突然ですが、みなさん。好きなお菓子、思い出のお菓子はなんですか?食欲の秋。ということで、今回は、近所の「お菓子」を紹介します。
紹介するのは、お菓子といっても、この地域ならでは。そして、実は、数年前に一度、販売中止の危機があったという「復活した」地元のお菓子。食欲の秋、シリーズ企画としてお伝えします。
香ばしさがクセになる!カズヨシすがた焼
パリッとした食感と焼きイカの風味がふわりと香るせんべい「カズヨシすがた焼」。
特に、碧南市や西尾市で育った人は、おばあちゃんの家で食べさせてもらえた思い出などがよみがえる方も多く、パッケージを見ただけで思わず懐かしい気持ちに!愛知県西三河地域を代表する、おいしい「地元のお菓子」です。
突然訪れた。販売中止の危機
地元の人に50年以上も愛されてきたお菓子ですが、実は10年前に人知れず販売中止の危機に陥りました。
元々は碧南市のカズヨシ商店が作っていましたが、体力の限界を感じていたためお店をたたむことに。馴染みのお菓子を二度と味わえなくなる...。そんな危機をなんとかしようと立ちあがったのは、西尾市一色町のせんべい屋さんでした。
カズヨシすがた焼を救った富士見屋
「カズヨシすがた焼の味をなくしたくない!」と、後継に手をあげたのは、西尾市一色町にある富士見屋の山岡孝典さん。
カズヨシ商店創業者の角谷一吉(かずよし)さんが開発して、2代目の夫妻が40年以上作り続けた歴史をここで終わらせたくないと、取引先であった富士見屋が引き継ぎを希望しました。
伝統を引き継ぐ条件と決意
複数の引き継ぎ希望者が手を上げましたが、選ばれたのは富士見屋でした。
一番の理由は、「家族一丸となって作り続ける強い覚悟を認めてもらえた」から。全ての機械とともに、カズヨシすがた焼を託されてすぐにスタートしましたが、始めてみるととても手間がかかる熟練の技術が必要なせんべいだとわかりました。
手間暇を惜しまず丁寧に作る!
カズヨシすがた焼は、前日にぶつ切りにしたイカを洗ってぬめりを取り、秘伝のタレに浸けてからタレと粉を混ぜ合わせ、ほぐします。
できた生地を機械に落とし、高温の鉄板で焼きながらプレス。形を整えて袋に詰めたら完成です。夫婦で協力して手間暇を惜しまず、伝統的な作り方を守っています。
難しい工程だから磨かれる感覚
機械と技術を引き継いでスタートした頃は、先代と同じ分量・工程で作るも失敗続き。しかし、諦めずに努力を続けていると、毎日の気候やイカの状態からタレと練りの調整をするコツがつかめるように。
そんな苦難の時も山岡さんは、「カズヨシすがた焼特有の工夫や技術を学べて、得るものはたくさんありました。」と前向き!
カズヨシすがた焼のおいしさを知ってほしい
「カズヨシすがた焼は、お醤油を塗ってトースターで軽く温めてもおいしいと言われます。」と笑顔の山岡さん。
10年前の引き継ぎ後には昔からのファンから「少し味が変わった?」と言われたことも。そんなファンの方たちに支えてもらいながら、今日も熱意を絶やさずに、おいしいカズヨシすがた焼を焼き続けていきます!(取材:浅野まつみ)
インフォメーション
富士見屋
場所:愛知県西尾市一色町前野荒子15
電話:0563-72-8227
営業時間:9:00~19:00
定休日:不定休(駐車場あり)
カズヨシすがた焼 購入方法
富士見屋にて店頭販売
8枚入:200円
ケース売り(8枚入り×16袋):2,900円
※愛知県内のスーパー・お土産売り場などでも販売。インターネット通販でも購入可能。