京懐石をベースとした和食がお手頃価格で楽しめる、愛知県知立市にある「和食処 末泰(すえひろ)」。1986年に開店して以来、「料理に手が込んでいる」「細やかな気遣いがうれしい」と、常連さんに愛され続けています。
家族3世代で訪れる人も多く、日常使いから家族の記念日まで、さまざまなシーンで利用されています。末泰は完全予約制のコース料理のみと、ちょっと敷居が高く感じるかもしれませんが、フルコースを3,000円から予算に合わせて楽しめるため、意外と気軽に利用できそうです。さらにお客さんへの気遣いが半端ないと聞き...一体どんな気遣いをしてくれるのか、取材しました。
知立市の弘法通りに1986年開店!
知立駅から弘法通りを進んだ先に、和食処 末泰はあります。2階建ての建物で、お店の横には広い駐車場も。引き戸を開けるとカウンター席と小上がりになった畳敷きの部屋があり、ふすまで仕切って個室として使うことができます。
大将の神谷忠宏さんは岡崎のいくつかの和食料理店で修行を積み、1986年に独立。お父様が弘法さんの日限定でとりめしやあんまきをふるまっていた場所で、いつでも食事が楽しめるようにとオープンしました。
3000円から予算に合わせてコース料理を提供
提供される料理はすべて完全予約制。その理由は「食品ロスをなくして、お客さんによりお手軽価格で料理を提供したい」という思いから。今では「食品ロス」という言葉が一般化していますが、35年ほど前からそうしていたというから驚きです。
3,000円のコース料理を用意してもらうと、口取り、刺身、焼物、煮物(または蒸し物)、揚げ物、食事、フルーツの和食フルコース。その日によって多少の変動はあるものの、かなりお得に感じます。500円刻みで予算に合わせて提供してくれます。
味に一切の妥協ナシ!な胡麻豆腐
口取りの一つ、胡麻豆腐は思わず「めっちゃ胡麻!」と声を上げてしまうほど濃厚な味わい。聞くと、練り胡麻をたっぷり使っているため、その風味を存分に感じられるそう。「多分他ではこんなに使っていないと思います。練り胡麻は高価なので...」と笑う神谷さん。
ねっとりなめらかな舌触りと、胡麻独特の風味がマッチした味わいは、胡麻豆腐の概念が変わるかもしれませんよ。
老若男女から人気のアワビの変わり揚げ
こちらは「アワビの変わり揚げ」。アワビを2時間蒸して柔らかくした後に、アーモンドとかきもちを衣にして揚げています。
アワビなんて高価な食材、あまり食べたことがありませんが...と口に入れると、アーモンドやかきもちの香ばしさと、アワビを噛みしめたときにじゅわっと出てくる旨みが口の中で混ざり、これぞ口福!添えられた肝の素揚げも濃厚で、お酒が飲みたくなります...!
お酒の持ち込みもOK!
お客さんの要望は極力聞いてあげたいと話す神谷さん。なんとお酒の持ち込みもできます。
「店ではビール(大瓶650円・税込)や日本酒(1合500円・税込)、ウーロン茶などのソフトドリンク(200円・税込)の用意はありますが、それ以外はないので。飲みたいといわれれば、ご自由に、って」。勝手知ったる常連さんは、ワインを持ち込む際にワイングラスも持ち込むのだとか。持ち込み料は1本1,000円(税込)です。
テーブル席だから足が悪い家族がいても安心
1階のお座敷は、何名からでも8畳の半個室として利用できるため、家族連れには特に好評です。大人数になればふすまを外して1室としても利用できます。畳敷きですがすべてテーブルと椅子が用意されているので、足の悪い家族がいても安心です。
2階は30畳の大広間。コロナ禍の前は忘新年会や歓送迎会など30人までの宴会で利用されていました。大人数の宴会だとしても、奥様に仕込みを手伝ってもらいながら、料理は全て大将が仕上げます。
お客さんの顔を見て、料理を細やかにアレンジ
「アレルギーや好き嫌いの対応はもちろん、年配のお客様だったら食材を小さめに切るとか、煮方を変えるとか、その人を見てアレンジします。家族みんなで来ているのに、一人だけ違うものを食べるのは疎外感を感じると思うので、なるべく統一させながら、個々人の事情に合わせてちょっとずつ手をかけます」と話す神谷さん。
ものすごく大変じゃないですか?と聞くと「まぁそれが仕事だからね」と笑いながら、けれども料理人のプライドを感じさせるセリフが。その料理の味は、ぜひご自分の目と舌で確かめてみてください。(取材:河合春奈/2022年7月取材)