ストリートカルチャーとして若者から人気を集めるスケートボード。2021年に東京で開催されたオリンピックの正式種目として注目され、今やスポーツのひとつとしてその名が浸透しつつあります。そんなスケートボードを愛知県碧南市で盛り上げたいと、地元のスポーツクラブや碧南市の職員さん、スケーターの方々がパーク建設に奮闘!5年の歳月を経て2020年3月20日に「碧南スケートボードパーク」をオープンさせました。
公共施設としては、全国初となる24時間無料で利用可能なスケートパーク。一体、どれくらいの広さで、どんなセクションがあり、どのように遊ぶことができるのか?など、施設の全貌を徹底紹介。また、官民一体となってつくりあげた碧南スケートボードパーク完成までの道のりと今後について、建設に携わった方々にお伺いしました!
"スケートパーク"って?
そもそも"スケートパーク"ってどんな場所なの?と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
スケートパークとは、主にスケートボードやBMX、インラインスケートなどのストリートスポーツ向けにつくられた施設のこと。パーク内にセクション(構造物)と呼ばれる障害物が配置され、滑ったり、ジャンプをしたりと思い思いに楽しめます。
西三河初の公共スケートパークが誕生!
碧南スケートボードパークは、西三河で初となる公共のスケートパークです。24時間利用可能で、夜になれば照明が点灯。土日だけでなく、平日も仕事終わりの社会人が多く利用するそう。
「今までは公園や駐車場を利用している人が多かったんです。ベンチや花壇に傷がついていたり、駐車場が利用できなかったりなどのトラブルで困っていました」と鈴木さん。パークができたことで公園の管理も良好に!
約20の様々なセクションを設置!
パーク内には、斜面になった"バンク"のほか、穴のようになった"ボウル"、写真のように波打つ"ウェイブ"、段差になった"マニュアルパッド"など約20ヵ所にセクションが設置されています。
初心者の人はパークの端から端までスケートボードをプッシュ(地面を蹴って進む)するだけでも◎。すでに滑れる人は、斜めになったマニュアルパッドを使って難しいトリック(技)にチャレンジすることも可能です。
スケーターさんにインタビュー
その後、鈴木さんはスケーターさんとともにセクションのレイアウトを考案。「スケーターさんのアイデアをまとめながら、限られた空間で実現可能な設計を考えました」と真剣な眼差しで当時を振り返ります。
そんな話を聞く傍ら、雨が降ったあとのスケートパークで水がはけるのを待つスケーターさんの姿が。スケートパーク建設に尽力したメンバーの鶴高明さんと松金暁さんです。鈴木さんとともに打合せに参加し、セクションのレイアウトを考えたそう。完成後のスケートパークで滑った感想を伺いました!
初心者も安心して滑れる場所に
左:鶴高明さん 右:松金暁さん
鶴さん:他のスケートパークだとそれぞれのセクションが単独で設置されていて、技を決めて楽しむようにつくられていますが、ここは全体のセクションがつながっているので、スケートボードを滑らせるだけでも十分楽しめると思います。
松金さん:簡易的なスケートパークではなく、スポーツとしてがっつり取り組みたい人にもぴったりです。
初心者でも本気の人でも満足できるパークになるようになっているようです。
若者たちが輝ける場所をつくりたい
碧南スケートボードパーク建設の立役者となったのが、碧南市臨海公園にあるNPO法人「へきなん総合型スポーツクラブ」のクラブマネージャー・祢冝田(ねぎた)弘子さんです。「臨海公園の駐車場で肩身が狭そうにスケートボードをする若者を見て、もっと堂々と滑れるような場所をつくりたい」との思いから、2016年にスケートボードプロジェクトを開始。
初心者や子どもが参加できる「スケボー教室」で間口を広げたり、「スケボー会議」を開いてスケーターさんとともにパーク建設について考えたり。着々とプロジェクトを進行していきました。
スケートボードが恋のキューピッドに!?
ちょうど祢冝田さんやスケーターさんがプロジェクトに取り組む頃、碧南市では、現在の碧南スケートボードパークがある場所の有効活用について打開策を練っていたのです。
「スポーツができるような場所はどうか?など、考えを巡らせるなかで見つけたのがスケートボードプロジェクトの動画でした」と、当時、都市整備課に所属していた鈴木哲也さんはにこやかに話します。
祢冝田さん曰く、同時期に市の職員さんに計画について打診しようかと考えていたところで鈴木さんからお声掛けいただいたそう!まさに運命的な出会い!
その後、鈴木さんはスケーターさんとともにセクションのレイアウトを考案。「スケーターさんのアイデアをまとめながら、限られた空間で実現可能な設計を考えました」と真剣な眼差しで当時を振り返ります。
スケーター同士で維持管理できる未来を
子どもから大人まで、たくさんの人が利用できる碧南スケートボードパーク。「スケボーへの熱い愛が、西三河の人々を引き合わせたことによる賜物です。今後は、利用者が主体となって管理し、市がサポートできるようになるのが理想」と話す、都市整備課の中川善貴さん。
「利用上の注意などをスケーターさん同士で声掛けをしていくことで、スケーターさんとパークが一緒に成長していければと思います」。
スケートボードきっかけで生まれるコミュニティ
最後に碧南スケートボードパーク建設のキーパーソンとなる、へきなん総合型スポーツクラブの祢冝田さん、碧南市の職員さん、スケーターの方々で記念撮影!
「スケートボードを通して、知らない人同士が仲良くなれる場所になれば」と話すみなさんの笑顔で、曇り空も晴れ渡りそうでした。海風が心地よい碧南スケートボードパーク。自分なりのスタイルでスケートボードにチャレンジしてみてはいかがでしょう!(取材:壁谷雪乃/2020年6月取材)
碧南スケートボードパーク
場所:愛知県碧南市港南町2-8-16
電話:0566-95-9909(碧南市役所 開発水道部 都市整備課 管理係)
※24時間、無料開放、トイレ、自動販売機あり
駐車場:150台 無料 (釣り広場と共用)
アクセスマップ
碧南スケートボードパーク:愛知県碧南市港南町2-8-16