
愛知県の安城市立明祥中学校では、総合学習の授業の一環として、3年生の生徒たちが主体となってフリーマーケットを開催することになりました。テーマは、SDGsの目標のひとつ「つくる責任、つかう責任」。中学生がみんなで考え、企画したフリーマーケット。そこにはどんな学びがあったのでしょうか。
中学生主体のフリーマーケット
2024年、明祥中学校では、3年生の生徒たちが企画したある取り組みを行っていました。それはフリーマーケット。しかし、普通のフリーマーケットとは少し違います。テーマはSDGsの目標のひとつである「つくる責任、つかう責任」です。総合学習の授業の一環として開催することになったものです。6月からみんなで準備を進め、ロゴマーク、ポスターやチラシも全て生徒たちが作成してきました。
試行錯誤しながら準備を進める
この日は、地域の施設にチラシを置いてもらうための電話交渉を行なっていました。生徒たちは慣れない電話に悪戦苦闘しながらも、用意した原稿を元にお願いをしていきます。しかし、うまくいくことばかりではありません。宣伝係の生徒によると、チラシを貼らせてほしいとお願いしても受け取ってもらえない時もあり、難しさを感じたといいます。
「安城市の、特に明祥学区の人たちにたくさん来てほしいと思って頑張っています」と話してくれました。
地域の人にもSDGsへの理解を広めたい
生徒たち自身がSDGsを考える一方で、フリーマーケット成功のためには、地域の人たちにも、同じように「つくる責任、つかう責任」を理解し、協力してもらう必要があります。
その後も、10月には生徒たちがPitch FMのラジオ番組に出演して宣伝を行ったり、明中フリマのパンフレットを作成したりと、集客のために様々なことを行いました。
思い出があるものも次の人へ
フリーマーケット開催前日。衣服やおもちゃ、雑貨など生徒たちが自宅から持ち寄った商品、およそ500点が集まりました。子ども服を持ってきたという生徒は、「自分も妹もよく着ていたので思い出もあるのですが、次の人に使ってもらいたいです」と話してくれました。生徒たちが小さい頃に使っていたものをはじめ、今は使わないながらも、思い入れのある物が多く並べられていきます。
「楽しんでもらうだけでなく、SDGsに貢献して人々が笑顔になっていくという取り組みを中学生でもできるということを伝えたいです」
緊張のスタート
そしてフリーマーケット当日を迎えました。校門の前にはお客さんの呼び込みをする担当の生徒の姿がありました。しかし、学校の前で待っていてもなかなかお客さんがやって来ません。生徒たちは手分けして、学校近くの道路でも呼び込みを行うことにしました。そしてやっと訪れたお客さんの姿に、生徒たちは大喜び。
その後、続々と人が訪れ、フリーマーケットは大盛況となり、少し緊張気味だった生徒たちにも笑顔が見えました。
SDGsに関する舞台発表も
舞台の上では、生徒たちが考えたSDGsに関する寸劇も披露されました。軽い気持ちでポイ捨てしたペットボトルが海洋汚染を引き起こす原因になることを題材にしました。
訪れた人にインタビューしてみると、「子どもの頃からこうやって考えているなんて、みんなしっかり取り組んでいるなと思いました。私たちの年代はこうやって中古を使うことも抵抗はないので、いい催しだと思います」「本を買いました。うちの子もまた使えると思って。」といった声が聞かれました。
売り上げはボランティア機関などに寄付
この日の売上67,400円はボランティア機関などに寄付する予定だといいます。
明祥中学校の森隆教諭は、「開店前は子どもたちもそわそわしていましたが、お客さんと関わり、子どもたちも楽しくなったのか笑顔になっていきました。教員としても、このフリーマーケットを開催できてよかったなと感じています」と話しました。
フリーマーケットを終えて
生徒たちに感想を聞いてみると、
「僕はラジオで宣伝をさせてもらいました。たくさんのお客さんが来てくれて、やりがいを感じました」
「学習する前は、SDGsは難しいと思っていましたが、実際にフリーマーケットをやってみて、そんなに難しいことではなく、しかも楽しくSDGsに貢献できていいと思いました」
「想像した以上に、買ってくれる人がいました。誰かがいらなくなった物でも次に使ってくれる人のところに買われていって、また次の人へという風に続いていくといいなと思いました」
達成感やたくさんの気づきがあったようです。
続いていく明中のSDGsへの取り組み
3年生のこの企画を知った1、2年生も、フリーマーケットを見学しました。後輩たちからは「自分たちもSDGsを勉強したい」「フリーマーケットをやってみたい」という声も上がっており、森教諭も「3年生が企画した初めての明中フリマが、もしかしたら来年度以降も続いていき、明中の伝統になっていくかもしれない」と話していました。
生徒たちは、明中フリマでかけがえのない経験ができました。今後も、全ての人が関係する世界目標であるSDGsに、子どもから大人まで一丸となって取り組むことが大切です。
(取材・撮影:PAQLA /リライト:石川玲子 2024年9月~11月取材)
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