二児の母であり、"さかな屋の嫁"であり、離乳食インストラクターでもあり、だしソムリエでもあり、調理師免許も取得。さまざまな顔を持つ、愛知県西尾市在住の神田光さん。愛知県西尾市東幡豆町で、古くから鮮魚卸を営む「カネカ神田」の商品開発も手掛けています。
開発した商品の中には、初めての育児で不安がいっぱいのママたちに贈りたい、おさかな離乳食セット「ととBaby」も。初めての育児、初めての離乳食でつまずいた自分自身の経験を活かして作ったという、ととBabyの開発秘話に迫ります。
老舗の魚屋の嫁としておいしい魚を届けたい
目の前に前島が見える、東幡豆の海岸沿いにあるのが、鮮魚卸の「カネカ神田」です。光さんのご主人である神田敬祐さんは四代目。毎朝セリに参加し、東幡豆漁港や西浦漁港で揚がった魚を名古屋柳橋市場で販売したり、自社工場で加工してネット通販をしたりと、おいしい魚を届けたいという一心で魚屋を営んでいます。
光さんは名古屋で調理師として働いていましたが、ご縁があり、さかな屋の嫁として生きていくことになりました。
魚のおいしさを広めるため何事にも挑戦!
カネカ神田入社後は、ブログで魚料理の魅力を伝えるほか、月1回の「青空マルシェ」で鮮魚を販売するなど、魚のおいしさを広める活動に取り組みました。マルシェで子どもたちと話すうちに、丸ごと一匹の魚を見る機会が少ないこともわかり、食育の大切さを実感したそうです。
子どもが生まれ、初めての育児は大変なことばかりでしたが、心のどこかで「離乳食は難なくクリアするだろう」と楽観視していたといいます。
子どもが食べない!初めての事態に落ち込む
ところがふたを開けてみると、「子どもが離乳食を食べない」という事態に直面。どれだけ頑張って作っても食べず、子どもが食事を嫌がるように。「子どもに向かって『なんで?』と言ったりして。いろいろ調べても、相談しても欲しい答えは得られない。精神的にどんどん追い詰められていきました」と振り返ります。
離乳食について調べるうちに「離乳食インストラクター」という資格があることを知り、取得。離乳食に関する知識を持って、子どもと接するようになりました。
ママを助けたい想いで作った「ととBaby」
ほどなくして子どもは離乳食を食べるように。「大人に『今は食べたくない』という気分のムラがあるように、子どもにもある」ということに気づいたそうです。
そして、離乳食で悩むママの助けになれたら...と開発したのが「ととBaby(20食入り、3,132円~・税込、送料別)」。離乳食にぴったりの新鮮な魚の皮や骨を取り除き、冷凍販売しています。中身はしらす、白身魚、鮭、青背魚の4種類。光さん自身が骨は残っていないかなどの最終チェックを行い、1食分となる10gにカットしています。
離乳食卒業後は「ととKids」
こちらは、離乳食を卒業した子どもに食べてほしい「ととKids(1,620円・税込、送料別)」と、国産天然真鯛のアラからじっくり煮出した「ととだしBaby(1,200円・税込、送料別)」。
ととKidsは、サバ、エビ、イカ、カニ、ホタテの5種類。「初めての食材をあげる時って不安ですよね。特にサバは鮮度が味を大きく左右し、最初に臭いなどで嫌な思いをすると、その後子どもが食べたがらなくなることも」と光さん。目利きによる魚なら、子どもにも自信を持ってあげられそうです。
思い入れのあるおかゆがテーマの絵本も制作
さらに光さんは絵本も著作。タイトルは「おかゆ」です。「自分の子どもが離乳食を食べなくなった時に、始めからやり直そうと思ったんです。それが、赤ちゃんがミルク以外で最初に口にすることになる十倍がゆ。とにかく一口だけでもと思って作ったら、ビックリするほどすんなり食べてくれて」と光さん。
0歳児の食の絵本という話が舞い込んだ時、「おかゆを好きになれれば離乳食の半分はクリア」と、迷いなくおかゆを題材にしたのだそう。
小学校で出前授業も!カフェもオープン間近
他にも、西尾市内の小学校で「だし講座」の講師を務めるなど、食育活動を行っている光さん。その挑戦はまだまだ続きます。
2022年1月には、東幡豆漁港のすぐそばに海が見えるカフェ「MerBrillante(メールブリアン)」をオープン予定。自分の店を持ちたいという、料理人として働いていた時からの夢を叶えることに。お店では、自慢の鮮魚を使った魚料理をはじめ、ネット販売している魚介の加工食品なども陳列します。開店が楽しみです。(取材:河合春奈/2021年11月取材)