肌寒くなり、ほくほくのおいもが一層恋しくなる季節がやってきました。安城市篠目町にある「おやつの晴屋」では、店主の前田晴子さんが手作りするまんまるな鬼まんじゅうが人気。芋の素朴な甘みを感じられるその味わいは、子ども連れのママさんから年配の方まで幅広い世代から親しまれています。
「自分でお芋を育てているうちに、さつまいもの素朴な味を楽しんでもらいたくてこの店を始めました」と笑顔で話す前田さんに、そのこだわりを聞きました。
※2023年10月取材・撮影。お出かけの際は最新情報をご確認ください
古民家の一部を改装してお店をオープン
篠目公園から西に少し行った住宅街の一角に、「おやつの晴屋」はあります。おばあさんの家の一部を改装して作られたそうで、ノスタルジックな外観が印象的です。控えめに掲げられた「おやつの晴屋」の看板を目印に見つけてみてください。
もともと前田さんはマルシェや移動販売を中心に、芋スイーツ専門店の「芋車」というお店を運営していました。その後、「お客さんがゆっくり集まれる場所も大切にしたい、芋の魅力をいろいろなかたちで伝えたい」という思いから、店舗を中心に運営するように。
やがて、「晴屋のおやつを買った日が、お客様にとって少しでもハレの日になれば」という思いを込めて、店名を「晴屋」に変更。前田さんの名前の一字にもなっていることから「この名前しかない!」とぴったり来たとのことでした。さつまいも以外の旬の食材も扱う「素朴なおやつ屋」として、地域の人に親しまれています。
かわいらしい鬼まんじゅうが並ぶ店内
画像提供:おやつの晴屋
店内に一歩足を踏み入れると、ショーケースに並べられたかわいらしい鬼まんじゅうたちの姿が目に飛び込んできます。人が2人ほど入れるコンパクトなスペースですが、店内右側にはコーヒーの提供スペースが、左側には作業場が併設されており、手作りのぬくもりがそこかしこに感じられます。
「お客さんとの距離が近くて自然と会話が楽しめるような、自分らしい等身大のお店をつくりたかったんです」と前田さんは話してくれました。
全6種類!人気の鬼まんじゅう
芋を使ったスイーツや季節のおやつなどを展開している「おやつの晴屋」。通年で販売している鬼まんじゅうは、お店の代名詞とも言える看板商品。定番のプレーン、塩のほか、黒糖やコーヒー、甜菜糖の全5種(各180円・税込)が日替わりで並びます。
手のひらに収まるほどの小ぶりなサイズ感ですが、中には角切りにしたさつまいもが隙間なくたっぷり!「さつまいもがごろごろと入った鬼まんじゅうが好きなんです」と前田さん。実はそれぞれの味には「名前」が付いており、プレーンは「いもこ」、黒糖は「いもお」、塩は「おし代」、コーヒー味は「豆ェ門」と、前田さんがまるで我が子のようにかわいがっていることがうかがえます。
素材と製法にこだわり、丁寧に手作り
納得のいく鬼まんじゅうを追求するにあたりこだわったのは、味の決め手となるさつまいも。「シルクスイートか紅はるか、なると金時を使用しています。芋の素朴な甘みを感じてもらえるように、大きめに切っています」と前田さん。自身でも畑でさつまいもを栽培していた経験を持つだけあり、信頼できる仕入れ先から厳選したものだけを取り寄せているそうです。
生地は、国産の米粉と小麦粉を独自の配合で混ぜ合わせ、そこに砂糖と水を加えて、化学調味料を使用せずに仕上げています。さつまいもの品種や状態、その日の気温や湿度によっても水の分量をわずかに調整しているとのこと。砂糖もなるべく控えめにし、芋の持つ素材の味を引き立てるような生地づくりにこだわっています。
もっちり生地で食べ応えも十分
蒸しあがった鬼まんじゅうは、ふっくら、もちもち。出来立てはもちろん、冷めても食感が長続きして食べ応えも十分です。
プレーンの「いもこ」は芋の素朴な味わいをふんだんに感じられ、塩味の「塩いもこ」はほんのりとした塩味が濃厚な甘みを引き出す一品に。コーヒー味の「豆ェ門」はほろ苦いコーヒー生地が芋の甘みと好相性!長年さつまいもに向き合ってきた経験と、おいしい鬼まんじゅうを届けたいという前田さんの思いが、一つひとつの個性を際立たせています。
他店とのコラボで新しいメニューも展開
画像提供:おやつの晴屋
さつまいものおいしさを広めたいという思いを持つ前田さんは、他店とコラボすることで新たなメニューを生み出すことにも積極的。これまで、パフェやジェラート、クッキーやスコーン、お弁当などを提供してきました。「さつまいもが、他の人の手によってどんなふうに生まれ変わるか、私自身とても楽しみなんです。お客さんにも同じように、驚きや感動を与えられたらいいですね」と前田さん。
コラボ商品は不定期に販売されるため、インスタグラムやホームページの情報をチェックしてみて。
等身大の自分で、等身大のお店を
今後は、マルシェや移動販売なども引き続き行いながら、店舗での時間も大切にしていくのだそう。「いるだけでどこかホッとするような、温かみのあるお店でありたいと思います。鬼まんじゅうのほかにも、さまざまなお芋スイーツやお弁当を提供していくので、楽しみにしてもらえたらうれしいです」と話します。
「おもしろいと感じたこと、やりたいと思ったことはなんでもやってみたい。自分らしくお芋の魅力を伝えていけたらいいですね」
購入の際は予約するのがおすすめ
前田さんのこだわりと思いがつまった鬼まんじゅうやお芋スイーツの数々。直接店舗を訪れてもいいですが、なくなり次第終了とのことなので、公式InstagramのDMか、メールから予約しておくのがベター。
秋の行楽のおともや、子どものおやつ、お茶請けにもぴったりな味わいを、ぜひ堪能してみて。(取材:光田さやか/2023年10月取材・撮影)
店舗情報
場所:愛知県安城市篠目町向81-1
営業時間:10:30〜15:00(土日のみ営業)※なくなり次第終了
定休日:月〜金、祝
※マルシェなどの出店がある場合は休み
(インスタかホームページにて確認)
予約方法:公式InstagramのDMかメール(oyatunohareya@gmail.com)にて受付