愛知県刈谷市にある「刈谷少年少女発明クラブ」。日本初の発明クラブとして設立され、約50年の歴史を誇ります。その規模も大きく、現在の生徒数はなんと1100人!
ところが指導員や指導ボランティアの数が不足していて困っているそうです。発明クラブの指導員というと理系知識が豊富で、なにやら難解な研究をしていそうなイメージですが、意外にも「理系知識はなくてOK!知的好奇心やものづくりへの興味関心があれば大歓迎です」とのこと。そこで、現役指導員の方々に指導員の仕事内容や、仕事のやりがいをお聞きしました。
世界大会金メダルを受賞した経歴も!
「刈谷少年少女発明クラブ」は、子どもたちにものづくりの楽しさを知ってもらうために活動しています。
小学1年生~中学3年生で構成され、刈谷市内を中心に1100人の生徒が在籍。「Odyssey of the Mind(世界青少年創造性競技大会)」への出場を目指す「OMコース」も設けられており、暗記訓練や即時課題解決訓練、英語訓練などに取り組んでいるそう。大会は毎年アメリカで行われており、2014年には日本で初めて世界大会金メダルを受賞した経歴も!
求む!子ども好きな指導員
いわば「ものづくり人材の学校」ともいえる刈谷少年少女発明クラブですが、生徒数1100人に対し指導員は16人と、指導員が圧倒的に足りません。予定が合う時だけ助っ人に来てくれる指導ボランティアも複数人いますが、事前の準備を行い、メインで授業を進める指導員は不足気味で、新たな指導員を求めているそう。
特に小学校低学年の生徒はマンツーマンで指導が必要な場合も多く、理系知識というよりは子どもと接するコミュニケーション能力が求められるそうです。
歴7年。ボランティアから指導員へ
指導員として活動している小川祥司さんは、5年のボランティアの後「もっと深く関わりたい」と指導員を志願。現在は会社員として働きながら"副業"として指導員を勤めています。平日は仕事、土日は指導員とハードな印象ですが、指導員の活動は息抜きになるそう。
「自分のものづくりの知識が少しでも地域に還元できれば、とボランティアから始めました。ところが逆に子どもから学ぶことも多く、本業からリセットされる感じがして、頭の中がクリアになります」。
子どもの著しい成長を目の当たりにできる!
詳しく話を聞いてみると、全く授業についていけず初歩的なところで立ち止まってしまう子に対し、何がわからないのかを聞いて分かるように説明するコミュニケーション能力が養われるそう。
「はじめは何もできなかった子が、自分で考えて工夫し、手を動かして自分のアイデアを形にできるようになるケースが多数あり、感動します。ここで培った『自分で考えて、作る』という経験を将来活かしてほしいですね」と小川さん。
子どもがクラブ員だったというママ指導員も
ママ指導員の平野あかねさんは、息子さんが発明クラブへ通っていたことがきっかけで指導員に。実は、指導員を薦めたのは息子さんなのだとか。
自分自身もメディアアートの制作者でありものづくりが好きだったこと、子どもの持っている力を引き上げることに関心が高かったことから指導員として活動をスタートしました。「事務局の方や先生たちの人柄も知っていたので、安心でしたね」と平野さん。
子育て経験を生かし子どもの能力を引き出す
そんな平野さんにとってのやりがいは「子どもの成長を間近に感じること」。
「子育てでも感じましたが、子どもが夢中になって何かを作ったり、失敗から学んでできるようになっていったりする様子は、見ているだけでおもしろいです。子どもの能力は一人ひとり異なりますが、それぞれに合わせた接し方や伝え方をしていくだけで見違えるように成長します」と、子育て経験は指導員にも役立つようです。
材料と機械の部屋や特別工作室も完備
お二人の話を聞いていると、モノづくりの知識よりもコミュニケーション能力や新しいことへの好奇心が大切なようです。新しい技術や知見を指導員自身が学んで、活動に活かしていくために、気軽に利用できるPCと連動したレーザー加工機や3Dプリンターなどの設備を完備した指導員専用の工作室も用意されています。
まずはボランティアへ。子どもと楽しもう
話を聞いていると、理系知識皆無の私にもできるような気になってきました。「人として成長できる良いチャンスかも?」と気になった人は、まずは気軽にボランティアへ。授業の雰囲気を掴み、指導員には何が求められているのか感じ取ることができるでしょう。
何はともあれ、クラブは「楽しい」ことが何より大切!子どもが喜びそうなイベントやカリキュラムを、あなたも考えてみませんか?