子どもの頃に社会科見学や遠足で一度は訪れたことがある"歴史博物館"。
郷土資料を展示したり、伝統文化の発信をしたりと、少し堅苦しい施設を思い浮かべがちですが、今回は、スタイリッシュな建築美が特徴的な愛知県にある「刈谷市歴史博物館」へ。建築鑑賞も楽しめるオシャレな空間や、地元の祭りに使われる道具が展示されている「お祭りひろば」など、見どころ満載!刈谷市の歴史や文化が学べる刈谷市歴史博物館の魅力を紹介します。
※2021年9月取材・撮影、2023年7月料金等の基本情報を確認。お出かけの際は最新情報をご確認ください
え、ここが歴史博物館!?
刈谷市の歴史や文化を学ぶことができる施設として、2019年3月にオープンした刈谷市歴史博物館。外から建物を眺めても、「え、ここが歴史博物館!?」と驚いてしまうほどおしゃれで洗練された佇まいです。
館内では日常を忘れてのんびりとくつろげるよう、外の風景を遮るように木や築山、石垣を建物の周りにあえて配置しているんだとか。どんなところだろう...と、ワクワク感が高まりますね!さっそく中を覗いてみましょう。
思わずうっとり、細部にこだわった建築美
刈谷市歴史博物館の特徴は、デザインが優れた物事に贈られる「グッドデザイン賞」も受賞した建築美。エントランスを通り抜けると、天井が高く開放的なロビーが広がっています。ん~、大きな窓から差し込む自然光が心地良い!
内装に目をやると、小さな木材を組み合わせた天井や床、レンガづくりの壁が印象的。「些細な日常の積層が歴史のうねりをつくる」といったテーマで設計されているそうです。
壁から差し込む光が広々とした空間を演出
「刈谷市歴史博物館のような展示スペースや収蔵資料に限りがある地方博物館は、一度お越しになった方に再訪してもらうのが難しく、いかにリピーターを増やすかが課題。当館では館内全体が開放的で居心地の良い空間となるよう設計されています」と教えてくれた刈谷市歴史博物館館長の田代英徳さん。
例えば、2階の展示室へ続く吹抜け階段のレンガ壁には、織物をイメージした透かし模様が入っており、展示室前の通路に程よく自然光を入れる役割を果たしているんだそう。
万燈や山車など、刈谷市の祭り道具がずらり
刈谷市歴史博物館で注目してほしい場所の1つが、地元の祭りの臨場感が味わえる「お祭りひろば」。
祭りそのものが愛知県の無形民俗文化財に指定されている「刈谷万燈祭(かりやまんどまつり)」の万燈や、刈谷市の有形民俗文化財に指定されている「刈谷山車祭」の山車など、刈谷市で開催される祭りに使われる道具がずらりと並んでいます。コロナ禍で祭りが延期になってさみしいという人にぜひ訪れてほしい場所です。
万燈を担いでみよう!体験コーナーも
「刈谷万燈祭」のメインイベントは、竹と和紙で作られた万燈の担ぎ舞い。高さ約5m、幅約3m、重さ約60kgにもおよぶ万燈を1人で担ぎ、振り回すように舞う姿は大迫力!
お祭りひろばには、万燈を担げる体験コーナーも。実際に担いでみると、お、重すぎる......。肩に乗せるだけでも大変なのに、こんなに重い万燈を担いで舞っている演者さんたちはさすがです。男性用の実寸サイズと女性・子ども用のミニサイズと2種類が用意されているので、誰でも万燈担ぎに挑戦できます。
刈谷市歴史博物館から山車祭へ、いざ出陣
こちらは、市原稲荷神社の祭礼のひとつ大名行列と一緒に行われる山車祭で実際に使われる肴町と新町の山車。高さは5m以上もあり、真っ赤なたれ幕と黒い漆、そして金箔で彩られた装飾が豪華絢爛!
以前は市内の倉庫で保管されており、普段見ることはできなかったそうですが、刈谷市歴史博物館のオープンを機にこちらに移され、いつでも見られるようになりました。
刈谷市の転換期が学べる歴史ひろば
続いては、常設展示コーナー「歴史ひろば」へ。縄文時代、江戸時代、近代と刈谷市の転換期となる3つの時代に分けて、当時の暮らしや刈谷市の発展の様子が学べます。
愛知県下でも屈指の縄文遺跡数を誇る刈谷市で発掘された土器や生活道具、江戸時代の刈谷城と城下町の様子を復元したジオラマが展示されているほか、刈谷の発展のカギとなる豊田自動織機で製作された実物の自動織機などを見学することができます。そのほか、刈谷の歴史を深掘りする企画展も随時開催しているんだそう。
刈谷城の模型にかざして、タブレットでAR体験
歴史ひろばで目を引くのが、刈谷城を中心とした城下町が広がるジオラマ。実はこれ、館内で貸し出しているタブレットをかざしてみると、江戸時代の暮らしや刈谷城の説明をARで見ることができるんです。CGで再現された当時の人々がジオラマの中で動き回り、刈谷城や城下町の様子がリアルに再現されていて面白い!
天守閣がないことや、海に面した地形に建っていたことが特徴的な刈谷城ですが、建物や石垣などは残っておらず、今となっては、刈谷城があったことを知らない子どもも多いんだとか。AR展示ならタブレットを動かしたり、タッチしたりと、子どもたちも興味津々で刈谷城の歴史を学ぶことができそうですね。
見て、触れて、学べる刈谷市歴史博物館へ
イベントやワークショップにも力を入れている刈谷市歴史博物館。週末には、ものづくりなどを楽しみながら歴史を学べる歴史体験講座や、3カ月ごとにテーマが変わる簡単工作など、さまざまな催しを行っています。
刈谷市の転換期から刈谷市民が愛してやまない祭りまで、刈谷市の歴史や文化を、見て、触れて、体験することができる刈谷市歴史博物館。芸術の秋、ならぬ"歴史と建築の秋"を満喫しに、ぜひ足を運んでみては。(取材:岩井美穂/2021年9月取材・撮影、2023年7月料金等の基本情報を確認)
刈谷市歴史博物館
場所:愛知県刈谷市逢妻町4-25-1
電話:0566-63-6100
営業時間:9:00~17:00
休み:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始など
料金:常設展は無料
駐車場:あり(81台)