愛知県刈谷市を中心に活動する応援合戦チーム「青春応援団 我無沙羅」。地元はもとより、花の都パリでも演舞を披露!YouTubeにアップした動画の再生数は15万回(※2023年4月時点)を突破!世界中で話題と言っても過言ではありません。
2022年には、日本テレビ「24時間テレビ45」で聴覚障がいのある生徒たち、女優・橋本環奈さんと共にパフォーマンスを披露し、視聴者を魅了!また、2022年、2023年と2年連続でコンテスト「THE DANCE DAY(ザダンスデイ)」決勝大会に進出しました。
そんな大注目の学ランパフォーマンス集団「青春応援団 我無沙羅」の稽古場に潜入。演舞や練習風景を見せてもらいました。(2020年1月取材・撮影。肩書き等は取材当時のものです)
まず、見てください。
さっそくのお願いで恐縮です。まず、見てください。気迫に思わず息を呑むこの動画は、フランス・パリで開かれている日本文化の大博覧会・JAPAN EXPOに出演したときのもの。
「もったいないなあ、って思って。こんなに演じる側も、観る側も心を動かされる「応援合戦」が、学校という限られた場所にとどまってしまうのが」。我無沙羅は、この思いから、2003年に結成された日本初・そして日本唯一の応援合戦チームなんです。
稽古場に潜入!
1月某日。近所のはなし鶴見と長尾カメラマンは、刈谷市の雁が音中学校へやってきました。今夜は、ここで我無沙羅の練習が行われるんです。
あんな迫力ある太鼓に一糸乱れぬ演舞を見せる方々、稽古場はどんな雰囲気なのか...恐る恐る足を踏み入れると...円陣のひとりが突如、エアドラムを開始!アップ音楽が途切れるとアカペラで歌い出す!?なかなかにテンションがぶち上げ。演舞とのギャップにびっくりの、明るい雰囲気です。
応援合戦の魅力は「熱量」
まず、代表の杉浦哲弥さんにお話を聞きました!「ズバリ、応援合戦の魅力って?」
「一人ひとりの持つ熱量を全力で注ぎこみ、一致団結してつくるものだということ。だからこそ、観ている人にもそれが届いて、心を揺さぶることができるんです。もちろん、どうお客さんに伝わるかは分かりませんが、そんな自分たちの姿から、何か前向きな気持ちを受け取ってもらえたら...と取り組んでいます」。
戸惑いを打ち破った「どまつり」
写真提供:青春応援団 我無沙羅
結成メンバーとして、すべてのイベントや公演に関わってきた杉浦代表。印象に残っている舞台のひとつが、どまつりこと「にっぽんど真ん中祭り」だといいます。
国内外から集まったチームが、地域色豊かな踊りを披露するこの祭り。初めて出場した際には、突然に現れた学ラン集団に戸惑いの空気が流れたそう。「でも、いざ演舞が始まると一気に雰囲気が変わって。直接「感動した!」と声をかけてくれる方もいました。達成感と同時に、より多くの人に見てもらうことの価値とおもしろさを感じた瞬間でした」。
学生メンバーの考えは?
こんな熱く、そしてまっすぐな代表とともに、10代~30代の約40人が活動する我無沙羅。メンバーの思いも気になる!ということで、続いては大学3年生の4人を取材しました。右から小室元直さん、大村賢也さん、川口峻矢さん、畔柳練さん。
「僕は、とにかく応援合戦を世に出すことに携わりたい!という思いで取り組んでいます」と小室さん。大学1年の4月に入団し、その3か月後にはフランスで行われたJAPAN EXPOに歴最短で参加しました。
フランスでの舞台が転機に
そんなJAPAN EXPOは、一人ひとりにとって大きな転機になるみたい。
大村さんは、「大学1年の5月に入団したときは、演舞がうまくなりたいという思いが強かったんですが、JAPAN EXPOで会場が一体になったのを肌で感じて...自分たちのやっていることが、うまい・ヘタとは別の次元で、すごいものなんだって思いました。それからは、さらに突き詰めて取り組んでます!」
すっかり生活の一部!?
川口さんは、高校1年生の7月から参加しているベテランメンバー。学業に就活に忙しい時期、どのように活動と向き合っているの?「忙しいとかはあんまり関係ないですよ!自分のためにやっていることだから。」
演舞することも、お客さんに喜んでもらうことも、楽しみながら取り組んでいると笑顔。小室さんも「もう、当たり前になってるんです。うまく言えないですけど...魅力にとりつかれちゃったってことですよね(笑)」。
自分と向き合う「居場所」
「僕は、応援合戦の魅力って大きく2つあると思うんです」と畔柳さん。「1つ目はメンバー同士の仲がすごく深まること、2つ目はお客さんに強く感動を伝えられること。応援合戦は、視覚と聴覚の両方で訴えることができる。一糸乱れぬ動きに、声、四股落ちするときの音。肌で迫力を感じてもらえるんです!」
そして、そんな畔柳さんにとって、我無沙羅は...「ちょっと、ドジっ子なんですよ、僕」。ん?「そういう自分を変える場でもあるなあ、と。それぞれに得意分野のあるメンバーが揃っているから、刺激になります」。
運営は協力&適材適所
あまりにみなさんきちんとしているので、途中から息を吐くように「スゴいですね」と口に出す私でした。これだけのメンバーをまとめていくのって大変そう...。「経験のあるメンバーが増えてきたこともあって、現場は信頼して任せています。それぞれの強みを生かして、協力し合っていけたら」と杉浦代表。
ちなみに、我無沙羅には総務班・振り班・衣装班・企画班と4つの班があります。演者のみならずチケット管理や振り付けの考案、SNSでの訴求なども内々で分担しているんだそう。
SNSで意外性と可能性を届ける!
ところで私、どうしても聞きたかったことが2つあるんです。その1つが「SNS」。我無沙羅のSNSには、サイリウムを持ってオタ芸したり、ラグビーW杯で話題となった「ハカ」を踊ったり...この狙いや如何に?
動画:「Haka ハカ~カパオパンゴ~」
「別のジャンルと組み合わせることで、応援合戦にも興味をもってもらうきっかけにしたいと思ってます!存在は知っていても関心がないっていう人の、最初の一歩になれば」と、SNS担当の石橋直佳さん。
どうして「我無沙羅」なの?
余談ですが、私が取材前に聞きたかったもう1つの質問。「我無沙羅」の表記って一般的な「我武者羅」ではないんです。その理由は...「ちょっと後付けのところもありますけど(笑)...我を「無」くすほどの思いで、という意気をこめています」。
ちなみに、本番後にはメンバーがSNSで団体への感想などをリサーチするそうですが、検索履歴が我無沙羅、我武者羅、我夢沙羅、我武沙羅...で一杯になっちゃうそう。
まさに青春応援団!
帰りの車中、ぽつりぽつりと語り合う取材班2人。「現状維持じゃなくて、目標に向かっていろんなアプローチをしていきたいって思いました...!」「私はとにかくまっすぐさにグッときて...」。演舞のパワーにはもちろん、メンバー一人ひとりの考え方にも心を動かされたのでした。
そんな「青春応援団 我無沙羅」の演舞を見たい!という方は、以下webサイトやSNSから最新情報をチェックしてみてくださいね。(取材:鶴見弥耶/2020年1月取材・2023年4月最終更新)
青春応援団 我無沙羅
2003年結成。メンバーは10代~30代の男女約30人。練習は毎週土曜の15:00~21:00・刈谷市近郊にて。ほか、月・水曜の20:00~22:00に自主練習も(※2023年4月時点)。メンバー随時募集中!