「緑の葉物野菜」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?ほうれん草や小松菜でしょうか。ですが、愛知県民として、西三河民として忘れてほしくないのがチンゲン菜(青梗菜)!実は、愛知県のチンゲン菜収穫量は全国3位、県内の主な産地は安城市なのです。
「地元野菜を地元民にもっと食べてもらいたい」と奮闘しているのが「大橋農園」の大橋正樹さん。「チンゲン菜ってイマイチ食指が動かない...」と伝えると、「それはもったいない!」とのお言葉。そこで、チンゲン菜の魅力を探るべく、大橋さんのチンゲン菜畑へお邪魔しました。
通年収穫OKの大橋農園チンゲン菜
やってきたのは愛知県安城市内にある、大橋農園のビニールハウス。大橋農園は安城市内でも2番目に広い面積を誇り、ビニールハウスの中に入ると一面の緑!
寒さの厳しい冬でも一定の気温が保たれるため、1年中収穫することができます。ブロックごとに苗植えの時期をずらし、収穫時期が来たものから順番に収穫していくため、毎日とれたてのチンゲン菜を安定して出荷することができています。
規格外の小さなチンゲン菜に注目!
一般的なチンゲン菜は23cm~25cmくらいの長さですが、大橋農園では通常サイズに加えて、4分の3程度のベビーサイズも生産しています。15cm程度の、手のひらにちょこんとのるチンゲン菜はなんだかかわいい!
実はこちらは「規格外」となるため、市場に出回ることはほとんどありません。ですが、元フレンチシェフである大橋さんは「チンゲン菜の一株のサイズ感が活かせるし、柔らかくておいしいのに」と考え、飲食店へ持ちかけると...。
中華料理 東天紅でチンゲン菜メニュー実食!
チンゲン菜とベーコンの炒め(638円・税込)
いろいろなシェフが大橋さんのベビーチンゲン菜を絶賛!株の形を料理に活かせることや、早摘みならではのみずみずしさを気に入り、メニューに取り入れているそうです。
愛知県安城市にある中華料理 東天紅もその一店。このチンゲン菜を提供するために開発したメニュー「チンゲン菜とベーコンの炒め」(638円・税込)を試食させてもらいました。ベーコンの旨みを吸ったチンゲン菜はみずみずしくて柔らかく、青菜独特のえぐみもないため食べやすい!ニンニクしょうゆ味との相性も良く、ごはんが進みます。
青臭さゼロ!Veneのグリーンスムージー
グリーンスムージー(550円・税込)
続いては安城市にあるCAFE&BAR Veneで提供している「グリーンスムージー」(550円・税込)。大橋さんのチンゲン菜をはじめ、パイナップル、りんごジュース、はちみつなどが入っています。
パイナップルの酸味が効いたスムージーはさらっとしていて全く青臭くなく、子どももごくごく飲める味わい。野菜ジュースが苦手な筆者もすっかりトリコ!グラノーラとベリーのトッピングが程よいアクセントになっています。
ふかふかの土がおいしさの秘密
大橋さんのチンゲン菜がおいしい秘密は、土にあります。1年かけて作るという土壌には、魚粉やカニの殻、カキの殻などが混ぜ込まれているのだそう。
「土のおいしさがそのまま野菜へと移っていくのではないかと思います。肥料以外にも、おいしくするにはどうすればいいのか、試行錯誤しました。今年、チンゲン菜栽培を始めて11年目ですが、初めは全然わからなくて、全部虫に食われたりといった失敗もあって...」と振り返ります。
安定経営はイバラの道
11年のキャリアがある大橋さんですが、実は安定した経営を続けることは一筋縄ではいきません。現在、大橋さんのチンゲン菜は飲食店や給食利用が多いのですが、コロナ禍の影響もあり、なかなか安定的に出荷できるわけではないのです。
通常、商品の値付けは原価などを鑑みて値付けをすることができますが、チンゲン菜をはじめとした野菜はなかなかそうはいきません。しかも長期保存ができないため、安値でも売るしかないというジレンマに陥っています。
いろんな料理に使ってほしい万能野菜
そんな大橋さんの夢は、「みんながもっとチンゲン菜を身近に感じてくれること」なのだそう。
「チンゲン菜って中華料理というイメージがある方もいますが、実は和食も洋食も、どんな料理にも使える万能野菜なんです。出汁にも合うし、クリーム系にも合うし。みんなの家の冷蔵庫に、いつも常備されているという状態になるのが最終目標!」と話します。大橋さん直伝の15種類のレシピ&おいしいチンゲン菜の見分け方・保存方法も要チェック!
大橋さんは、チンゲン菜の加工食品など商品開発にも積極的に取り組んでいます。新商品が出来上がるのが楽しみですね。(取材:河合春奈/2022年1月取材)
購入方法
個人:大橋農園オンラインショップ、JA産直センターなど
業務用:大橋農園ホームページよりお問合せください