楽しもうと、インテリアに凝ったり花を飾ったりする人も多いのでは?そんな人にオススメしたいのが、花が長持ちするという花器「Karen」。一見シンプルな花器ですが、水を入れて花を飾るだけで、切り花を長持ちさせることができるそう。その秘密は愛知県高浜市で生産されている三州瓦の焼成技術にあるとのこと。
瓦と花器という異分野の商品がどのように繋がったのか、商品企画を行った雑貨ブランドメーカー「アメイズプラス」と、高浜市の老舗窯元「神仲」の担当者に開発秘話を伺いました。
「時間を止めるフラワーベース」と話題!
Karenはシンプルな円筒状で、直径8.5cm、高さ12cmと、大きすぎず小さすぎずのちょうどいいサイズ感。質感は素焼きの陶器のようで色はグレーです。
花が長持ちする秘訣は、花器表面の炭素にあります。製造工程の最後にガスを入れて焼成することで、表面に銀色の炭素被膜ができるのだそう。備長炭が浄水や消臭に使われるのは水をきれいに保つためですが、花器自体が備長炭と同じ役割を果たしてくれるのです。
雑談から生まれたKaren
商品企画を立案したのは、美容・健康商品を企画販売しているアメイズプラスの西綾太さん(写真右)、製造を担当したのは、愛知県高浜市にある三州瓦の窯元「神仲」の神谷?さん(写真左)。
両社は以前に、cookvery(クックベリー)「瓦のボウル」の製造販売でタッグを組んだことが。その時に、「いぶし焼成の炭素被膜は植物にいい」という話が出たそう。
それを聞いた西さんは、「最初は本当かなと疑いましたが(笑)、本当だったらすごいなと思った」とのこと。
いぶし焼成が本当に花によいのか実験!
いぶし焼成とは、陶器などの焼き方の一つ。三州瓦では、主に寺院の屋根に使われる瓦が、いぶし焼成でつくられています。焼成工程の最後にガスを注入して還元反応を起こし、素地に炭素が付着することで独特のニュアンスのある仕上がりになります。
西さんは早速、いぶし焼成の器が本当に植物にいい影響を与えるのか、実験することに。水を張ったガラスの器といぶし焼成の器にそれぞれ花を入れ、一定期間おいてみると、本当にいぶし焼成の器に入れた花のほうが長くきれいな状態を保ったのだそう!
使う人をイメージしながらラフスケッチ
正式に効果を検証すると、器に付着している炭素が水の中のバクテリアなどの有機物を吸着することで水を清潔に保ち、結果として花が水を多く吸い上げるために長持ちするということがわかりました。
そこで、花器を作ろうと開発スタート!「どんな花器にしようか考えた時、普段は仕事などで忙しくて、花を枯らしてしまうという女性が使っているイメージが湧きました。シンプルなインテリアの家に住んでいそうだなと思ったので、形も凝らず、シンプルに仕上げました」と西さん。
和洋どちらも似合う万能花器
スタイリッシュなデザインなので、どんなインテリアにも似合うのがKarenの特長です。ニュアンスグレーの色合いはシンプルモダンな洋室はもちろん、いぶし瓦と同じ質感なので和室にもピッタリ。
また、お花屋さんがアレンジしてくれたブーケをすっぽりそのまま活けることができるサイズ感も、多忙な人にはうれしいポイントです。
お手入れいらずで使うほどに味わいが増す
Karenのお手入れ法は?と聞くと、「特に何もしなくてOK」と多忙な人にとってはうれしいお言葉。手で触れると表面に付着した炭素と反応し、色が変わることがありますが、それも味わい深く感じられます。
どことなく温かみを感じさせる、焼き物ならでは風合いがあります。和の花でも洋の花でも色や形を引き立ててくれるデザインです。
三州瓦の可能性は無限大!?
鬼瓦や役瓦(軒先など特殊な役割を持つ瓦)の製造を担う神仲では、三州瓦の製造技法を使ってさまざまな商品を開発しているそうです。
「最近では名前を入れることができる傘立てが好評です。一つひとつ手作りしているので、家紋や会社のロゴを入れることもできます」とのこと。その他、ガーデニング用品や干支瓦も長く愛され続けている人気の商品です。
購入はオンラインショップにて
気になるお値段は4,950円(税込)。アメイズプラス オンラインショップから購入できます。
花器としては安くはありませんが、花のお手入れの時間を短縮できて、かつ帰宅した時に綺麗な花々が出迎えてくれることを考えると、私たちの暮らしを豊かにしてくれそうです。(取材:河合春奈/2021年12月取材)
株式会社アメイズプラス
美容・健康関連のアイテムを中心に、商品企画を行っています。自社工場を持たず、国内外の協力工場と提携して製品を生み出しているため、ユーザーに寄り添う自由な発想でのモノづくりを得意としています。
場所:愛知県名古屋市中村区太閤3丁目1-18 名古屋KSビル4F
電話:052-485-4759
株式会社神仲
大正8年創業。鬼瓦・役瓦を中心に製造販売を行う、三州瓦窯元です。瓦の製造技術を生かして、ガーデニング用材や陶板タイル、オリジナル傘立て、干支瓦などさまざまな商品を生み出しています。暮らしの変化に合わせた洋風瓦も製造しています。
場所:愛知県高浜市清水町3丁目3-1
電話:0566-53-1532