国内有数の来場者数を誇る「刈谷ハイウェイオアシス」。なんと!この大人気スポットを設計した建築家は、地元、愛知県刈谷市出身の方だったんです。若い頃に巨匠、丹下健三氏の下でフジテレビ本社の設計に携わるなど、多数のプロジェクトに参加しながら自身の技術を磨き、現在は九州大学大学院で准教授として活躍の幅を広げている鵜飼哲矢さん。
今回は、そんな一級建築士・鵜飼さんを徹底取材!意外と知らない建築家の仕事や成功の法則。さらには、建築家になるために必要なこと、勉強法など、建築家を目指す学生さんにも、きっと役立つ情報をお届けします!
子どものころの夢は天文学者だった!?
1966年愛知県刈谷市に生まれた鵜飼さん。どんな子ども時代を過ごしたのかお聞きすると、「先生から代わりに授業を頼まれるくらい、星が大好きな天文少年でした」。天文学者を目指して進学した東京大学でしたが、好きだった芸術、舞台経験から、表現できる楽しさを求め建築の道へ。
2年生のときの学科選択で建築学科に。卒業後に入社した設計事務所で、フジテレビ本社の設計に携わったそう。その後、独立し地元に事務所を設立。現在は、建築家を目指す学生を指導しながらオフィスのある刈谷・東京・福岡で活動しています。
地元の人が一番楽しめる700mのまち
「刈谷ハイウェイオアシス」も鵜飼さんの設計です。手掛けたのは33歳のとき。刈谷市は自動車での移動が主な交通手段。まちの人々はあまり歩かないことに気づいた鵜飼さんは、歩いて楽しめる施設の計画をはじめました。「天然温泉」「産直市場」「遊園地」「デラックストイレ」など、当時、高速道路の休憩施設としては珍しく周囲が驚いたといいます。
成功の秘訣をお聞きすると、「どんな施設も地元の人に愛されなければ必ず廃る。何度来ても楽しい、何度も行きたくなる居心地の良いスポットでないと」とのこと。
手掛けた施設はまだまだたくさん!
「道の駅 もっくる新城」は第23回愛知まちなみ建築賞や第1回あいち木づかい表彰選考会で最優秀賞を受賞した建物。過疎地域だった場所に作られた道の駅は、新城に人が訪れる拠点となる施設となっています。
現在は、刈谷市駅周辺の銀座地区再開発に着手。このほか、三河安城駅前に地元では珍しいシェアハウスを作ったり、安城駅前の再開発を担当したりと、まさに「まちづくり」の仕掛け人。「多様な才能を認め合い、いろんな人が集まってまちをつくっていってほしい」と話してくれました。
好きという気持ちが建築家への第一歩
人々の生活を豊かにする建物をつくる建築家になるには、大学の建築学科で学ぶことが夢への第一歩。そのほかに必要なことを鵜飼さんにズバリ聞いてみました。「テクニックよりも、建築を好きという気持ち、マインドが一番大切です。やりたいという意欲があれば、設計の技術も自然と上がります」
建築家の仕事は、設計だけでなく、打合せ・資料作成・交渉・現場管理などもあり、出来上がるまでに長い時間がかかることも。最後までやり遂げる忍耐力が必要のようです。だからこそ、好きという情熱や、学び続ける覚悟が必要なんですね。
建築家になるためのポイントは?
「まずは、感性と知性を学ぶこと。どんなに素晴らしいものを見ても受信するアンテナが無ければ見過ごしてしまいます。知識をつめ込むよりも、感動する心や、発見を楽しめる頭を若いうちに鍛えておくことが大切です。それが、オリジナリティのあるテーマやヒントを見つける力になります」
鵜飼哲矢事務所のスタッフのみなさんに、学生時代からがんばってきたことを聞くと、「たくさんの建築物を見て、体験して自ら学んできました」と体験談を話してくれました。建物やそれを利用する人のことを肌で感じることも大切なんですね。
信じて毎日努力することが成長への近道
夢に向かってがんばっていると、思うようにスキルアップできずに落ち込んでしまうことも。成功の法則を聞いてみました。「昨日より1%だけ多くがんばる。それを毎日続ければ、1年後には37倍も成長できます」。"1.01の365乗=37.8"努力が見える計算式です。1%の努力の結果、大きな力を手に入れることができるんですね。
事務所のスタッフと接しているときに、ある日を境にぐーんと成長した姿を見ることがあるのだとか。毎日続けることで、実力や技術が磨かれていく。そのために必要なことが"建築が好き"という気持ちだと教えてくれました。好きなことを信じて努力を続ける成功の法則はぜひ参考にしたいです!
やりがいは地域の人に喜んでもらえること
"まちの主役は人"をモットーに考える鵜飼さんに、仕事のやりがいを聞くと、「考えたことが現実になって、みなさんに利用してもらえること。『刈谷ハイウェイオアシス』で足湯を利用した地元のお年寄りが『私たちがんばったから、これくらい贅沢してもいいよね』と話している姿を見てうれしくてたまらなかったです」
施主や建築に関わる人との意思疎通に、法律や予算、設計の計算とハードな仕事の中でも、自身のデザインが採用され利用してもらえるという達成感はひとしおですよね。
建築家を目指すみなさんへのメッセージ
何よりも大切なのは、"建築が好き"という気持ちという鵜飼さん。それが勉強を続ける力になるんですね。鵜飼哲矢事務所のスタッフのみなさんも仕事に向かう目がキラキラと輝いていました。
「仕事という字は、ひとに仕える事と書きます。好きなことで人の役に立てたら生きがいにもなりますし、幸せを感じる瞬間もたくさんありますよ」。建築設計はもちろん、建設に関わるたくさんの書類の作成に、建設地の地域住民の方々との会話など、幅広い仕事がある建築家。努力の先に夢がある素敵な仕事だなと感じました。(取材:堀絢恵)
鵜飼哲矢事務所
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