愛知県西尾市のとあるアトリエ。ここに、アート・デザイン業界の第一線を走るスゴいアーティストがいるらしい...!?
安室奈美恵さんやMAN WITH A MISSIONのCDジャケット公開イベントでライブペイントを行ったり、MTVなど海外系のアートワークも手掛けたり...世界で活躍するグラフィックアーティスト・画家の左右田薫さんを徹底特集!独特の個性や芸術性はどこから生まれたのか?これまでの活動内容からアーティストとしての素顔にまで迫ります。
アメリカンカルチャーを軸にスタイルを確立
音楽のCDジャケットやグッズなどのビジュアルを数多く手掛け、多くの著名人から支持を得ている左右田さん。ロックやパンクのムーブメント、当時のCDジャケット、ポスターや映画といったアメリカンカルチャーに感化され、1998年からストリートテイストのイラスト制作を始めました。
2002年には自身のプロダクション「FUZZHEAD-STUDIO」を設立。2019年からは世界のアートフェア(作品を展示販売する場)へ参加するなど、現代アーティストとしても活動中です。
「MTV」のイラストで注目を集める
左右田さんの飛躍のきっかけとなったのが、音楽専門チャンネル「MTV」での仕事。ロゴにドクロを描いたイラストや、番宣告知・ライブのポスターなどのアートワークを担当してきました。ビビットなピンクが目を引くMTV Japanのブランディングイラストは、「JAPAN ROCK」をテーマにした作品。寿司や相撲など和のモチーフとロックのモチーフが融合しています。
このポップな作品の数々がたくさんの人の目に留まることになり、活動の幅が広がったんだそう。
ライブペイントの流行をつくった第一人者
「これまでになかったものをやることが好き」という左右田さん。ライブペイントの活動もそのひとつです。ライブペイントとは、限られた時間内で絵を描く過程を見せるパフォーマンス。
元々はクラブでの遊びからライブペイントを始めたそうですが、のちに音楽フェス会場での開催を提案。2007年から毎年「SUMMERSONIC OSAKA」への出演を果たしています。左右田さんは、ライブペイントをフェスに取り入れ、音楽とアートを結び付けた第一人者なんです!
有名ミュージシャンのライブペイントも!
安室奈美恵さんのデビュー20周年の節目となるアルバム発売前には、東京の新宿駅前で巨大なライブペイントを施すパフォーマンスで大きな話題を呼びました。2日間かけて完成した絵が、実は初公開となるアルバムのジャケット写真!というもの。斬新な解禁方法ですね。
また、人気バンド「MAN WITH A MISSION」のシングル発売前にも、ジャケット写真公開のライブペイントを行いました。このジャケット見たことある!なんてロックファンも多いのでは?
初代タイガーマスクご本人に肖像画を進呈
音楽のほかに、プロレスも好きだという左右田さん。「子どもの頃、祖父がいつもテレビでプロレスを見ていたんです。よく、タイガーマスクの絵も描いてくれました」。
プロレス関連の依頼から縁が生まれ、なんと初代タイガーマスク30周年記念パーティーに招待されて肖像画を進呈したことも!リアルなタッチながら、左右田さんらしい個性が光る絵です。「祖父との思い出のタイガーマスクに、自分の作品を渡すことになるとは...感慨深かったです」。
幅広い分野で活動中!アートフェスの開催も!
左右田さんの得意分野はアメコミ、リアル、手書きイラストなどさまざま。「スタイルには"こだわりがない"のがこだわりです。だけど自然と、カラフルで強い色使いが個性として表れています。これもアメリカンカルチャーの影響が大きいですね」。
2018年には活動20周年を記念し、自身の名前を付けた「SAUDA FESTIVAL」を名古屋市のオアシス21で開催。親交の深い格闘家、ミュージシャン、作家を集めたユニークなアートフェスとして、約1万2千人も動員したんだそう!
沖縄で参加型のライブペイントを実施
最近では、「LOVE&PEACE」をメッセージに掲げた画家としての活動を行っています。平和について考えるようになったのも、昔、戦争の話を聞かせてくれた祖父の影響だといいます。
2015年に「沖縄県平和祈念資料館」で開催した終戦70周年の企画展では、ライブペイントを実施。一般参加型という試みに挑戦しました。自衛隊、海外からの観光客、子どもからお年寄りまでいろんな人が色を塗ってくれたんだそう。こんなにリアルな絵を、一般の人も一緒に描いたなんてびっくり!
自分が感じた色や空気を、絵として表現
2020年5~9月には、沖縄の「ホテルムーンビーチ」にて絵画展を開催予定。平和を未来へつなげるためのメッセージを届けます。ちなみに写真に写っている展覧会用の絵は、まだ制作途中なんだとか。良い絵を仕上げるため、飾りながら一度冷静に見直すんだそう!
「沖縄の文化、自然、人が好き。自分が感動した景色を、絵に落とし込んでいます。特に海が大好きで、西尾市に住んでいる一番の理由も海があるからなんですよ(笑)」。
これから画家としても世界へ!
画家の活動について、「デザインやイラストとは全く違う世界だと実感。海外のアートフェアには新人から巨匠まで多彩なアーティストの作品が並び、世界中のアートコレクターが集まります。熱気あふれる場所で自分を高めていきたいです」。と語る左右田さん。
クリエーター業も精力的に続けながら、画家としても世界で認められることが目標とのこと!今後も左右田さんの活動から目が離せません。(取材:齊藤美幸)
左右田薫
活動内容などについては、webサイトやSNSでチェック!
2016年からストリートブランド「LINKY」をプロデュース
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