みなさんは"骨董品"と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?部屋に飾る壺などの置物を想像する人が多いのではないでしょうか。
骨董品とは、希少価値の高い古美術や古道具を指します。日常生活ではあまりなじみがないかもしれませんが、いざ骨董屋に足を踏み入れると、古き良き時代に使われていたと思われる傷や独特の色合いを見て懐かしい気持ちに...。
そんな骨董品の魅力を現代に伝えるお店をまさかの場所で発見!ご家族3人で運営しているそうですが、一体どのような場所なのでしょうか。趣深い扉は異世界への入口!
訪れたのは、愛知県知立市のギャラリエアピタ知立店近くに構える「3人もよう」。江戸・明治・大正など幅広い時代で使われていた骨董品やアンティークのガラスを展示・販売しています。
賑やかなショッピングセンターとは対照的に、ツタをまとった緑あふれる外観は凛とした佇まい。入口となる木製の引き戸からは、どことなくミステリアスな雰囲気が漂います。荘厳な趣を全身で感じながら、ゆっくりと店内へ!
親子3人でお店を切り盛り
出迎えてくれたのは「3人もよう」の店主・渡辺実さんと、さと子さん、荒木このみさん。娘のこのみさんを中心に、ご家族3人でお店を経営しています。元々サラリーマンとして働いていた実さんですが、「好きなことを仕事にしてみよう!」とご夫婦でお店を開くことを決意。
初めは全国の作家から買い付けた焼きものを展示・販売する予定でしたが、行く先々で見つけた骨董品にドはまりして今に至るそう!
心惹かれる古き良き物への想い
「3人もよう」は、1階が骨董品のお店、こちらの写真に写っているいる2階が自宅になっています。1階で販売されている骨董品はタンスや時計、棚、照明など、どれも日常生活で使えるものばかり。「使ってみないと、その物の良さは分からない」と、さと子さんが話すように、日々の生活の中に骨董品を取り入れることで、より愛着が増すのだそうです。
そんなさと子さんの想いを形にした2階の自宅には、どことなく懐かしさを感じるディープな骨董品がたくさん!まるで「大正ロマン」の世界に迷い込んだかのよう!
楽しみながら仕事をする両親への憧れ
渡辺さんご夫婦がお店を開いて約10年経った頃、もう少し広いお店をつくりたいと考え、名古屋市に別の店舗を構えることに。その頃、東京でアパレル関係の仕事をしていたこのみさんは、ご両親の話を聞きつけ地元に戻ってきたのだそう!
「2人が楽しそうに仕事をしているのが羨ましかったんです」と朗らかに話すこのみさん。ご夫婦も口をそろえて「好きなことを仕事にしているのが幸せ」と笑顔いっぱいです!
アパレル関係からステンドグラス作家に!
その後、お店を運営する中で、骨董品として入荷した大正時代のステンドグラスを自分で修繕できれば...という思いが芽生え、実さんの声かけでステンドグラスの教室へ通うようになったこのみさん。
当初は修復作業だけでしたが、今ではデザイン制作からガラスを組み込むところまですべて手掛けるまでになったのだとか。店内の至るところに飾られたこのみさんのステンドグラスが、ノスタルジックなお店の雰囲気にぴったり!
大正~昭和にかけて活躍した作家をオマージュ
このみさんが手掛けるステンドグラスは、大正から昭和初期に製造されていたガラスを用いてつくられます。「技術が発達していなかった当時のガラスの独特な揺らぎとニュアンスが好きなんです」とこのみさんはその魅力を語ります。
デザインは、大正から昭和初期に活躍した工芸家・小川三知の作品をオマージュ。日本情緒あふれたデザインが、アンティークのガラスの豊かな風合いとマッチしています。
アンティークのガラスから漂う温かみ
こちらのコースターもまた、大正から昭和初期につくられていたガラスを使用しています。その時代の家の扉に取り付けられていたガラスだそうで、現代にはないクラシカルなデザインが素敵です。気泡や濁りが入った細かなニュアンスから、そこはかとなく温かみを感じます。
【コースター】
小(写真手前):3,000円(税込)
大:5,000円(税込)
両親の想いを受け継ぎ新たな「3人もよう」に
お店に来たら「何か買わなきゃ...」と思いがちですが、骨董の話をしに来るお客さんも多いのだそう。商品の魅力やお値段も、骨董愛溢れるご夫婦がじっくり教えてくれますよ。
「ガラスを切ったり、ガラス同士を組み合わせたりなど、すべて手作業。お客様に喜んでいただけるように、妥協せずつくりあげるようにしたいんです」というこのみさんの頼もしい声に、ご両親から笑顔が溢れます。ご自身が制作したステンドグラスから入るうららかな日の光が、3人の姿をより輝かせていました。(取材:壁谷雪乃)
3人もよう
場所:愛知県知立市新池3-21
電話:0566-82-8433
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休 (※都合により休む場合があります)
HP:3人もよう公式サイト
ステンドグラス作家 荒木このみさん 公式サイト 公式インスタグラム