夏になると目に飛び込んでくる「土用の丑の日」の文字。思わずうなぎのパックを手に取っては値段とにらめっこ...なんて方も多いですよね。 ここで紹介したいのが、愛知県西三河エリアの誇る西尾市の特産品「一色産うなぎ」。口の中でほどけるようにやわらかく、とにかく美味しいと評判です。
一色のうなぎが大好き!というあなたも、よく知らない...というあなたも必見!その美味しさを支える意外な事実が明らかに!?さらに、生産者、産地だからこそ知る美味しい食べ方も教えてもらいました。(※2017年7月に取材したものです。)
一色うなぎは身も皮もやわらかい
養殖の歴史は100年超、生産量は全国シェアの約25%。今や全国的な知名度を誇り、そのおいしさは誰もが知る一色のうなぎですが、いったいなぜ一色うなぎはおいしいのでしょうか?
一色うなぎ漁業協同組合によると、一色うなぎは「身も皮もやわらかいこと、味のバランスが取れていること、そして品質を常に保っていること」が特徴。やわらかいと火入れがしやすいため「焼き」を主流とする愛知県以西では特に評価が高いといいます(東日本では蒸しが主流)。一色うなぎは、生きたまま飲食店に卸されることが多いので品質が命なのです。
全国的に珍しい川の水での養殖
では、その品質は何によってもたらされているのでしょうか?「いくつかの理由がありますが、そのひとつは矢作川の水を使って養殖していることでしょう」と、一色うなぎ漁業協同組合の山本浩二組合長はいいます。
川の水を使うのは当たり前なのでは...と尋ねると「いえ、全国のうなぎ産地のほとんどで地下水が使われているんですよ。本来、うなぎは川に棲息する生き物です。豊富な川の水を使うことで、より自然に近い環境でうなぎを育てることができているんです」。
70kmのうなぎ水道ネットワーク
その水は、矢作川の分流である矢作古川から取り入れています。取水口があるのは西尾市鵜ヶ池町。そこから地下送水管を通じてそれぞれの養殖池に供給されていて、写真のように、農道沿いには道路の下に送水管が通っていることを示す杭が立てられています。
この「養鰻専用水道」が整備されたのは昭和30年代から40年代にかけて。総延長はなんと約70kmにも及びます。同じ矢作川の水を使うことによって100軒近くもある生産者が同じ条件でうなぎを育てることができ、それが品質の安定に結びついてもいるのです。
養殖池に満たされた矢作川の水
7月上旬のある日、組合が運営している一色町生田の養殖池をのぞかせてもらいました。ハウスの中の養殖池には満面に水が入れられ、水中に酸素を常に供給するための水車が勢いよく回っています。これはもちろんすべて矢作川の水。
水質を保つため水は頻繁に入れ替えているとのこと。また、池の底はコンクリートではなく土が敷き詰められているそうで、これもより自然に近い状態にするための工夫とか。職員がエサを与えると、池の底から無数のうなぎが顔を出し、勢いよくエサに飛び付きます。川の水で育ったうなぎは、なんとも活きがよさそう。
固い結束で一色ブランドを守る!
同じく一色町生田にある高須光弘さんの養殖場では、うなぎの水揚げ作業が行われていました。池の底に敷いた網を徐々に狭めて生簀状にし、網の中のうなぎを一匹残さず「ドウマン(ウナギ用の籠)」に入れていきます。そしてドウマンごと氷水で締め、出荷します。
作業は7人がかりですが、高須さんに聞くと両親以外は近所の養殖家の皆さん。一色では個人経営の生産者どうしが協力しあって水揚げ作業を行っているとのこと。また、研究会を作って共同で養殖技術の向上を図ったり、情報共有にも取り組んでいるそう。生産者がガッチリ協力し品質を守っているのもおいしさの秘密なのでしょう。
生産者だけが知る簡単でおいしい食べ方
では最後に、生産者に教えてもらったうなぎの簡単で美味しい食べ方を紹介しましょう。用意するのは白焼き、うなぎのタレ、そして、白ごはん。
白焼きを1cmほどの幅に切り、タレを鍋に入れて沸騰させ(タレが濃いときは日本酒で伸ばす)、そこに白焼を入れて10分ほど煮ます。ほどよいところでタレごとごはんに混ぜ込めばできあがり。肉厚の身にタレが染みこみ、噛み締めるほどにおいしい一品です。生産者のお宅では、冷凍しておいた白焼きで忙しい時にパパッと作る「まかない飯」の一種だとか。
ネットショップでの商品販売も!
お店では、蒲焼き・白焼き 各2300円の持ち帰り注文も可能。また、一色うなぎ漁業協同組合の公式webサイトでの商品販売も。いずれかの方法で問い合わせを。
電話:0563-72-8045(平日8:30~16:30)
FAX:0563-72-2500(FAX注文用紙は公式webサイトから)
メールでの問い合わせはこちら